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新生児期の経表皮水分蒸散量(TEWL)はどれくらいか?

 

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 TEWL(transepidermal water loss;経表皮水分蒸散量)は、皮膚バリア機能を反映する、非侵襲的な(痛くない)検査として、研究目的でよく使われます。

 そのため、正常値を掴んでおくことは重要になりますが、新生児期の多数例を検討した報告は決して多くはありません。

 多少古い研究結果ですが、生後96時間以内に測定されたTEWLの検討結果の報告をご紹介いたします。

 

P: Cork BASELINE Birth Cohort Studyに参加した新生児1036人(在胎週数37-42週)、後期早産児18人(34-37週)
E: 開放型TEWL測定器( (Tewameter TM 300, Courage+Khazaka Electronic, Cologne, Germany))により、前腕掌側で測定
C: -
O: 新生児のTEWLはどれくらいか

 

結果

 

 病棟の母の病室のベッドサイドで幌付き乳母車で10分間腕を露出させてから、測定室でさらに5分間待機してから、前腕掌側で測定した。
 すべてのTEWLは空調システムによる室温を20-25℃に調節した窓のない部屋で測定し、湿度はマノメータによって30-45%に維持された。
 TEWLは3回の測定値の平均を記録した。

 満期新生児のTEWLは正規分布に従っており、平均7.06±3.41 g・water/m2/hourだった。

 後期早産児は、平均7.76±2.85 g・water/m2/hourだった。

 

【論文から引用】

TEWLは正規曲線を示している

 

 

コメント

 

 正常新生児におけるTEWL測定結果でもっとも大きい集団による研究だそうです。
 Limitationとして、白人以外の乳児が少数だったため他の人種にも適応できない可能性があるとされていました。

 この論文は、前から知ってはいたのですが、今回再度読んだときにKelleherらの研究結果であることに気が付きました。

 その後Kelleherらは、この研究を発展させ、2015年に生後2日、2ヶ月の経皮的水分蒸散量(TEWL)は、1歳でのアトピー性皮膚炎発症を予測する、2016年には生後2日目のTEWL高値(=バリア機能低下)は、2歳時の食物アレルギー発症を予測する、という二つの大きな研究結果として結実させています。

 改めて、研究には継続と連続なのだと思いました。自分に今、何ができるのかを考えないとなあと、、。

 

今日のまとめ

✅正常新生児における経表皮水分蒸散量(TEWL)は平均7.06±3.41 g・water/m2/hourである。

 

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オリゴ糖を添加した低アレルゲンミルクはアトピー性皮膚炎を予防するか?: ランダム化比較試験

Boyle RJ, et al. Prebiotic-supplemented partially hydrolysed cow's milk formula for the prevention of eczema in high-risk infants: a randomized controlled trial. Allergy 2016; 71:701-10.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27111273

 


部分加水分解乳(低アレルゲンミルク)がアトピー性皮膚炎の予防に働くかもしれないという先行研究がありますが、逆の結果を導き出している研究結果もあり、混沌としています。

一方、プロ・プレ・シンバイオティクスのアトピー性皮膚炎への効果の報告(http://pedallergy.jugem.jp/?eid=10)(http://pedallergy.jugem.jp/?eid=5)もあり、オリゴ糖(プレバイオティクス)を添加した部分加水分解乳を摂取させるとアトピー性皮膚炎が予防できないかを検討した結果をご紹介いたします。


 

P: 生後18週未満に人工栄養が開始になった生後6ヶ月未満の児

E: オリゴ糖(0.8g/100ml)を添加した部分加水分解乳(pHF-OS群)432人

C: 標準人工乳(対照群)431人

O: プライマリアウトカム: 0-4週に開始となった児(pHF-OS群 375人、対照群 383人)の生後12ヶ月時のEczema(=アトピー性皮膚炎)累積罹患率

  セカンダリアウトカム: ランダム化された全例での12-もしくは18ヶ月時のEczema(=アトピー性皮膚炎)累積罹患率と、6ヶ月時の免疫マーカーと副反応

 

結果

 

生後12ヶ月時のEczemaは、生後0-4週間目にpHF-OSに割り当てられた群 84/293例(28.7%)、対照に割り当てられた93/324人(28.7%)がEczema(=アトピー性皮膚炎)を発症し、有意差は認められなかった(OR 0.98 95%CI 0.68、1.40; P = 0.90)。

ランダム化されたすべての乳児においても、pHF-OS群 107/347人(30.8%)、対照群112/370人(30.3%)が発症し、有意差は認められなかった(OR 0.99 95%のCI 0.71、1.37; P = 0.94)。

pHF-OS群は総/特異的IgEを含む多くの免疫マーカーが変化しなかった。

しかし、pHF-OSはミルク特異的IgG1を減少させ(P < 0.0001)、調節性T細胞とplasmacytoid樹枝状細胞の割合が上昇した。

有害事象に有意差はなかった。

 

 

