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慢性蕁麻疹に抗ロイコトリエン拮抗薬は有効か?

 

topic

 

 抗ロイコトリエン拮抗薬とは、例えばシングレアやオノンにあたり、じんましんには保険適応はありません。

 しかし、抗ヒスタミン薬だけでは慢性蕁麻疹に十分な効果が認められない場合に追加治療として使われ、本邦のガイドラインにも記載があります。

日本皮膚科学会ガイドラインの公開にあたって日本皮膚科学会ガイドライン委員会委員長 秀 道広 日本皮膚科学会では、各種皮膚疾患の診療ガイドラインを作成しています。これらのガイドラインは、我が国における最も標準的かつ最善と思われる診療を提示しようとするものです。しかし�...
www.dermatol.or.jp

 以前ご紹介した小児に対する慢性蕁麻疹の予後研究でも、段階的治療のひとつに組み入れられていました。

 

 しかし、抗ロイコトリエン拮抗薬の慢性蕁麻疹への効果に関する研究は多くはありません。そこで、今回は、それに対するシステマティックレビューをご紹介いたします。

P: PUBMED, EMBASE, SCOPUS, LILACS,Cochrane Central Register of Controlled Trials, Web of Scienceを検索し、慢性蕁麻疹治療にロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRA)を使用した10研究
E: LTRA単剤もしくは抗ヒスタミン薬+LTRA
C: 抗ヒスタミン薬もしくはプラセボ
O: 慢性蕁麻疹にLTRAは有効か

 

 結局、何を知りたい?

 ✅抗ロイコトリエン拮抗薬が、慢性蕁麻疹に効果があるかどうかということを知ろうとしている。

 

結果

 

 試験の不均一性が高く、メタアナリシスはできなかった。

 

LTRA vs プラセボ

 Di Lorenzoらは、慢性特発性じんま疹成人患者160例(年齢18-69歳)に対し、デスロラタジン1日5mg、デスロラタジン1日5mg+モンテルカスト1日10mg、モンテルカスト1日10mg、プラセボでランダム化比較試験を行い、3、6週後、治療終了2週後で評価した。そう痒や最も大きな蕁麻疹の大きさに関しては有意差がなかったが、いくつかの転帰尺度においてモンテルカストはプラセボより優れていた(TSS; p=0.005や蕁麻疹数; p=0.001)。
 Erbagci らは、一重盲検プラセボ対照試験(n=30)で、モンテルカスト1日10mgvsプラセボを比較し、モンテルカスト群はUrticarial Activity Score (UAS)の有意な改善と週あたりの抗ヒスタミン薬の使用数が減少したと報告した。
 Riemersらによって行われた52例に対する無作為二重盲式プラセボ対照クロスオーバー研究においてzafirlukast 20mgとプラセボを比較したが、転帰尺度のいずれも有意差を示さなかった。
 Agcaoiliらは、29例の慢性蕁麻疹患者における無作為二重盲検試験において、モンテルカストとプラセボを比較し、2週後の治療成功率はモンテルカストでより良好だったと報告した。

 

抗ヒスタミン剤+LTRA vs 抗ヒスタミン剤のみ


 Bagenstoseらは、86例に対する二重盲検プラセボ対照試験でcetrizine 1日10mg+zafirlukast 20mg1日2回 vs cetrizine1日10mg+プラセボで比較し、3週間後、患者と医師によって評価されるVASスコアは、cetrizine+LTRA群で有意に低かったと報告した。
 Nettisらは、81例に対するRCTにおいて、デスロラタジン1日5mg+プラセボ、デスロラタジン1日5mg+モンテルカスト1日10mg、プラセボのみで6週介入を行い、デスロラタジン+モンテルカストの組合せが最も大きな有益性を示したと報告した。
 Wanらは、120例に対する一重盲検無作為抽出試験を行い、ヒドロキシジン25 mg1日2回+cetirizine 5mg、ヒドロキシジン25 mg1日2回+famotidine 20mg、ヒドロキシジン25mg1日2回+montelukast 5mg、プラセボ1日2回を比較した。抗ヒスタミン剤とLTRA併用は、抗ヒスタミン剤二剤併用療法と同等であり、プラセボより優れていたと報告した。

 

LTRA vs 抗ヒスタミン剤


 Di Lorenzoらは、デスロラタジンはモンテルカストと比較して有意に有効性が高いと報告した(TSS(平均差1.66、95%CI 1.28--1.05)、そう痒(平均差0.7、95%CI-0.74--0.66)、蕁麻疹数(平均差-0.21 95%CI-0.27--0.16)、最も大きな蕁麻疹(平均差0.24 95%CI-0.29--0.19))。

 

まとめ

 

 研究結果の多くは、LTRAは、プラセボや抗ヒスタミン薬に比較して有用とは言えないとしながら、LTRAと抗ヒスタミン薬の併用療法が、抗ヒスタミン剤単剤より有効に見えることを示した。
 副作用プロフィールや耐え難さは受容できる範囲だった。

 

 結局、何がわかった?

