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小児に対するインフルエンザワクチンに効果はあるか: 多施設症例対照研究

Shinjoh M, et al. Effectiveness of Trivalent Inactivated Influenza Vaccine in Children Estimated by a Test-Negative Case-Control Design Study Based on Influenza Rapid Diagnostic Test Results. PLoS One 2015; 10:e0136539.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26317334

 


昨日のインフルエンザワクチン関連アナフィラキシーの報告(http://pedallergy.jugem.jp/?eid=216)に引き続き、慶応大学のグループから小児に対するインフルエンザワクチンの効果に関しての報告です。

なお、この報告は、まだ3価ワクチンであるシーズンの報告ですので、現在の4価ワクチンになった場合の効果はどうなるかを十分見守っていく必要性がありますが、有効であるという結果です。また、フルミスト(鼻噴霧インフルエンザワクチン)の効果が下がってきている可能性が指摘されており(http://pedallergy.jugem.jp/?eid=200)、現状では皮下ワクチンが主役といえます。


 

P: 2013〜14年度に本邦の22施設で、38°C以上の発熱で受診しインフルエンザ迅速検査(influenza rapid diagnostic test;IRDT)を受けた生後6ヶ月から15歳の小児4727人

E: インフルエンザ迅速検査(IRDT)陽性

C: インフルエンザ迅速検査(IRDT)陰性

O: インフルエンザワクチンの効果(vaccine effectiveness ;VE) があるか

 

 

結果

 

インフルエンザA型が876人(A(H1N1)pdm09が66人、その他810人はサブタイプ不明)、インフルエンザB型が1405人だった。2445人はインフルエンザ迅速検査陰性だった。

全体としてインフルエンザワクチンの効果(VE)は46%(95%信頼区間[CI]、39-52)と推定された。

インフルエンザA型、インフルエンザA型(H1N1)pdm09、インフルエンザB型に対する調整VEは、それぞれ、63%(95%CI 56-69)、77%(95%CI 59-87)、26%(95%CI 14-36)と推定された。 また、生後6〜11ヵ月児では、インフルエンザA型もインフルエンザB型に対しても有意な効果は認められなかった。

インフルエンザワクチンの2回接種は1回接種よりも、インフルエンザA型感染に対し良好な防御効果を示した(OR 0.72(95%CI:0.52〜0.99)

インフルエンザA型による入院抑止効果は76%(95%CI:51〜88)でありインフルエンザA型(H1N1)pdm09の入院阻止は90%(95%CI:54〜98)だったが、インフルエンザウイルスB型による入院阻止には効果的ではなかった。

 

論文より

6-11ヶ月児では効果が認められていないが、全体としてインフルエンザA型に対する効果が高い。

ただし、6-11ヶ月と13-15歳に関しては、評価している人数が極端に少ないこと、小児では13歳以上から1回接種であることに注意を要する。

【クリックで拡大】

 

 

 

 

 コメント

 

小児に対するインフルエンザワクチンの効果は特にA型に関しては有意に認められ、入院阻止効果もあるとまとめられます。ただし、特に6-11ヶ月児に関しては有意な効果は認められないうえ、年長者も含めB型に対しての効果は不十分だった、とも言えます(6-11ヶ月児に関しては、検討例数が少ないという問題点は残ります)。

 一方で、この結果は3価ワクチン(A型2種、B型1種)によるものであり、現在の4価ワクチン(A型2種、B型2種)になった現在では異なる結果になる可能性もあること、13歳以降は1回接種であること、繰り返しですが6-11ヶ月の症例数が少ないことに注意を要するでしょう。

本論文に記載があるように、すでに先行研究において、健康な小児に対するインフルエンザワクチンの有効性は40%-70%であることが報告されています。しかし、ワクチン株と予防接種株が一致していても、2012-2013年度の流行株であるインフルエンザA型/H3N2において、特に年長者に対するワクチンの効果が低かったように、H3N2株を卵で増殖させる際の突然変異にも問題があるとされています。

私自身は、インフルエンザワクチンに対して肯定的な評価ですが、例えば麻疹などのように阻止効果が極めて高いものと横並びに評価できるものでもないということを患者さんへ説明する必要があると思っています(私が言うまでもなく、多くの先生方がそうされているでしょうけれど)。

一方で、インフルエンザワクチンへの否定的な、場合によっては”全く効果がない”という評価を与えている患者さん(一部の医療者も)がいらっしゃいます。患者さんへは、この論文のようなワクチンに対する効果に関するデータをお話するべきでしょう。また、”打たないことによるデメリット”も説明する必要があるはずです。

