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牛乳を除去している児は、バラエティに乏しい食事を摂取している: 横断研究

Maslin K, et al., Dietary variety and food group consumption in children consuming a cows' milk exclusion diet. Pediatr Allergy Immunol 2016; 27:471-7.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27062104

 


食物アレルギーで多品目除去をすることで低身長になるという報告があります(柳田紀之他. 日本小児アレルギー学会誌 2013; 27:721-4.https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspaci/27/5/27_721/_article/-char/ja/)。

また、牛乳除去により、骨密度が低下することも示唆されています(Mailhot G, et al.  Pediatrics 2016; 137.https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27244780)。

そこで今回は、牛乳除去により牛乳以外の食事のバラエティが低下するという横断研究をご紹介します。


 

P: 英国のワイト島の生後8-27か月の児 計126人(平均13.0ヵ月)

E: 乳除去中の児 66例

C: 乳除去していない児 60例

O: 食事の多様性と消費量に違いがあるか

 

【結果】

乳除去群は、対照群に比較して年齢が低く(p = 0.02)、母の食物アレルギーが高率だった。

乳除去群で最も一般的に用いられる低アレルゲンミルクはアミノ酸調乳(45.5%)であり、1日あたりの乳もしくは低アレルゲンミルクの消費量の中央値は480ml(0-1080ml)だった。

28.8%が乳以外にもう1種類の食物除去(通常卵)をしていたが、大部分は乳のみの除去だった。

予想されるように、乳除去群は対照群より、乳製品・大豆関連製品の摂取が少なかった(p < 0.01)。

さらに、乳除去群は、甘い食品摂取が1.6倍少なく、飲料(乳児用ジュースやお茶など)の摂取が7倍少なく(p < 0.05)、既製品のベビーフードを15倍多く摂取していた(p < 0.01)。なお、既製品のベビーフードの消費量に関しては、1年未満では有意差が認められなかったが、年長児において有意差が認められた(p < 0.01)。

食事のバラエティは、乳除去群で、肉と甘い食物がより有意に少なかった(p < 0.01)。

食事に対する関心は、乳除去群により認められた(p < 0.05)。 BMIとDVS%(食事の多様性の指標)は逆相関していた。しなわち、バラエティに富む食事を摂取している児全体的により高いBMIだったことが示唆された。

 

【コメント】

乳アレルギーが原因で除去食をしている児は、乳だけでなく、肉や甘い食品の摂取品目がより少なく、全体的にバラエティが少ない食事を摂取しているとまとめられます。一方で、”健康的な食事”へのご家族の関心は高く、乳除去群は一般的な診察のみではなく食品成分に対する理解があり、食事のアドバイスを受けたことに起因する可能性があるとされていました。

除去食により、より食事に対する関心が高まるのは素晴らしいと思います。でも、食の多様性が保てないのは困りますね。

自分自身の診療でも、栄養士さんとの連携をさらに密にしていきたいと思いました。そして、除去食により予想より大きくなれないというデメリットを少なくしていきたいものと改めて感じました。

 

 

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アナフィラキシーを原因とした入院数と死亡数の変化: 横断研究

Turner PJ, et al. Increase in anaphylaxis-related hospitalizations but no increase in fatalities: an analysis of United Kingdom national anaphylaxis data, 1992-2012. J Allergy Clin Immunol 2015; 135:956-63.e1.

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25468198

 


さて、今週の最後は、アナフィラキシー(食物以外も含む)の入院数が近年増加しているとする英国からの報告です。

一般的な救急外来のセッティングでも、アナフィラキシーによる受診は決して少なくないのではないでしょうか。


 

P: 1992-2012年にかけてナショナル・データベースから得た、英国とウェールズにおけるアナフィラキシーに起因した入院例・死亡例 

E: -

C: -

O: アナフィラキシーによる入院数と死亡数は増加しているか

 

【結果】

1998〜2012年の研究期間中、全アナフィラキシーによる入院は615%増加し、1年ごとの乗法的増加率は1.073(95%CI、1.071-1.075; P < .001)だった

年間死亡率は100,000人中0.047人(95%信頼区間[CI];0.042-0.052人)(推定増加率、1.00; 95%CI、0.98-1.01; P > .05)であり、増加していなかった

食物に起因したアナフィラキシーで入院した例は、計14,675例であり、小児と24歳未満の成人で最も高率だった。

食物アレルゲン摂取に起因すると強く疑われた124の死亡例の平均年齢は25歳(95%CI、22-28歳)だった。

124例のうちの95例(77%)で原因食物が同定され、95例中69例(73%)がピーナッツまたはナッツに対するアレルギーであり、16歳未満の小児では、牛乳が39例中8例(21%)を占めた。124例のうちの97例(78%)は医師の診断した喘息があり、86例(69%)が致死的なイベント以前に食物アレルギーが判明しており、少なくとも26例(21%)はアナフィラキシーをすでに経験していた。

