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エビデンスに基づくアトピー性皮膚炎治療は?

 

topic

 

 アトピー性皮膚炎に対する治療は、必ずしもエビデンスが十分カバーできている領域ばかりではありません。

 今回ご紹介する報告は、すでに先行して2000年に行われた報告があるのですが、それ以降の報告を集めてシステマティックレビューとして報告したものです。

 

P: 2015年12月までのPubMed, Embase, the Cochrane Library and NHS Evidenceを検索して抽出された、アトピー性皮膚炎治療に関するRCT 22件
E: 各種治療

 (i) ステロイドや免疫抑制剤外用
 (ii) 保湿剤や他の外用剤(入浴添加物や油を含む)
 (iii) 抗生物質(抗菌薬、消毒剤、抗真菌薬)
 (iv) 抗ヒスタミン剤、マスト細胞安定化薬
 (v) 食事介入(プロバイオティクス、必須脂肪酸、ビタミン、牛乳の代用乳);
 (vi) 非薬理学的介入(AE治療を提供する教育、心理的治療法、アレルゲン回避や再導入、医療器具)
 (vii) 光線療法
 (viii) 全身性免疫抑制薬
 (ix) 補完的な治療(ホメオパシー、アロマ療法、催眠療法、漢方薬、セントジョンワート、鍼、温泉治療、リラクゼーション)

C: プラセボ
O: アトピー性皮膚炎の症状・重症度・QOL・副作用に有益性がある治療法はなにか

 

 結局、何を知りたい?

 ✅アトピー性皮膚炎の治療に関し、質の高いランダム化比較試験を集めて、エビデンスが十分かどうかを確認しようとしている。

 

結果

 

 2000年以降、新規の研究として287件が同定されたが、バイアスが低いと考えられた報告は22件だった。
 そのうち14の研究は、有益性に合理的なエビデンスを持つと考えられ、ステロイド外用、カルシニュリン抑制剤外用、Atopiclair保湿剤、シクロスポリン、アザチオプリン、紫外線放射、教育プログラムに有益性が認められた
 一方、9つの介入試験は、有益性に対する十分なエビデンスがないことを示唆し、食事介入、イオン交換硬水軟化剤、ステロイド外用の1日複数回使用、抗生物質含有ステロイド外用には有益性は認められなかった
 一般的に行われているプラクティス(ステロイド外用の希釈、ステロイド外用と皮膚保湿剤使用の順序、包帯(亜鉛またはイクタモールを包帯に塗る)、さまざまな入浴習慣(消毒薬ではない入浴添加物、石鹸回避、入浴の頻度)、ルーチンのアレルギー検査に引き続くアレルゲン回避や再導入)におけるRCTのエビデンスがないことが示された。

 

 現在、RCTのエビデンスがない領域は下記の通り。
・アレルギー検査は、アトピー性皮膚炎治療にどんな役割を果たすのか?
・アトピー性皮膚炎患者の最善の洗浄方法はなにか?.
・アトピー性皮膚炎の治療において、最初に使用されるのは皮膚保湿剤なのかステロイド外用なのか?

 

 RCTのエビデンスが限定されている領域は下記の通り。
・アトピー性皮膚炎の対するステロイド外用薬の最善のおよび最も安全な方法は?
・アトピー性皮膚炎に対するステロイド外用薬の長期の安全性は?.
・どの皮膚保湿剤が最も効果的で安全か?
・かゆみ・ひっかきに対する最善の心理的治療は?
・皮膚に使用する最善・最も安全な「自然」製品は、何か?
・刺激物やアレルゲン回避は、アトピー性皮膚炎を改善させるか?.
・アトピー性皮膚炎の治療における食事の役割は(食事除去や栄養剤)?
・教育プログラム、一般開業医による治療、看護師主体の治療、多くの専門にわたるチームのの治療のうち、アトピー性皮膚炎の管理に効果的なのは?
・特にプロアクティブな紅斑予防のためにステロイド外用とカルシニュリン抑制剤のどちらがより安全で効果的か?
・皮膚感染を低下させる介入は、どれくらい効果的か?
・特に小児で免疫を抑制する薬を使用する最善のおよび最も安全な方法は?

 

 結局、何がわかった?