 ✅慢性蕁麻疹に対する抗ロイコトリエン拮抗薬は、単剤では抗ヒスタミン薬に優る効果を示さないが、抗ヒスタミン薬の効果が不十分な場合、追加で使用すると効果が認められる報告が多い。

 

コメント

 

 EAACI/GA2LEN/EDF/WAO治療ガイドライン2009年版では、段階を追っての治療アプローチが提唱されており、そのガイドラインでは、最初の治療法として標準用量の非鎮静性H1-抗ヒスタミン剤で開始し、2週後に治療反応が見られない場合、用量を標準の4倍まで増加するとされているそうです。
 一方、同ガイドラインでは、ロイコトリエン受容体拮抗剤(LTRA)の追加は、治療における第3段階として推奨されています。

 このシステマティックレビューは、慢性蕁麻疹に対する単独療法としてのLTRAの単独使用は推奨されることができないとしており、一方、LTRAは抗ヒスタミン剤に対し有効な追加治療であるとされていました。

 そして、抗ヒスタミン剤に十分に反応していない患者に対するLTRA使用は正当であるとされています。

 

 今日のまとめ

 ✅慢性蕁麻疹に対し、抗ヒスタミン薬の効果が不十分な場合に抗ロイコトリエン拮抗薬を追加するのは妥当である(ただし保険適応なし)。

 

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慢性じんましんは適切に治療されているか?

 

topic

 

 慢性じんましんは決して少なくなく、外来でもよく診る疾患のうちの一つです。

 以前、小児に関しても、慢性蕁麻疹の予後は決して良くないことをご紹介いたしました。

 また、治療に関し、抗ヒスタミン薬の増量や、オマリズマブ(商品名ゾレア)の投与に関する報告もご紹介しました。

 そこで、今回は、ドイツでの前向きコホート研究により、慢性じんましん患者さんの生活の質(QOL)や治療実態に関して検討した報告を御紹介いたします。

 

P: AWARE (A World-wide Antihistamine-Refractory chronic urticaria patient Evaluation)研究に参加した、慢性特発性蕁麻疹(chronic spontaneous urticaria [CSU]) に罹患している18歳~75歳の患者1539人
E: -
C: -
O: 慢性特発性蕁麻疹患者の特徴

 

結果

 

 女性 70%、平均年齢 46.3歳、平均BMI 27kg/m2だった。
 生活の質(QoL)は、皮膚科生活品質指数(dermatology life quality index;DLQI)、慢性蕁麻疹QoLアンケート(dermatology life quality index;CU-Q2oL)と血管性浮腫QoLアンケート(angioedema QoL questionnaire;AEQoL)を使用して評価された。
 平均urticaria control test (UCT)スコアは7.9であり、二人に一人は血管浮腫があった。

 最も多い併存疾患は慢性で誘発可能なじんま疹だった(chronic inducible urticaria; CIndU; 24%)。

 さらに順に、アレルギー性鼻炎(18.2%)、高血圧(18.1%)、喘息(12%)、抑うつ(9.5%)が多かった。
 薬物治療率は、クリニック患者と比較して総合病院施設で高率だった(何らかの治療 65.8%対54.7%;第二世代H1-抗ヒスタミン薬 55.9%対42.9%; ラニチジン 5.7%対1.1%; モンテルカスト 11.2%対1.0%; omalizumab 6.0%対0.8%; シクロスポリン 2.7%対0.9%)

 プレドニゾロンでの治療率(11.7%対11.6%)、ダプソン(2.2%対1.1%)、他のコルチコステロイド(3.2%対4.6%)は両群で変わらなかった。
 DLQIの平均は8.3であり、患者の32.8%はCSU症状はQoLに非常に大きい影響を受けていた。
 総CU-Q2oLの平均は36.2で、最も障害がある分野は、そう痒/困惑(平均 48.2; SD26.1)、睡眠(平均 45.2; SD27.3)、精神的状態(平均 41.4; SD26.5)だった。
 総AEQoLの平均は46.8であり、最も障害のある分野は、『恐れ/恥』の平均54.5 (27.1SD)と『疲労/気分』の平均46.0 (26.0SD)だった。
 CSU患者は、救急サービス(29.7%)、クリニック(71.9%)、アレルギー専門医もしくは皮膚科医受診(50.7%)といったヘルスケア資源の使用が多かった

 

コメント

 

 慢性じんましん(CU)は、最も頻繁な皮膚障害のうちの1つで、6週間以上蕁麻疹もしく血管性浮腫が反復性に発症するものとされています。

 CUは世界的に約1%の有病率があり、特発性および誘引可能なタイプを含んでいます。
 本研究は、大多数の慢性特発性じんましん患者は治療されておらず、さらにはじんましんは十分抑制されておらず、QoLに影響を及ぼしていることが明らかになったと結論されていました。

