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乳児期の脂漏性湿疹は、アトピー性皮膚炎発症と関連があるか?: 後ろ向きコホート研究

Alexopoulos A, et al., Retrospective analysis of the relationship between infantile seborrheic dermatitis and atopic dermatitis. Pediatr Dermatol 2014; 31:125-30.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24224924

 


1か月健診では特に、脂漏性湿疹の児をよく見かけます。

脂漏性湿疹はアトピー性皮膚炎ではないと教育されてきましたが、どうも脂漏性湿疹の児はその後アトピー性皮膚炎を発症している印象がありました。そこで文献を検索したところ、実際にその二つの病態は同じ、もしくは関連があるという話があるという研究結果を見つけました。


 

P: 脂漏性湿疹(nfantile seborrheic dermatitis; ISD)診断時に平均3.1ヵ月の児 87人(男児50人、女児 37人)。

E: -

C: 同地域でのアトピー性皮膚炎発症率

O: ISD発症者はアトピー性皮膚炎を発症しやすいか

 

【結果】

脂漏性湿疹(ISD)が出現している箇所は87例中78例が頭皮と顔面であり、体幹と四肢はあまりみられなかった(87例中9例)。

全例で、紅斑と落屑は軽度から中等度だった。

ISDの診断後5年間で、これらの児のうち30人はアトピー性皮膚炎(AD)を発症した(英国のAD診断基準に基づく)。

そのうち23人は、ISD発症からの平均6.4ヵ月でADと診断され、7人はISD診断時にすでにADの臨床増を呈していた。

それ以外の19人は、他の慢性皮膚疾患を呈することもなく経過し、6ヵ月以内に軽快した。

ただし、38人は、ISD診断の後、追跡されていなかった(ADを発症したかどうか不明)。

しかし、追跡できなかった38人全員が改善したと仮定しても、ISD例におけるADの発症率(34.4%)は、アテネにおける先行研究で示される一般集団でのアトピー性皮膚炎有症率10.7%より有意に高かった(p < 0.001)

 

【コメント】

乳児脂漏性湿疹とアトピー性皮膚炎には強い関連があるか、もしくは同じ臨床病態である可能性があることが示唆される、とまとめられます。

健診で脂漏性湿疹の児を見かけたときは、スキンケア指導を十分するように心がけてはいますが、これからも念頭に置いておこうと思います。ただし、後ろ向き研究であること、追跡できていない児が4割くらいあることを考えると、前向き研究が必要そうです。

 

 

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妊娠後期のニコチンアミド血中濃度は、児のアトピー性皮膚炎発症リスクを下げるかもしれない: コホート試験

El-Heis S, et al. Higher maternal serum concentrations of nicotinamide and related metabolites in late pregnancy are associated with a lower risk of offspring atopic eczema at age 12 months. Clin Exp Allergy 2016; 46:1337-43.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27517618

 


昨日、ニコチンアミド(ビタミンB3)が皮膚バリアを強化するかもしれないというアトピー性皮膚炎との関連に関し論文を紹介いたしました。

ニコチンアミドはノーマークだったなあと思いながら、直近のClin Exp Allergyを見ていたらコホート研究を見つけました。


 

P: Southampton Women’s Survey (SWS)でリクルートされた妊婦3008人中、下記の血中濃度を測定を受けた497人(分娩時の母の平均年齢31.2歳±3.5歳)

E: 妊娠後期における母の血中キヌレニン、キヌレン酸、アントラニル酸、トリプトファン、ニコチンアミド、N1-メチル・ニコチンアミド濃度

C: -

O: 児の生後6か月、12か月時点でのアトピー性皮膚炎発症率

 

【結果】

出生した児の50.7%は男児だった。児の平均出産体重は、3.51±0.47kgで、出生週数40.1週(IQR 39.1 - 41.0)だった。

生後6ヶ月時に、女児のアトピー性皮膚炎の発症は男児に比較して少なかった(p=0.002)。 また、生後6か月時に10.7%、生後12か月に13.7%のアトピー性皮膚炎が認められた。