食物によって誘発されたアナフィラキシーの死亡率は、ピークである10〜29歳の年齢層において100,000人・年につき0.011例(95%CI、0.009-0.013例)だった。

医原性関連のアナフィラキシーによる入院は計8161例であり、82%増加していた。263の死亡例が登録され、平均年齢は58歳(95%CI、56-61歳)だった。

1998〜2012年に、昆虫刺傷によるアナフィラキシーのための入院は2688人だった。研究期間中410%増加していた。

 

 

論文より引用。

アナフィラキシーによる入院はそれぞれ増加しているが、死亡例は横ばいになっている【クリックで拡大】。

 

 


【コメント】

1992〜2012年に、英国では、アナフィラキシーによる入院数は増加したけれども、死亡数は増加していなかったとまとめられます。これは、患者もしくは医療提供者どちらか、もしくは両方において、アナフィラキシーの診断に対する認識が改善したことに起因するかもしれないと言及されていました。

原因ごとに年齢のピークに差があり、60歳以上で、薬や昆虫刺傷によるアナフィラキシーを原因とした入院と死亡数が最も高く、対照的に、食物によるアナフィラキシーを原因とする入院は、若年者で最も一般的だったとまとめられていました。

2004年に英国で導入された(本邦でも同様の対応と思われます)、アナフィラキシー時には救急治療部で最大4時間の待機する方針を採用したことに対する潜在的影響も評価されましたが、明らかな関連は認められず、むしろ入院率の増加に結び付いた可能性が指摘されていました。

 

 

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食物アレルギーによる致命的なアナフィラキシーの発生率: システマティックレビュー&メタアナリシス

Umasunthar T, et al. Incidence of fatal food anaphylaxis in people with food allergy: a systematic review and meta-analysis. Clin Exp Allergy 2013; 43:1333-41.

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24118190

 


今週は、食物による即時型アレルギー反応は、卵・乳・ピーナッツそれぞれにおいて、除去食指導を行っても少なからず発生しており(http://pedallergy.jugem.jp/?eid=171http://pedallergy.jugem.jp/?eid=174)、一方で食物アレルギーによるアナフィラシーの頻度は少ないが軽視するべきではないという報告(http://pedallergy.jugem.jp/?eid=175)をUPしてきました。

現実に、本邦でも食物アナフィラキシーで亡くなられた方がおられ、十分な対策をすすめるべきであることは論を待ちません。一方、食物によるアナフィラキシー死に対する過大評価もまた、いたずらに不安を煽る可能性があります。その頻度を十分に把握しておく必要性もあるでしょう。


 

P: 1946年1月から2012年9月において、Medline, Embase, PsychInfo, CINAHL, Web of Science, LILACS、AMEDと会議録からの、約1億6500万人年

E: -

C: -

O: 致命的な食物アナフィラキシーの発生率

 

【結果】

致命的な食物アナフィラキシー240例があったが、それぞれの研究における食物アレルギー有症率とデータ収集方法には、高い不均一性があった。

食物アレルギーにおける致命的な食物アナフィラキシーは、100万人・年につき1.81回(95%CI 0.94-3.45; range 0.63-6.68)の出現率と推定され、別の感度分析法では、発生率は100万人・年につき1.35-2.71と見積もられた。

0-19歳では、発生率が3.25(1.73-6.10; range 0.94-15.75;感度分析1.18-6.13)と見積もられた。

食物アレルギーにおける致命的な食物アナフィラキシーの発生率は、一般的なヨーロッパ人口における偶発死より低いと考えられた。

 

【コメント】

致命的な食物アナフィラキシーは非常にまれであるといえます。

しかしながら本論文でも言及されているように、食物アレルギー患者と家族の懸念を過小評価してはならず、適切な教育、食物表示、食物の除去、アナフィラキシーに対する処置は重要であるとされていました。

十分な対策により、恐れず侮らず、というスタンスが必要なのではないでしょうか。

 

 

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食物アレルギーによるアナフィラキシーの発生頻度: システマティックレビュー&メタアナリシス

Umasunthar T, et al. Incidence of food anaphylaxis in people with food allergy: a systematic review and meta-analysis. Clin Exp Allergy 2015; 45:1621-36.

