スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

■こんな記事も読まれています




■スポンサーリンク


喘息予防ワクチンは可能か?: レビュー

Elenius V, Jartti T. Vaccines: could asthma in young children be a preventable disease? Pediatr Allergy Immunol 2016. [Epub ahead of print]

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27171908

 


今回は喘息を直接予防できるワクチンができないかを論じたレビューです。

レビューですのでPECOはありません。


 

【アレルギー・ワクチン】

アレルゲン特異的免疫療法(AIT)は、アレルギー性鼻炎の長期寛解に効果的であり、新規の感作と喘息発症を防止する可能性がある。AITは、通常皮下もしくは舌下免疫療法に区別されるが、別の投与経路(例えば、リンパ節、経皮、皮内)や、アジュバント、補助治療法が研究中である。

より安全かつ効果をあげるために、オマリズマブなどの生物学的治療と組み合わせることも考えられる。

喘息予防的効果は一般に天然アレルゲンを含有した製剤で最も高く、アレルギー疾患発症初期に開始されなければならない。そのため、現状のAIT治療による喘息予防研究は、すでに遅きに失した時期に開始している可能性もある。

 

【喘息増悪させるウイルスに対するワクチン】

乳児期の喘鳴のほとんどはウイルス感染、例えばRSウイルス(RSV)とライノウイルス誘発性喘鳴は、以降の喘息リスク増加と関連している。また、小児の喘息増悪のうち、少なくとも80%はウイルス感染と関連しており、主にライノウイルスによる。そのため、喘鳴と喘息トリガーであるウイルスに対する予防接種をすることは、喘息を予防の戦略となりうる。

RSVに対するワクチンは、弱毒生ワクチン、遺伝子ベースのベクター、RSV-Fナノ粒子、RSV-Fサブユニットワクチンの4種類に分類されるが、現在のところこれらのワクチンの成績は発表されていない。一方、モノクローナル抗体(palivizumab)による治療は、RSVだけでなく、1歳までのRSV以外のウイルスによる再発性喘鳴も減少させたと報告されている。

ライノウイルスは160種類ものジェノタイプがある。細胞性および体液免疫応答を誘発するライノウイルス・カプシドタンパク質(VP0とVP1)は特定されており、広く交差反応を起こし得るサブユニット・ライノウイルス・ワクチン開発を可能にするかもしれない。

インフルエンザは喘息増悪を誘発し、喘息患者ではより重篤化する可能性があるため、インフルエンザ予防接種は、喘息患者に推奨されている。

 

【免疫調節ワクチン】

サイトカインとケモカイン(IgEを含む)の中和は、喘息予防の標的であり、Omalizumabi(抗IgE療法)は、重症喘息の治療に有益であるとすでに判明している。

将来、自己由来幹細胞を再プログラムして免疫寛容を誘導する樹状細胞を作成できる可能性があり、免疫調節性Treg細胞を誘導するワクチンも、魅力的な着想である。

しかし、今のところ、これらのアプローチに対する前臨床試験は失敗している。

 

【コメント】

まだまだ喘息予防にはハードルがたくさんあるようです。

興味深いのはライノウイルスワクチンがです。秋以降に喘息発作が多いのもライノウイルスの影響が多いとされていますし、幼児期のライノウイルスが13歳まで影響するという報告もあります(http://pedallergy.jugem.jp/?eid=112)。

今後喘息予防が現実のものになってくればいいですね。

 

 

 

 

 

 

■こんな記事も読まれています




■スポンサーリンク


スポンサーサイト

■こんな記事も読まれています




■スポンサーリンク


Trackbacks

Trackback URL