 ✅ステロイド外用、カルシニュリン抑制剤外用、Atopiclair保湿剤、シクロスポリン、アザチオプリン、紫外線放射、教育プログラムの有益性にはエビデンスがある。

✅食事介入、イオン交換硬水軟化剤、ステロイド外用の1日複数回使用、抗生物質含有ステロイド外用には有益性ないというエビデンスがある。

 

コメント

 

 思った以上に、アトピー性皮膚炎治療に対するエビデンスは不足していると言えましょう。

 しかし、”エビデンスがない”は、”効果がない”と同義ではなく、まだまだ明らかにしないといけない分野が多いことを示しています。

 また、”1日複数回のステロイド外用に効果があるというエビデンスがない”というのは、治療初期の複数回治療にエビデンスがないといっているのではありませんので念のため。

 なお、アトピー性皮膚炎に対する治療のエビデンス集として、”EBMとデータ集”が公開されています。やや古くなってきている印象もありますので、更新されることを希望しています。

 

 ”Atopiclair”というのは、海外の保湿剤のようです。Amazonで調べたら、下記のものがでてきましたが、とってもお高いですので、他の保湿剤をおすすめします

 今日のまとめ

 ✅アトピー性皮膚炎治療に関し、ステロイド外用・カルシニュリン抑制剤外用・Atopiclair保湿剤・シクロスポリン・アザチオプリン・紫外線放射・教育プログラムには有益性が認められたが、エビデンスが不足している分野も多く残されている。

 

[補足] 市販の保湿剤に関しては、"それぞれに合うもの"で良いと思いますが、私が外来で患者さんに聞かれたときは、"セタフィル"や、"2e baby"や、"キュレル"をおすすめしています。しつこいですが、"合うもの”でよいので、これらはあくまで参考程度です。

 

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保湿剤の頻繁な使用は、余分な物質にも多くさらすかもしれない

 

topic

 

 アトピー性皮膚炎の予防や治療に関し、保湿剤は極めて重要なポジションにあります。

 

 

 

 

 私は、アトピー性皮膚炎に対し、保湿剤を頻回に使用することを強く勧める医師のひとりではありますが、医学は一方的に白黒つけることができないことも承知しているつもりです。

 今回は、保湿剤のデメリットかもしれない報告をご紹介いたします。

 

P: デンマークの4-9歳の小児845人(男児59.5%、女児40.5%)
E: 保湿剤の頻繁な使用
C: 保湿剤をあまり使用しない
O: 尿中フタル酸塩代謝産物とパラベン濃度

 

結局、何を知りたい?

✅保湿剤を塗ることで、余分な成分も吸収されていないかどうかを知ろうとしている。

 

結果

 

 1997〜2001年にコペンハーゲン(デンマーク)で行われたコホート試験に参加した1953人の妊婦対して行われ、児に関し出生時、生後3、18、36ヵ月で追跡調査され、本研究は4-9歳時845人の小児に対する尿検査で行われた。
 保湿剤の使用方法に関してはアンケート調査により、「どれくらい、あなた(またはあなたの小児)はあなたの子どもにエモリエントもしくはモイスチャライザーを使用するか?」という質問で行われた。

 回答カテゴリーは、「毎日」、「週につき数回」、「1ヵ月につき数回」、「まれに」、「決して使用しない」を含んだ。
 アトピー性皮膚炎の有病率は16.1%だった。
 尿中フタル酸塩代謝産物とパラベンに関しては、メチルパラベン(MePa)・エチルパラベン(EtPa)・パラオキシ安息香酸プロピル(PrPa)・ブチルパラベン(BuPa)・ベンジルパラベン(BzPa)とともに、フタル酸(DEP)ジエチルフタル酸塩代謝産物・di-n-butyl phthalate (DnBP)・di-n-butyl phthalate (DnBP)・butylbenzyl phthalate (BBzP)・ di-(2-ethylhexyl) phthalate (DEHP)・ di-n-octyl phthalate (DOP)濃度が、液体クロマトグラフィ・タンデム型質量分析によって分析された。
 頻繁に保湿薬を使用する児の尿中のフタル酸塩代謝産物とパラベンは、保湿剤をあまり使用しない児と比較して、より高かった

 一般的なフィラグリン(FLG)突然変異との関連はなかったが、アトピー性皮膚炎児は、アトピー性皮膚炎のない児と比較すると尿中低分子(LMW)フタル酸のひとつとパラベンの2つが有意に高値だった。

 

結局、何がわかった?