コメント

 

pHF-OSは、ハイリスク乳児の1歳までのEczema(=アトピー性皮膚炎)を予防しないと結論できます。

部分加水分解乳が、ハイリスク乳児に対し、普通人工乳に比較してEczemaを予防するという先行研究に関してはそれぞれ矛盾した結果でした(J Allergy Clin Immunol2013;131:1565–1573.)(J Allergy Clin Immunol 2011;128:360–365)(J Allergy Clin Immunol Pract 2013;1:29–36.)。 それに対する答えと言えるでしょう。

全く関係ない点ですが、それにしても、リクルート期間が2006年4月から2011年3月までと5年に及んでいます。日本の科研費では最後まで出来ていないでしょうね、、

 

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細菌成分を飲むことでアトピー性皮膚炎を予防できるかもしれない: ランダム化比較試験

Lau S, et al. Oral application of bacterial lysate in infancy decreases the risk of atopic dermatitis in children with 1 atopic parent in a randomized, placebo-controlled trial. J Allergy Clin Immunol 2012; 129:1040-7.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22464674

 


少し前の文献になりますが、小児アレルギー学会の講演で見かけた文献の一つです。

以前、当ブログで、親指しゃぶりや爪噛みの癖がアレルゲン感作を抑制する(http://pedallergy.jugem.jp/?eid=161)や、伝統的農法をしている環境が気管支喘息を少なくする(http://pedallergy.jugem.jp/?eid=185)といった「衛生仮説」を支持する研究結果を提示しましたが、これを人為的に介入する試験結果になります。


 

P: ハイリスク(アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、喘息を持つ両親が一人もしくは二人とも)の新生児606人

E: 細菌溶解液(Pro-Symbioflor;加熱殺菌された非病原性グラム陰性E.coli Symbio DSM 17252と非病原性グラム陽性E faecalis Symbio DSM 16440) 10滴・3回/日 生後5週から生後7ヶ月まで

C: プラセボ

O: 3歳までのアトピー性皮膚炎累積罹患率(Hanifin and Rajka基準で診断)

 

【結果】

526人は生後7ヵ月までを完遂し、487人は3歳まで完了した。

安全性と忍容性は高く、有害事象は腹痛(両群0.8%)、下痢(介入群7.5%、プラセボ群7.4%)、腹部膨満(両群0.1%)であり、重篤な胃腸症状(例えば出血性腸炎や腸重積症)は認めなかった。

アトピー素因が母のみであるか、両親ともにある児において、アトピー性皮膚炎発症率は両群で有意差はみとめなかった

しかし、アトピー素因が両親どちらかのみに認めるサブグループにおいて、アトピー性皮膚炎罹患率は、介入群で生後31週後に有意に低下しており(相対危険度、0.52; 95%CI、0.3-0.9)、介入群では、154名中15名、プラセボ群は145例中27例がアトピー性皮膚炎を発症していた(p=0.030)。

 

論文から引用。

アトピー素因が両親どちらかのみであるサブグループ群では、介入群(細菌溶解液内服)がアトピー性皮膚炎発症率が低い。

【クリックで拡大】

 

 

この効果は、父のみがアトピー遺伝形質をもつ新生児群でより有意だった(11%対32%、P = .004; 相対危険度 0.34; 95%信頼区間 [0.2-0.7])。

血清総IgE濃度の中央値は、7ヵ月で5kU/L(P =.824)、24ヵ月で介入群vsプラセボ群 9.1kU/L vs 10.0kU/L(P =.596)、36ヵ月で24.3 vs 22.9kU/L(P =.283)だった。

 

【コメント】

加熱殺菌された細菌溶解液は、低リスクでアトピー予防できることを示唆し、特に父がアトピー素因を持つ方がアトピー性皮膚炎発症を予防するのではと結論されていました。しかし、Impactは大きいですが、加熱殺菌されているとは言え細菌溶解液を新生児期から内服して、しかも600人以上も参加者を集めるとは、、、。日本ではちょっとできなさそうです。また、感作も予防できていない結果でした。

 

 

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就学期前にピーナッツを開始すると、ピーナッツアレルギー発症・進行を予防できる: ランダム化比較試験

Vickery BP, et al. Early oral immunotherapy in peanut-allergic preschool children is safe and highly effective. J Allergy Clin Immunol 2016 [Epub ahead of print].

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27522159

 


生後4か月から10か月にピーナッツを開始することで5歳時のピーナッツアレルギーを予防しうるというLEAP試験(http://pedallergy.jugem.jp/?eid=23)は、食物アレルギー予防に大きなインパクトを与えました。

とはいえ、本邦で「生後4-10か月にピーナッツを始めましょう」とお話ししたとしても、容易に受け入れられる月齢ではないでしょう。では、3歳までに開始を考えるとどうでしょうか。


 

P: ピーナッツアレルギーが疑われた9-36か月の児37名

E:  E1 ピーナッツ維持量300mgで経口免疫療法を受ける児

  E2: ピーナッツ維持量3000mgで経口免疫療法を受ける児

C: マッチされた標準的ケアコントロール群154人

O: 4週間中断した後のピーナッツ5g負荷試験(4-SU)をクリアするか

 