今回の検討からは、6-11ヶ月児に対する予防接種に関しては、むしろ感染ルートになる親御さんに対する予防接種を十分に行い(できるならば2回接種)、家族からの感染を防ぐといった方法も考えられるのではないでしょうか。また、今回の結果からは、13歳以上に対しても、2回接種が必要なのではないかとも考えられます。

その上で、4価インフルエンザワクチンの大幅な薬価の引き下げをして、接種しやすくするのが急務のように思います。

一方、ワクチンが自費なのに抗インフルエンザ薬には保険が適応されるという不平等性が生まれています。あくまで私見ですが、ワクチンを接種していない方に対しては抗インフルエンザ薬が自費になる、ワクチン接種をしている方には保険が適応される、といった平等性への配慮もあっていいのではと思います。もちろん、このあたりは十分な議論は必要でしょうけど、、

 

 

 

* 2016/11/27 フォーマットを修正しました。

 

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アーミッシュ内での麻疹アウトブレイク

Gastanaduy PA, et al. A Measles Outbreak in an Underimmunized Amish Community in Ohio. N Engl J Med 2016; 375:1343-54.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27705270

 


最近、アーミッシュの方々で喘息が少なく、それは伝統的な生活を守っているからという研究結果をお示ししました(http://pedallergy.jugem.jp/?eid=185)。そして、微生物群がアレルギー発症を抑えているという”衛生仮説”は、重要な仮説として証明されてきています(http://pedallergy.jugem.jp/?eid=203)。では、アーミッシュの方々のような生活に戻ることが良いのでしょうか?

今回は、予防接種をしていないアーミッシュの方が麻疹の輸入者となり、さらに麻疹が未接種者を狙い撃ちする可能性が十分にあることを示した報告です。麻疹の予防接種は2回以上が推奨されており、本邦でもすでに2回が定期接種化されています。しかし、最近本邦でも麻疹の小規模な集団発生があったことは記憶にあたらしいところでしょう


 

* 今回の検討は症例集積研究に近く、下記のPECOは便宜的なものです。

P:2014年3月24日から2014年7月23日にかけてオハイオ州の9つの郡で発生した麻疹患者計383人

E: 麻疹感染者 

C: 麻疹非感染者

O: 麻疹感染者の特徴

 

【結果】

患者年齢の中央値は、15歳(範囲 1〜53歳)だった。患者のうち178人(46%)は女性であり、340人(89%)はワクチン未接種だった。伝染の68%は家庭内で起こった。

ウイルス株は遺伝子型D9であり、その遺伝子型の麻疹は報告期間中にフィリピンで流行していた。 そして、2014年にWHOは、フィリピンにおいて21403例の麻疹発生と110人の死亡例があったと報告していた。

一方、2014年3月に、台風の救済事業のためにフィリピンに行った2人のアーミッシュの男性が米国に戻り、知らずに麻疹に感染しており、感染拡大の端緒となった。

アーミッシュの14%とアーミッシュ以外の88%以上に少なくとも1回のMMRワクチン接種歴があると推定され、麻疹封じ込め策は、患者隔離・感受性の高い人の隔離・10000人以上へのMMRワクチン投与で行われた。

麻疹の流行はほぼアーミッシュの居住地域(99%)に限られていたが、感染者は32630人のアーミッシュのわずか1%だった

 

【コメント】

今回の米国オハイオ州におけるアーミッシュ内での麻疹流行の特徴は、主に家庭内の伝染であったこと、おもったよりはアーミッシュでの感染率が少なかったとは言えるものの、大多数が予防接種をしていないアーミッシュだったとまとめられます。

米国では、2000年に麻疹流行が排除されたと宣言されたにもかかわらず、麻疹が輸入されていると述べられていました。

もちろん、アーミッシュの方々の生活に関し批判するものではまったくないのですが、この事例からはやはり、麻疹は予防接種をしていない人を狙い撃ちするように感染することは間違いなさそうです。また、予防接種をしていない「高感受性」の方が輸入者となり、震源となることが多くあるということになります。

一方で、予防接種率が高い社会では、”予防接種をしていないけど、今までかかってません”という患者さんがいらっしゃることも確かであるといえるのではないでしょうか。

こういったケースを踏まえ、少なくとも現在のようなグローバルな世界では、海外に勤務したり旅行に行くことが多いこれからの世代に対する予防接種の必要性はますます高まっているように思います。

 

 

 

 