 私は慢性じんましん治療に関し、ゾレアやシクロスポリンを使用した経験はありませんが、抗ヒスタミン薬単剤で不十分な場合は、抗ヒスタミン薬の増量/変更/追加・ロイコトリエン拮抗薬・H2拮抗薬・漢方薬などを使用しています。特に漢方薬は、一般的な治療で手詰まりである場合に使用すると奏功することも多いです。しかし、じんましんに使う漢方薬は四物湯を骨格に持つものが多く、とても苦いことが玉にキズです。

 

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慢性特発性蕁麻疹に対する抗ヒスタミン薬増量は効果があるか?: メタアナリシスとシステマティックレビュー

じんましん 抗ヒスタミン薬 増量Guillen-Aguinaga S, et al., Up-dosing non-sedating antihistamines in patients with chronic spontaneous urticaria: A systematic review and meta-analysis. Br J Dermatol 2016.[Epub ahead of print]

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27237730

 


慢性特発性蕁麻疹は、長期化するためQOLが大きく下がります。

しかし、抗ヒスタミン薬単剤標準量で奏功しない場合も多く、ガイドライン(https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/1372913324_1.pdf)では抗ヒスタミン薬の他剤変更や増量を推奨の一つとしていますが、エビデンスは不十分です。


 

P: 「慢性病患者、じんま疹、抗ヒスタミン剤」で検索

  ランダム化、二重盲検、追跡損失に対して品質評価した15論文

E:  1) 抗ヒスタミン薬 種々の用量  

   2) 抗ヒスタミン薬高用量

C:  1) プラセボ  

   2) 抗ヒスタミン薬標準用量

O:  抗ヒスタミン薬の増量による効果

 

【結果】

抗ヒスタミン剤用量を増加して改善するrelative risk (相対危険度)は、2.27(95%CI 1.68-3.06)だった。

慢性特発性蕁麻疹患者における抗ヒスタミン剤標準用量における反応率は38.6%(95%CI 34.7-42.7)だった。

標準用量ではFexofenadine(商品名アレグラ)が58.47%(50.3-67.23)と、もっとも高い率で改善を示し、cetirizine(商品名ジルテック)は有効率がより低値41.98%(34.51-50.18)だった。

標準量の抗ヒスタミン薬に対して奏功しなかった患者に対し、抗ヒスタミン薬を増量した場合の慢性特発性蕁麻疹患者の奏功率は、63.2%(95%CI 57-69.6%)だった。

 

【コメント】

抗ヒスタミン薬の増量は効果があると結論はできますが、メタアナリシスに関して論文の不均一性のため、最終的な結論を出すことはまだ難しいとされていました。

なお、Fexofenadine(商品名アレグラ)は海外では本邦と用法が異なる場合がありますので注意を要します(本邦60mg×1日2回、海外120-180mg×1日1回)。

 

 

 

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オマリズマブ(ゾレア)は抗ヒスタミン薬で改善しない慢性蕁麻疹に効果がある

Staubach P, et al. Effect of omalizumab on angioedema in H -antihistamine resistant chronic spontaneous urticaria patients: results from X-ACT, a randomised controlled trial. Allergy 2016 (in press). 

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27010957
 


昨日に引き続き、ゾレアの論文です。



P: 2013年1月から2014年5月 少なくとも6ヶ月間に4回以上の血管浮腫があり、高用量抗ヒスタミン薬(承認された量の2-4倍)を使用しても収まらなかった慢性蕁麻疹患者(18-75歳)
E: オマリズマブ(商品名;ゾレア) 300mg 24週まで4週間毎投与 44例
C: プラセボ 24週まで4週間毎投与 47例
O: 28週までの慢性蕁麻疹QOL質問紙スコア(Chronic Urticaria Quality of Life [CU-Q2oL] )

【結果】
91例中68例が28週間の治療フェーズを完了した(オマリズマブ投与群 35例、プラセボ投与群 33例)。
オマリズマブ投与群は、28週におけるCU-Q2oLスコアがプラセボ投与群より優れていた(P < 0.001)。
血管性浮腫の週あたりの出現日数が3倍改善した(オマリズマブ投与群 0.3日 vs プラセボ投与群 1.1日)。
血管性浮腫の最初の再発までの中央値は、オマリズマブ投与群 57-63日、プラセボ投与群 <5日だった。

【コメント】
オマリズマブは現在のところとても高価な薬剤ではあり、本邦では重症気管支喘息に保険適応がある。
一方で、昨日の論文のように食物アレルギーの治療などに応用されたり、今回のように慢性蕁麻疹に効果が見出されたりする。
費用効果の問題は避けられないが、今後さらに応用が拡大されることが期待される。




 

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