✅保湿剤を頻繁に塗っている児のほうが、あまり塗っていない児より保湿剤の添加物の代謝産物のいくつかが尿のなかに多く認められた。

 

コメント

 

 保湿剤の使用とアトピー性皮膚炎は、4-9歳児の体内のLMWフタル酸塩とパラベン暴露をわずかに増加させたとまとめられます。
 その差が痒みや炎症がある皮膚を治療するために用いる特定の保湿剤の使用によって説明され得るかどうか、もしくは 皮膚バリア障害がよりそれらをより透過させるかどうかは、よくわかっていないと述べられていました。

 また、それらの物質が毒物的な負担を増やすのかどうかも分かっていない

 パーソナルスキンケア用品において、パラベンを含む皮膚感作物質を含むものはすくなからずあり、主にプラスチック容器からの汚染物質として、また、フタル酸塩ジエステルが化粧品やパーソナルスキンケア用品に認められるそうです。

 これらの化学物質は軟化効果のため、添加される可能性があります。

 保湿剤そのもののマイナス点と言えるでしょうけれども、論文の図にある量の違いは小さいものであり、これがどこまで問題点として指摘できるのかは明らかになったとは言えません。

 これらを恐れて保湿剤を塗布せずに皮膚のバリア機能を低下させてアトピー性皮膚炎を悪化させるほうが大きなマイナスのように思えます。

 

今日のまとめ

✅保湿剤に含有されるパラベンやフタル酸塩は、アトピー性皮膚炎や頻回の保湿剤塗布で人体に入ってくる可能性があるが、それが人体に影響を及ぼすかどうかは明らかではない。

 

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ステロイド外用薬はTARCを下げるのか?

 

topic

 

 ここ数日、TARCの有用性に関し、重症薬疹(DIHS)にも役立つかもしれないという報告や、アトピー性皮膚炎以外の疾患にも有用かもしれないという報告を御紹介してきました。

 

 

 

 しかし、実際に使われるのはアトピー性皮膚炎の管理が中心になります。

 そこで今回は、九州大学皮膚科のグループからの、治療前後でTARCがどれくらい低下するのかを検討した報告を紹介させていただきます。

 

P: 治療前後3か月以内にTARCを測定された成人アトピー性皮膚炎(AD)患者56人(男性31人、女性25人、平均34.75±12.76歳 [15-73歳])
E: ステロイド外用薬使用量
C: -
O: 毎週のAD患者のステロイド外用薬投薬量と血清TARC低下率に関連はあるか

 

結局、何を知りたい?

✅成人のアトピー性皮膚炎に対し、ステロイド軟膏をどれくらい塗ると、皮膚炎症を反映するTARCが下がるかということを知ろうとしている。

 

結果

 

 血清TARCを測定したアトピー性皮膚炎(AD)患者計349人(男性184人、女性165人)が登録され、TARCが一度だけ測定された188人、シクロスポリンやプレドニゾロンといった免疫抑制薬内服、もしくは紫外線療法を受けた54人、14歳以下の小児 13人、TARCの測定間隔が3ヵ月を超えている36人、TARCが≦700 pg/mLである軽症患者 2人は除外され、最終的に56人が検討された。

 同じ患者で3か月以内のTARC検査を複数ある場合、先の検査を優先した。

 56人は連続的に抗炎症外用薬で治療を受ける間、全員に経口抗ヒスタミン剤と保湿剤も処方された。

 患者は、TARC≧3001 pg/mL(重症群)と701〜3000pg/mL(中等症群)の2群に分けられた。

 また、TARCの週あたりの減少を算出するために、治療前と治療後の週数の中央値で2群に分けられた。

 ステロイド外用薬およびタクロリムス外用薬量は、患者にどれくらいの使用したかを尋ねたり、外用薬の本数をチェックしたり、週あたりのステロイド外用薬の処方量によって計算された。

 週あたりの抗炎症薬の使用量は、総相当量(total equivalent amount;TEA)として示された(ステロイド外用薬= Storong x1; Mild x0.5; Very Strong x2; Strongest x4、タクロリムス軟膏0.1% ×1; 0.03% x0.5)。

 56人の治療前の血清TARCは、829から52000pg/mL(mean±SE; 7076.48±1336.73pg/mL)であり、外用薬治療3ヵ月以内のTARCは、159から6740pg/mL(1554.71±198.07pg/mL)だった。

 中等症群の治療前TARC(1847.89±137.60pg/mL)は、治療後有意に低下した(971.11±113.88pg/mL)。

 重症群も、治療前TARC(12305.07±2246.94pg/mL)も治療後低下した(2138.32±342.48pg/mL)。

 重症群の変化率は、中等症群群より有意に急速だった(p < 0.001)

 週あたりのTARC減少は、週当たりのTEAと有意に相関し、中等度から重症のアトピー性皮膚炎患者におけるTARCが、1週間あたり9.94pg/mL低下するために、ストロングクラスのステロイド外用薬もしくは、ステロイド換算のタクロリムス外用薬を1g必要とした

 

論文より引用。

TARCとTEA(週当たりのステロイド相当の外用量)は相関する

 初期のTARCが高いと外用薬をより多く必要とし、TARCはより早く低下した。

 血清TARCと末梢血好酸球数は、有意に相関した。

 

結局、何がわかった?