妊娠後期の母の上記代謝産物は、生後6か月時の児のアトピー性皮膚炎に関連していなかった。

しかし一方、妊娠後期の母のニコチンアミド血中濃度高値は、生後12ヶ月のアトピー性皮膚炎をオッズ比 0.70(95%CI 0.53-0.90 per SD change, p=0.007)、アントラニル酸の血中濃度は、生後12ヶ月のアトピー性皮膚炎をオッズ比 0.63(95%CI 0.48-0.83 per SD change, p=0.001)と低下させた。

トリプトファン、キヌレニン、キヌレン酸、N1-メチル・ニコチンアミドは有意な関連を認めなかった。

 

論文から引用

【クリックで拡大】

(a) ニコチンアミド

(b) アントラニル酸

 

 

【コメント】

妊娠後期の母のニコチンアミド(ビタミンB3)は児のアトピー性皮膚炎のリスクを低下させるとまとめられます。

本論文には、ニコチンアミドの代謝とアレルギーとの関連に関し詳しく述べられていましたので、一部和訳して載せておきます。こうみると、ニコチンアミド=ビタミンB3はまったく一緒とは言えないみたいですけど、自分の中では大体一緒と覚えておこう、、と思います(いい加減?)。

とはいえ、文字でずらずら書いても分かりにくいですよね、、、

ニコチンアミドは、ビタミンB3((魚、肉、鶏肉、キノコ、ナッツ、コーヒーに含有される)の摂取により、また、トリプトファン(多くのタンパク質の成分であり、セロトニンとメラトニンの前駆体になる必須アミノ酸)の摂取によって維持される。肝臓で、quinolone acids によりトリプトファンはキヌレニン回路を経てナイアシンに変化する。キヌレニン回路は、哺乳類におけるトリプトファン代謝の主要ルートであり、細胞死を含むいくつかの基本的な生物学的プロセスを調整する。そして、キヌレニンは、IgEを介した反応を増強する。トリプトファンは、キヌレニナーゼとキヌレニン・トランスアミナーゼを通して代謝される。キヌレニナーゼは、3‐ヒドロキシアントラニル酸(3HAA)に、キヌレニンをアントラニル酸(AA)と3-ヒドロキシキヌレニン(HK)に変換する。さらに、キヌレニン・トランスアミナーゼは、同じ2つの基質をキヌレン酸(KA)とキサンツレン酸(XA)に変換する。 3HAAは更にacroleyl aminofumarateに変換され、ニコチン酸(ナイアシン)への転換の前に非酵素の環化を通してキノリン酸(QA)に変わる。3HAAとQAは、Th1細胞に変更を加えることができ、Th2反応性を増加させる傾向ある。 N1-メチル・ニコチンアミドは、ニコチンアミドの代謝産物である。

 

 

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ニコチンアミド(ビタミンB3)は、皮膚のバリア機能を改善させるかもしれない: ランダム化比較試験

Chen AC, et al., Oral nicotinamide reduces transepidermal water loss: a randomized controlled trial. Br J Dermatol 2016.[Epub ahead of print]

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27062605

 


ニコチンアミド(ビタミンB3)は、本邦ではナイアシンと記載されていることも多いようです。

なお、TEWL(経皮的水分蒸散量)は、低いとバリア機能が良好と判断され、ニコチンアミドがTEWLを低下させる可能性があるという報告です。


 

P: オーストラリアのシドニーで参加した、過去5年間に2箇所以上の黒色腫皮膚癌のない成人292人

E: ニコチンアミド500mg 1日2回 145人

C: プラセボ 1日2回 147人

O: 12ヵ月後の経皮的水分蒸散量(TEWL)を低下させるか (プライマリーアウトカムは12ヵ月間の皮膚癌の新規発症)

 

【結果】

本研究は、ONTRACスタディ(Oral Nicotinamide To Reduce Actinic Cancer)として、皮膚癌の新規発症がプライマリアウトカムであり、TEWLは、セカンダリアウトカムとされていた。