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25495886

 


食物アレルギー児におけるアレルギー反応の発生頻度が決して低くない(http://pedallergy.jugem.jp/?eid=171http://pedallergy.jugem.jp/?eid=174)ことをUPしてきました。

そこで今回は、誤食(意図的な摂取の場合もありますが)による重篤なアレルギー反応であるアナフィラキシーはどれくらいの頻度で起こりうるのかを検討したシステマティックレビュー&メタアナリシスをご紹介いたします。


 

P: 1946年1月から2012年9月のMedline, Embase, PsychInfo, CINAHL, Web of Science, LILACS 、AMEDと、最近の会議録を検索し、条件を満たした34研究

E: -

C: -

O: 食物アレルギーによるアナフィラキシー発生率

 

【結果】

研究集団、アナフィラキシーの定義、データ収集方法に高い不均一性があったが、出版バイアスの証拠はなかった。

食物アレルギー患者において、食物アナフィラキシーの発生率は、100人年あたり0.14回(95%信頼区間[CI] 0.05-0.35;range 0.01-1.28)であり、別の感度分析では、100人年あたり、0.11-0.21回と推定され、0-19歳の食物アレルギー患者におけるアナフィラキシー発生率は、0.20(95%CI 0.09-0.43;range 0.01-2.55;別の感度分析0.08-0.39)と推定された。

一方、0-4歳の食物アレルギー患者では、100人年あたり最大7.00回のアナフィラキシー発生率と推定された。

食物アレルギー患者における食物アナフィラキシーによる入院率は、研究集団全体では1000人年につき0.09回(95%CI 0.01-0.67;range 0.02-0.81)と推定され、0-4歳と0-19歳での入院率は、1000人年につき、それぞれ0.50回(0.26-0.93;range 0.08-2.82)、0.20回(95%CI 0.10-0.43;range 0.04-2.25)と推定された。

 

【コメント】

食物アレルギー患者における食物アレルギーによるアナフィラキシーの発生率は低いが、相対的に幼児で高いとまとめられます。

本邦でも、食物によるアナフィラキシーが原因で亡くなった方もおられ、決して軽視できません。また、アナフィラキシーが発生した場合の対処方法の情報提供や教育も重要です。

一方で、リスクを過大評価することで、いたずらに不安を煽る可能性があります。

明日は、アナフィラキシーの結果として致命的な結果になる頻度がどれくらいあるかというシステマティックレビュー&メタアナリシスの結果をUPいたします。

 

 

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卵・乳アレルギー児の偶発的・意図的な摂取によるアレルギー反応: コホート研究

Fleischer DM, et al. Allergic reactions to foods in preschool-aged children in a prospective observational food allergy study. Pediatrics 2012; 130:e25-32.

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22732173

 


昨日UPさせていただいたピーナッツ除去食中の誤食に関する報告(http://pedallergy.jugem.jp/?eid=171)に引き続き、2012年の報告ですが、卵、乳アレルギー児の誤食などによるアレルギー症状の発生頻度に関する研究結果です。


 

P: 5施設でリクルートされた、乳もしくは卵アレルギーの3〜15ヵ月児512人

E: -

C: -

O: 中央値36か月(0-48.4か月)の追跡期間中、1年間に発生する誤食によるアレルギー反応発生率

 

 

【結果】

512人中367人の参加者が、1年当たり0.81回(1171回[95%信頼区間:0.76-0.85])のアレルギー反応を報告し、そのうち269/512人(52.5%)は〉1回の反応だった。

大多数の反応(71.2%)は、乳(495回[42.3%])、卵(246回[21.0%])、ピーナッツ(93回[7.9%])であり、誤食、ラベルの読み間違い、コンタミネーションにより発生し、50.6%は両親以外によって提供された食品によった。

乳、卵、ピーナッツに対する834回のアレルギー反応のうち、93回(11.2%)は除去中の食品に対する意図的な摂取に起因しており、その場合は両親が最も多い提供者(87.1%)であり、祖父母(9.7%)、その他(3.2%)が続いた。

意図的な摂取は、偶発的な摂取と比較し、ピーナッツより乳(P = .03)や卵(P = .01)で多く起こっていた。

食物アレルギーと特異的IgE抗体価高値は、アレルギー反応と関係しており(P < .0001)、重篤な反応 134例(11.4%)のうち、29.9%の例に対し、アドレナリンが使用された。

十分な治療が行われないことに対するリスク因子は、重症度に対する認識不足、アドレナリンが利用できなかった、アドレナリンの投与に対する恐れが挙げられた。

 

【コメント】

偶発的・意図的な食物曝露に起因する反応は少なくなく、アレルギー反応は1年あたり0.81回に及び、強い症状に対するアドレナリンの使用は不十分だったとまとめられます。なお、”意図的な”は原文では”非偶発的な”になっていますが、意図的なに訳しました。

本論文の中で、重篤な反応に対するアドレナリンの使用が不足していることが問題視されており、一定の警戒、正確にラベルを読むこと、意図的な曝露の回避、提供ミスの予防、適切なアドレナリン投与、保護者の教育といった必要性が指摘されていました。

最近、海外では、マイラン社によるアドレナリン自己注射薬(商品名エピペン)の薬価釣り上げが問題になっているとの報道がありました。本邦ではマイラン社ではなくファイザー社で管理されていてますが、本邦の薬価制度のお陰もあり、当初決められた薬価で処方されており、現在のところ薬価の釣り上げはされていません。

 

 

評価:
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みらい
¥ 3,240
(2016-06-15)
コメント:食物アレルギーガイドラインに関わっておられる先生方によるテキストです。

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