✅ステロイド外用薬の使用量が多いほど、TARCは低下(皮膚の炎症が低下)し、それは重症のアトピー性皮膚炎のほうが早く低下した。

 

コメント

 

 血清TARC低下率とステロイド外用使用量は、強く相関しているとまとめられます。

 TARCと好酸球数は有意に相関しているが、TARCはより広範囲の値を示すため、ADの重症度をモニターするためにより臨床的に役立つようであるとされています。

 Limitationとして、(1) TEAが抗炎症薬の外用量の実際の使用量を表さないかもしれないこと、(2) 治療前後の3ヵ月は、量と効果の関係を調べるのは長すぎる可能性があること、(3)抗ヒスタミン剤と保湿剤の薬効を除外できていないことが挙げられていました。

 もちろん、この報告は、「たくさんステロイド外用薬を使おう」と勧めているわけではなく、「不十分な外用量では十分改善しない」ことを示唆する報告といえると思います。

 さらにこの先、減量フェーズにどうなるか、また、どれくらいのTARCだと再燃しやすいのかを知りたいところです。

 

今日のまとめ

✅TARCはアトピー性皮膚炎の治療により低下し、重症であるほうが低下率が大きい。

 

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アトピー性皮膚炎に対する保湿剤使用: レビュー

Ng JP, Liew HM, Ang SB. Use of emollients in atopic dermatitis. J Eur Acad Dermatol Venereol 2015; 29:854-7.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25444256

 


最近、アトピー性皮膚炎に対するスキンケアや保湿剤の論文をよくUPさせていただいています。最近のご紹介を概観しても、

総論的

 ・ドライスキンに対する保湿剤使用のコンセンサス声明(http://pedallergy.jugem.jp/?eid=232)

 ・保湿剤の臨床効果: システマティックレビューhttp://pedallergy.jugem.jp/?eid=211)

保湿剤同士に関しての比較

 ・保湿剤同士の比較試験(http://pedallergy.jugem.jp/?eid=219)

洗浄に関して

 ・洗浄に関して、陰イオン界面活性剤は皮膚のバリア機能を傷害するかもしれない(http://pedallergy.jugem.jp/?eid=234)

 ・アトピー性皮膚炎治療に対し、入浴頻度は重要か?(http://pedallergy.jugem.jp/?eid=236

 ・アトピー性皮膚炎児の毎日の入浴を、専門医は推奨しプライマリケア医は推奨しない(http://pedallergy.jugem.jp/?eid=235)
保湿剤と感染症

 ・保湿剤塗布は、皮膚細菌叢の改善に働く(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27001317)

 ・ワセリンは、皮膚の抗菌作用と表皮バリア機能を改善させる(http://pedallergy.jugem.jp/?eid=238)

 ・アトピー性皮膚炎は、皮膚感染症以外の感染症のリスクも上げる(http://pedallergy.jugem.jp/?eid=230)

患者教育

 ・患者教育は、生活の質や重症度を改善する(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26833102)

 ・スキンケア方法を書いて説明したほうが症状が改善する(http://pedallergy.jugem.jp/?eid=231)

 といったところでしょうか。

自分自身が保湿剤のレビューを書いているからなのですが、今回はレビューのご紹介です。


 

まとめ

 

■ 2013年12月14日から2013年12月21日までにPubMedで“Atopic Dermatitis (MESH)” と“Emollients (MESH)”を検索、Googleで “Atopic Dermatitis”, “Ezcema”, “Emollients”、“Prevention”を検索

2014年9月12日と2014年9月14日にPubMedで“Stratum Corneum Lipids”を検索  

■ 最終的に収集された論文49本

■ アトピー性皮膚炎(AD)は、経済的・心理的に影響を持つ一コモンな炎症性皮膚疾患である。 オーストラリアにおける研究は、インシュリン依存性糖尿病児で比較して、中等度から重症ADの児のほうが有意にストレスを感じることを示している。