コンプライアンスの中央値はそれぞれプラセボ96%、ニコチンアミド群94%だった。

一人の測定者により、3ヶ月ごと12ヶ月まで前額部正中、左前腕内側、左下腿内側で経皮的水分蒸散量(TEWL)が測定され、TEWL測定日は、化粧、日焼け止め、保湿剤使用を避け、各測定の前に少なくとも5分間休息するように指示された。

TEWLは冬に増加し、ニコチンアミドによって低下した。

プラセボ群では、前額部TEWLが、夏(12-2月)と比較して、冬(6-8月)に、相対的に15%増加した(P < 00001)が、下腿では有意ではなかった。

ニコチンアミド群はプラセボと比較し、前額部TEWLが3ヵ月で5%[95%信頼区間(CI)-1%〜10%; P = 0.13]、6ヵ月で5%(95%CI-1%〜10%; P = 0.13)、9ヵ月で6%(95%CI 1-12%; P = 0.033)、12ヵ月で6%(95%CI 0-12%; P = 0.039)低下した。

下腿+前腕TEWLは、3ヵ月で2%(95%CI-5%〜9%; P = 0.53)、6ヵ月で4%(95%CI-4%〜11%; P = 0.30)、9ヵ月で1%(95%CI-6%〜9%; P = 0.72)、12ヵ月で8%(95%CI 0-14%; P = 0.04)の減少だった。

 

【コメント】

ニコチンアミド(ビタミンB3/ナイアシン)は、エネルギー代謝とDNA修復)の効果があり、セラミドのような角質層脂質の生合成を増加させるそうで、先行研究では健常参加者20人において、5%ニコチンアミドクリームがTEWLを減少させたそうです。

今回は、別の研究目的があったようですが、そのセカンダリアウトカムとしてTEWLが評価されています。

結果として、ビタミンB3はTEWLを減少させる(=バリア機能を改善させる)効果があったと結論できます

ビタミンBは水溶性であり、副作用も少ないため、内服してみてもいいかもしれません。ただ、改善度は少なく、現実的には保湿剤外用の補助的な治療にとどまるのではないでしょうか。

 

 

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子どものアトピー性皮膚炎に関与する環境因子: ウェブベースの横断研究

Sasaki M, et al. Environmental factors associated with childhood eczema: Findings from a national web-based survey. Allergol Int 2016; 65:420-4.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27134054

 


アトピー性皮膚炎の発症・増悪因子は多種あります。これまでも、出生季節(http://pedallergy.jugem.jp/?eid=198)、児の出生前からのイヌ飼育(http://pedallergy.jugem.jp/?eid=132)、妊娠中の母の抑うつや不安(http://pedallergy.jugem.jp/?eid=98)、水の硬度(http://pedallergy.jugem.jp/?eid=95)、乳児期の抗生剤投与(http://pedallergy.jugem.jp/?eid=81)、5歳までのアトピー性皮膚炎発症予測因子(http://pedallergy.jugem.jp/?eid=56)などの報告をご紹介してきました。

ただ、それらは多くは海外からの検討でした。今回は本邦からの報告です。


 

P: 2012年6月に実施された、全国的なウェブ・ベースの調査をされた6-12歳の小児28348人

E: 年齢、性、体重、身長、家族歴、種々の環境要因

C: -

O: Current eczema(現在の湿疹≒アトピー性皮膚炎)に影響する因子

 

【結果】

ISAACで同定されたCurrent eczema(現在の湿疹)の罹患率は、13.0%であり、喘鳴、鼻炎、食物アレルギーの有病率と有意に関連していた。

多項ロジスティック回帰モデルにおいて、秋生まれ(aOR:1.18、95%CI:1.06-1.31)または冬生まれ(aOR:1.21、95%CI:1.08-1.34)、少なくとも6ヵ月間の完全母乳栄養(aOR:1.14、95%CI:1.06-1.23、乳児期からのペット飼育(aOR:2.61の95%CI:1.68-4.07)は、Current eczemaの罹患率を有意に上昇させた。