【結果】

ピーナッツアレルギーは、ピーナッツを含む食物を摂取後のアレルギー反応歴が6か月以内にあり、ピーナッツ特異的IgE抗体価が≧0.35kUA/Lもしくは皮膚検査3mm以上もしくは、ピーナッツ摂取歴がなくピーナッツ特異的IgE抗体価5kUA/L以上と定義した。

5例が脱落し、3例は治療関連のアトピー性皮膚炎、2例がプロトコール非順守であり、5例中4例が3000mg群だった。

ITT解析の結果は、中央値29ヵ月で37例中29例(78%)が4-SUに達した(300mg群:17/20例[85%]、3000mg群:12/17例[71%];P = .43)。

Per Protcol 解析の結果では、29/31例(91%)が4-SUを達成した。

ピーナッツ特異的IgE抗体価の経過に関し、ベースラインでの試験参加者では、ピーナッツ特異的IgE抗体価中央値14.4kUA/L(IQR 3.3-51kUA/L)、マッチドコントロール群では21.9kUA/L(6.9-73kUA/L)であった(P = .12)。

経口免疫療法(OIT)群ではピーナッツ特異的IgE抗体価の中央値は1.6kUA/L(0.5-4.9kUA/L)まで減少し、コントロール群では57.4kUA/L(9-101kUA/L)に有意に増加した。OIT群でのピーナッツ特異的IgE抗体価は、標準的ケア対照群より19倍減少する可能性があると推定された(相対危険度 19.42; 95%CI、8.7-43.7; P < .001)。

 

【コメント】

生後3歳未満でピーナッツを少量でも開始するとピーナッツアレルギー予防になり、感作の進行を19倍も抑制するという結果とまとめられます。

ただし、試験デザインはランダム化比較試験ですが、ランダム化しているのはピーナッツ負荷量であり、対照はマッチドコントロールであることに注意は要します。しかし、乳児期に開始したLEAP試験(http://pedallergy.jugem.jp/?eid=23)に比較して、もう少し後から開始しても一定の効果が上がることは重要な知見です。また、感作の進行も抑制しており、本邦でも活用できる報告なのではないでしょうか。

 

 

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妊娠中のビタミンDは、児のアトピー性皮膚炎発症リスクを下げるかもしれない: メタアナリシス

Wei Z, et al., Maternal vitamin D status and childhood asthma, wheeze and eczema: a systematic review and meta-analysis. Pediatr Allergy Immunol 2016.[Epub ahead of print]

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27145360

 


最近、ビタミンDとアレルギーの関連に関する論文が増加しています(Allergy 2012; 67:10-7.)。このブログでも、ビタミンDはアトピー性皮膚炎に効果がある(http://pedallergy.jugem.jp/?eid=47)、妊娠中のビタミンD補充は、児の喘息予防に効果不十分(http://pedallergy.jugem.jp/?eid=111)や、ビタミンDとアトピー性皮膚炎重症度は相関しない(http://pedallergy.jugem.jp/?eid=52)などを提示してきました。今回は妊娠中の母体のビタミンDが児のアレルギー疾患に関連するかどうかのメタアナリシスです。


 

 

P: 2014年8月まで PubMed、EMBASE、コクランライブラリ、Wanfangデータベース(中国)、VIPデータベース(中国)、Chinese National Knowledge Infrastructure (CNKI) を検索  

  小児喘息に関する4研究(3666母児)   

  幼児期喘鳴に関する4研究(2225母児)  

  小児期湿疹に関する3研究(2172母児)

E: 母体のビタミンDの状態

C: -

O: 母体のビタミンDは、児の湿疹、喘鳴・喘息と関連するか

 

【結果】

妊娠中の母体のビタミンDは、小児期湿疹と関連した(オッズ比[OR] 0.904;95%信頼区間[CI] 0.831-0.983)。

しかし、小児期喘息(OR 0.981;95%CI 0.944-1.019)、幼児期喘鳴(OR 0.995;95%CI 0.982-1.009)とは関連しなかった。

 

【コメント】

母体のビタミンDは児の湿疹と関連があるとまとめることができます。

研究の限界として、ビタミンDの評価(血清、臍帯血、食事量、サプリメント補給量)の方法が同一ではなく、食事・サプリメントの情報も主にアンケートに基づいており、リコールバイアスの可能性があるとされていました。

また、厳格な包含基準のために、研究数が制限されたことや、人種/民族性に関するデータが不足していたことも限界に数えられます。妊娠中の母体のビタミンDが、児のアレルギー発症に関連はありそうですが、母体にビタミンDを投与して児のアレルギーが予防できるかどうかはまだ分かりません。実際、母体にビタミンDを投与して、児の喘息を予防できなかったという報告や(http://pedallergy.jugem.jp/?eid=111)、児のビタミンD血中濃度とアトピー性皮膚炎の重症度との関連はなかったという報告(http://pedallergy.jugem.jp/?eid=52)もあります。

 

 

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