■ フィラグリンタンパク質をコード化している遺伝子変異は、不完全な表皮への遺伝因子になると考えられていおり、AD児のおいて、TEWLを皮膚バリア機能不全の指標としたとき、疾患重症度と相関することが示唆されている。

■ 保湿剤は、急性期でも寛解期のでも第一選択となる治療法である。 保湿剤は、皮膚の柔らかさと水分補給を維持するために閉塞性および/または湿潤効果をもたらす局所製品であり、最近、生理的脂質のような物質を含有されている。これらの追加は、概してAD治療(加湿・消炎・かゆみ止め・抗生物質)を目的とする。

■ 保湿剤を塗布しない入浴は、皮膚水分補給を減少させるため、保湿剤は、入浴後に使用されなければならない。しかしながら、入浴後、すぐ塗布する場合と、30分後に塗布する場合では、90分間の水分補充に関して有意差が認められなかった。そのため、入浴後すぐさまに使用する必要性には、議論の余地がある

保湿剤の使用頻度は決定されていないが、1日複数回の使用が勧められる理想的には、患者のコンプライアンスと臨床的有効度におけるバランスで提供されなければならない

ステロイドを減量する効果を調査する際、皮膚保湿剤の製剤と組成の違いを考慮することが重要である。

保湿剤はステロイド外用薬を減量する可能性があるが、より良質な設計の研究によって結論付けられるべきである。 現状では、1週間あたり250-500gの保湿剤が使用されるよう勧められる

また、ハイリスク乳児に対する保湿剤の定期的使用によるアトピー性皮ふ炎の一次予防は、エビデンスが不足しているため推奨されない。

 

 

コメント

 

2015年のレビューですが、保湿剤によるADの一時予防に関しては、Simpsonらの2010年の観察研究が引用されており、本邦とSimpsonらのランダム化比較試験が発表されたのが2014年ですので、その前のレビューです。

保湿剤の使用量など参考にできる箇所がたくさんあります。”入浴後すみやかな保湿剤塗布”は一般的によく指導されますが、そこにはあまりエビデンスがないのかな?

 

 

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乳児の標準的なスキンケアに対する推奨

Blume-Peytavi U, et al. Recommendations from a European Roundtable Meeting on Best Practice Healthy Infant Skin Care. Pediatr Dermatol 2016; 33:311-21.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26919683

 


昨日に引き続き、保湿剤の総論です。

今度は2016年のレビューで、全文がフリーで閲覧可能です(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5069619/)。


 

まとめ(1)

 

2009年、European roundtable meetingは、乳児の入浴と洗浄に関しての推奨を発表し、今回、更新された。

エビデンスの質はGrading of Recommendation Assessment, Development and Evaluation systemを用いて評価した(大多数; 7名以上)が賛成したときはエビデンスもしくは推奨のコンセンサスはあると評価された。

新しい勧告は、おむつ皮膚炎治療と保湿剤使用のガイダンスを提供することも目的とした。

 

 

まとめ(2)

 

新生児の入浴は、基本的な方法を使えば児を傷つけることはない。

水のみ、もしくは適切な液体洗浄剤は、皮膚の成熟過程を損なわない。

おむつ部位は、清潔、および乾燥するように保たれなければならない。

分娩時から、おむつ部位は、綿球や綿製の布と水、または適切に作成されたタオルを用いてやさしくきれいにする。

適切に選ばれた保湿剤は、皮膚バリア機能を維持し強化するために用いることができる。

適切に選定されたベビーオイルは、生理的な一過性の皮膚乾燥のために、入浴時に少量塗布される。

乳児に塗布する製品はバッファーとして機能して、乳児の皮膚をほぼpH 5.5に維持する。

製剤と成分は安全試験の試験を受けなければならない。

製剤は、安全に保存されなければならない。

強い表面活性物質(例えば硫酸ラウリルナトリウム)を含んでいる製品は、回避されなければならない。

ヘルスケアの専門家は、両親に対しこれらをアドバイスの基本として、この推奨を使用できる。

 

出生時の洗浄

 

以前の推奨は、直接のエビデンスというより専門家の意見で決められたが、新生児期に無作為化試験を行う倫理問題があるため、エビデンスの質が低いためである。

しかし、出生時の洗浄はむしろ逆効果である場合があるため、最初に新生児を拭くための水を使うことは推奨されない

拭く主要な理由のうちの1つは、体温安定化のために乳児を乾燥させるためである。

胎脂を保持しておくことは皮膚保護に関し有益性がある。胎脂は、羊水と酵素からの体を保護して、皮膚pHを低下させ、脂質を提供し保湿する効果がある(Clin Dermatol 2015;33:271–280.)。したがって、第1の推奨は、乾燥タオルが望ましい