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フルミスト(鼻噴霧インフルエンザワクチン)の効果は低くなっている: ケースコントロール研究

Caspard H, et al. Effectiveness of live attenuated influenza vaccine and inactivated influenza vaccine in children 2-17 years of age in 2013-2014 in the United States. Vaccine 2016; 34:77-82.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26589519

 


鼻噴霧インフルエンザワクチン(商品名フルミスト)は、本邦でも一部のクリニックなどで輸入して使用されています。

しかし、ここ数シーズンで効果が落ちているのではないかという話題もありました。


 

P: 2013〜2014年度のインフルエンザ流行期間に<5日間の熱性急性呼吸器疾患に罹患して4施設で登録された2-17歳の1033人

E: 四価弱毒化生インフルエンザワクチン(live attenuated influenza vaccine;LAIV)接種者

C: LAIV未接種対照

O: LAIVはインフルエンザ予防に効果があるか

 

【結果】

インフルエンザは、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応法で鼻腔用綿棒検体を用いて検査され、予防接種記録は、カルテや予防接種登録から調査された。研究期間の14日以上前にインフルエンザワクチンを1回以上接種された児がワクチン接種を受けたと判断された。

ワクチン効果(VE)は100x(1-調整オッズ比)として計算され、インフルエンザ症例と試験陰性対照の間のワクチン接種の確率が求められた。インフルエンザ例と陰性対照は、年齢、性と人種に有意差は認められなかった。

インフルエンザは、1033例中145例(14%)で同定され、インフルエンザ症例のうち、A/H1N1pdm09株は74%(108例/145例)であり、H3N2株が21%、B型が4%だった。

LAIVは、A/H1N1pdm09に対しVE 13%[95%CI:-55〜51]と有意な予防効果を示さず、B/山形株に対してはVE 82%[95%CI:12-96]と有意に予防効果があった

不活化インフルエンザワクチンは、A/H1N1pdm09に対しVE 74%[95%CI:50-86])、B/山形株に対しVE 70%[95%CI:18-89]と予防効果があった

 

【コメント】

2013〜2014年シーズンにおいて、2-17歳の児に対するフルミストは、A/H1N1pdm09株に効果がなくB/山形インフルエンザに対してのみ有意に予防効果を示したとまとめられます。また、皮下注の不活化ワクチンに効果が劣ったと言えます。

2015〜2016年シーズンにおいては、新規の、より熱に安定なA/H1N1pdm09 LAIV株による製剤への変更が必要であるとされていました。

フルミストは、皮下注の痛みがないことや、理論的に皮下注より効果が高いことが期待されて本邦でも認可に向けた動きがあります。もちろん、効果がない予防接種を強行するわけには行きませんが、生ワクチンの管理の問題などの指摘もあり、「より熱に安定な」という言及につながっているようです。

今後の動向に注目していきたいと思っています。

 

 

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吸入する麻疹ワクチン(点鼻ではない)

Low N, et al. A randomized, controlled trial of an aerosolized vaccine against measles. N Engl J Med 2015; 372:1519-29.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25875257

 

今回は小児科のテーマです。
点鼻のインフルエンザワクチンは本邦でも個人輸入されて使用している先生もいらっしゃるようですが、これはネブライザー吸入するワクチンです。

* タイトルが麻疹でなく”インフルエンザ”になっていたことに気が付きましたので、修正いたしました(2016/11/1)



P: 生後9から11.9か月のインドの乳児 2004名
E: エアゾール吸入用麻疹ワクチン投与 1001名
C: 皮下麻疹ワクチン投与 1003名
O: 91日目の麻疹抗体血清学的陽性率

【結果】
データ不足331例を除いた1560例がPer-Protcol解析された。
エアロゾル投与された85.4% (743/785例; 95%信頼区間 82.5-88.0%)、皮下投与された94.6%(743/785例; 95%信頼区間 92.7-96.1%)が抗体陽性。皮下投与群が有意に抗体獲得血清学的陽性率は高値だった。
有害事象には有意差なし。

【コメント】
経鼻インフルエンザワクチンのように、吸入ワクチンがあれば児のワクチンの負担は減るかもしれないが、抗体獲得に有意差が出ている。
先進国では効果が低下するならば避けられてしまうだろうし、機器を要するならば発展途上国でも普及は困難かもしれない。でも、予防接種をする側もされる側も、「注射」は出来れば避けたいので、痛くない予防注射がいいですね。


 

評価:
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南山堂
¥ 3,780
(2014-04-01)
コメント:医師が予防接種の前に読むと良い本です。全てを網羅はしていません。

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