さらに、有病率は、世帯年収が高い群(aOR:0.90、95%CI:0.81-0.99)と2人以上のきょうだい(aOR:0.86、95%CI:0.76-0.97)のほうが低かった

 

【コメント】

インターネットでの回答であり、結果に影響している可能性がありますが、インターネットの使用率が高い地域での疫学研究に関して、紙ベースのアンケート調査よりウェブ・アンケートのほうがバイアスが少なくなるという報告もあるそうです。

乳児期からのイヌ飼育は、むしろアトピー性皮膚炎発症に抑制的に働いたり(http://pedallergy.jugem.jp/?eid=132)、年収の高さはアレルギー疾患の発症率を上げるといった報告もありますが、今回の検討では、ペット発症を上昇させ、年収の高さはむしろ発症を抑制するほうに働いていました。それ以外の、秋冬生まれが発症が多い(http://pedallergy.jugem.jp/?eid=198)は過去にも報告があります。母乳栄養に関しては、母乳中IL-1βが湿疹発症を減らすかもしれないという報告もありますので(http://pedallergy.jugem.jp/?eid=115)、なかなか横断研究のみで結論を出すのは難しそうです。

海外の報告であるような、イヌ飼育でアトピー性皮膚炎発症が減るというのは、どうしても日常診療の感覚とずれてしまうので、これらの結果は、日常診療を行っている我々にとっては、とても納得の行く結果でもあります。

 

 

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12月出生の子どもにはアトピー性皮膚炎が多い: 症例対照研究

Kuo CL, et al. Birth month and risk of atopic dermatitis: a nationwide population-based study. Allergy 2016; 71:1626-31.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27286483

 


今回は、アトピー性皮膚炎の発症に生まれた時期が関係しているという報告です。

本邦では滋賀県立小児保健医療センターの楠先生からの、秋に生まれた子どもにアトピー性皮膚炎の罹患が多いという報告があります(Kusunoki T, et al., J Allergy Clin Immunol 1999; 103:1148-52.)。

今回紹介するのは、健康保険のデータベースを用いた台湾からの研究結果になります。台湾は地政学的にも本邦に近いこともあり、参考になるのではないでしょうか。以前、台湾からのアトピー性皮膚炎の予後研究に関してもUPいたしましたね(http://pedallergy.jugem.jp/?eid=100)。


 

P: 台湾の国民健康保険調査データベースを使用して収集したアトピー性皮膚炎患者と対照患者

E: アトピー性皮膚炎患者 31237例

C: 年齢と性をマッチさせた124948名

O: 出生月はアトピー性皮膚炎発症と関連するか

 

【結果】

性、年齢、収入、医療環境(医師の数)を変数として、出生月とアトピー性皮膚炎を補正し検討した。

5月に出生した人に比較し、12月に出生した人はアトピー性皮膚炎のリスクが高かった(オッズ比[OR] 1.17、95%CI 1.10-1.25)

続いて、10月出生(OR 1.15、95%CI 1.08.1.22)、11月出生(OR 1.13、95%CI 1.06.1.20)もアトピー性皮膚炎のリスクが高かった。

また、低収入(OR 1.28)、喘息(OR 1.88)、アレルギー性鼻炎(OR 1.70)、乾癬(OR 2.36)、白斑(OR 1.99)、じんま疹(OR 2.14)、全身性エリテマトーデス(OR 1.91)は、アトピー性皮膚炎と有意に併発している疾患だった。

 

【コメント】

少なくとも、台湾では12月>10月>11月の出生月でアトピー性皮膚炎の発症が多いとまとめられます。

なお、今回使用されたデータベースは、台湾在住の99%をカバーするそうです

前述した楠先生らが報告した出生月とアトピー性皮膚炎の関連に関しても言及されていましたが、本報告は多変量で調整し、7-15歳より範囲が大きい(0-20歳)であることがAdvantageであると述べられていました。結果として、やはり秋産まれにアトピー性皮膚炎の発症が多いことは言えるのではないでしょうか。

 

 

 

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