しかし、乳児を積極的にこすることは避けなければならず、児が汚染されている場合は、水を使用してもよい

新生児の初浴が1回のみ行われることは、体温を安定させるための強い推奨である。

しかし、”急いで”入浴させることが強調されるがために、一部の地域では不必要に母乳栄養やスキンシップを中断させる可能性があり、低体温と呼吸障害のリスクを増す可能性がある。

最終的な推奨は、ヘルスケア従事者が初浴のために手袋を使用しなければならないと変更された。母の血液が医療従事者に対し脅威を有する可能性があるためである。一方、手袋を着用していない医療従事者が微生物による汚染のリスクを乳児に増やす可能性がある。

 

 

ルーチンの入浴

 

新生児は、入浴することが可能である。これは、入浴とタオルによる清拭を比較するランダム化比較試験から、エビデンスが得られた(Pharmacol Physiol 2009;22:248–257.)。入浴することは 乳児の睡眠や母の気持ちを安定させるかもしれない。にもかかわらず、委員会は入浴の心理的利益を正当化するとは推奨していない。

研究の多くは、臍帯を切除する前に入浴することに害はなく、アルコールを使用するかわりに入浴してもよいことを示した。

布による清拭より入浴することが「より良い」という推奨は、入浴する方法が「好ましい」と言い換えられた。

皮膚バリアパラメータが布またはスポンジ洗浄よりも入浴のほうがが良好であるというエビデンスがある(Pharmacol Physiol 2009;22:248–257.)が、その差は臨床的に重要でないかもしれない。

入浴が、児の睡眠を改善する可能性があることを示唆している研究結果が示されている(Sleep 2009;32:599–606.)。

新生児は5〜10分間入浴するべきという推奨は維持された。入浴する頻度は、週につき最低2〜3回入浴しなければなならないと変更された

 

 

入浴中の安全性

 

汚染された浴槽と玩具から緑膿菌が検出されるという報告があり、浴槽と玩具はきれいに保たれなければならない。しかし、浴槽やおもちゃは、”消毒”よりむしろ”きれいに保たれる”べきとされ、家庭の入浴が殺菌という方法を正当化はしない

 

 

入浴後

 

入浴後 、乳児は何らかの形でカバーされるべきである(服を着せなければならないわけではない)。新生児が入浴した10分後に有意な体温低下が起こる可能性があり、カバーはそれを予防する。

ドライスキンの管理に対し、保湿剤の塗布が「正常な」成熟プロセスのために効果がある。

入浴に際する洗浄剤の使用 界面活性剤はら汗、脂、よごれ、油を除去するために使われるが、界面活性剤と角質層(SC)のタンパク質の相互作用は、潜在的に乾燥、紅斑、刺激、かゆみに影響する。

合成洗剤から成る「石鹸」とクレンザの基本的な差異を知る必要性がある。石鹸は脂肪酸(例えばココヤシ酸塩Na)の塩類であり、石鹸系クレンザは事実上アルカリ性である(pH 10)。

対照的に、多くの合成洗剤はpHが中性で、石鹸(特に硫酸ラウリルナトリウム[SLS]のような界面活性剤が回避される場合)より有意に穏やかなために使用される。 委員会は乳児皮膚は、水のみもしくは、適切に水に加えた液体洗剤により洗浄されることを強く推奨する。液体洗浄剤が「使われてはならない」ではなく、「使われることができる」と規定する。

 

 

おむつ治療

 

おむつ域はきれいに、また、乾燥するように維持し、しばしば交換されなければならない。

おむつ領域が綿球またはタオルで、水単独、または、適切に設計されたタオルを用いて穏やかに洗うように強く推奨した。

 

 

保湿剤の使用

 

少なくとも週2回の保湿剤の使用は考慮されなければならない。

保湿剤は閉塞性効果を回避するために薄く塗布され、治療は屈曲部での保湿剤のトラップを回避しなければならない。

 

オイルの使用

 

世界の多くの地域において、幼児の皮膚に油を塗布する長い歴史があるが、植物性油は化学組成が様々である。 適切に設計されたベビーオイルは、生理的な皮膚乾燥を防ぐために薄く塗布することができ、浴槽に使用することができる。

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