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アトピー性皮膚炎のバイオマーカーは、どれが最も役立つか?

 

topic

 

 多くの疾患で、検査が病気の診断の補助として使われるわけですが、アトピー性皮膚炎は基本的に臨床診断(それまでの経過や症状で診断する)ことになります。

 そして、アトピー性皮膚炎の検査として有力なものとして、TARCに関していくつかの報告をご紹介しています。

 

 

 

 

 TARC以外にも多くのバイオマーカーが研究されており、そのシステマティックレビューをご紹介いたします。

 

P: 2014年10月までのPubMed、EMBASE、Cochrane Libraryから得られたアトピー性皮膚炎(AD)とバイオマーカーを調べた108研究
E: -
C: -
O: 各種バイオマーカーは、アトピー性皮膚炎の診断や重症度の判定に役立つか

 

結局、何を知りたい?

✅アトピー性皮膚炎の診断や重症度を測ることのできる検査法をしりたい

 

結果

 

 計222の研究で115種類の様々なバイオマーカーが報告されていたが、結果として、108論文における64のバイオマーカーが、メタアナリシスのためのデータを報告していた。
 30種類のバイオマーカーを検討した縦断研究から、少なくとも4つの研究を含む、血清thymus and activation-regulated chemokin(TARC/CCL17)、血清総lgE、血清eosinophil cationic protein(ECP)、血清sE-セレクチンでメタアナリシスが実施された。
 49種類のバイオマーカーを調査した横断研究82件がメタアナリシスで検討されており、少なくとも4つの研究がある、TARC、ECP、総lgE、CTACK/CCL27、CD30、IL-18、LDH、MDC、ビタミンDに対しメタアナリシスが実施された。
 総IgEは、縦断的研究からのプールデータから、相関係数0.33(95%Cl 0.08-0.64)と弱い相関であり、横断研究のメタアナリシスでも、0.45(95%CI 0.32-0.57)と中等度の相関だった。

 血清TARCは、4件の縦断研究と16件の横断研究からアトピー性皮膚炎重症度と有意に相関すると判明し、相関係数は、縦断研究(r=0.60、95%CI 0.48-0.70)および横断研究(r = 0.64、95%のCl 0.57-0.70)と、強い相関を示した。
 CTACK/CCL27は、T細胞を引き付ける皮膚炎症に重要な役割を果たすと示唆される、もうひとつのケモカインであるが、血清CTACKは16例の患者の縦断研究による2つの研究で報告されるのみだった。メタアナリシスは重症度(r=0.68、95% CI 0.47-0.82)に、強い相関を示した。
 血清sE-セレクチンは血管内皮の上で産生される細胞接着分子であり、4つの縦断的研究が相関係数を報告しており、0.44(95%CI 0.23-0.62)で中等度の相関を示した。
 ECPは、好酸球の脱顆粒中に放出されるタンパク質であり、血清ECPは縦断的研究でしばしば測定されたが、相関係数0.34(95%CI 0.08-0.56)で、横断研究では相関係数0.43(95%のCl 0.28-0.56)だった。
 MDC/CCL22は、CCR4を発現している化学遊走物質であり、横断研究において血清MDCは、相関係数0.66(95%CI 0.52-0.77)であり、縦断研究は研究数の不足(2研究)により実施できなかった。
 LDHはほとんど全ての組織細胞で見つかる酵素で、ピルビン酸から乳酸への触媒作用を及ぼし、4件の横断研究では血清LDHの相関係数を報告し、相関係数0.51(95%Cl 0.38-0.62)だった。
 IL-18に関する横断研究のメタアナリシスは、相関係数0.68(95%CI 0.15-0.91)と、高い相関係数を示した。しかし、横断研究4件のみの報告であるうえfunnel plotは左右非対称であり、信頼できない可能性があった。縦断的研究1件のみが血清IL-18と重症度の間に有意の相関を報告した。
 血清可溶性CD30は、アトピー性皮膚炎重症度と逆相関(-0.74)から非常に強い相関(0.96)まで、広く変動し、相関係数0.39(95%CI-0.21〜0.77)になった。
 ビタミンDは、も相関係数(0.12~ -0.88)が広範囲にわたり、メタアナリシスは、相関係数-0.32(95%CI-0.64〜0.09)だった。funnel plotは左右非対称であり、CD30もビタミンDもアトピー性皮膚炎の重症度のためのバイオマーカーとして不適切であると判断された。
 IL-2R、IL-4R、IL-31はAD重症度と良好な相関を示すが、研究が少なく、その他のバイオマーカーは、さらに少ない研究結果なうえ、不確実な結果だった。

 

結局、何がわかった?

✅十分なメタアナリシスができた検討から、アトピー性皮膚炎の重症度と相関があったバイオマーカーは血清TARCであり、縦断研究で相関係数 0.60、横断研究で相関係数 0.64だった(1に近いほど、検査と重症度の相関がある)。

 

コメント

 

 現在のところ、血清TARCが利用可能な最も信頼性が高いバイオマーカーであると結論されていました。
 血清TARCは、縦断的研究で相関係数0.60(95CI 0.48-0.70)、横断研究の相関係数0.64(95%CI 0.57-0.70)であり、様々な研究の多数の患者数で決定されたとまとめられています。
 有用ではあるものの、さらなる研究を要するのがCTACK、E-セレクチン、MDC、LDH、IL-18だったそうです。

 相関係数0.6〜0.64ですから、悪くはないけど、すごくいいというわけではないという程度ですね。実際、明らかに湿疹がひどいと思ってもTARCが低めだったり、皮膚がきれいと思ってもTARCが高め、ということがあります。

 その原因がどこにあるのかは私にも十分理解できているわけではありませんが、TARCは皮膚ばかりでなく消化管から産生されたり(アレルギー 2012; 61:970-5.)、乾燥程度でも上昇したり(上記)、皮膚に湿疹がない出生時にすでに上昇している(Clin Exp Allergy 2011; 41:186-91.)ことも指摘されています。

 現在はTARCが保険適応もあることから、とても有用な検査ではありますが、TARCのみで多種多様な原因を持つアトピー性皮膚炎のバイオマーカーをすべて担うのは難しい面もあるでしょう。

 明日は、それらのバイオマーカーを単一ではなく複数を組み合わせたらどうかという報告をご紹介いたします。

 

今日のまとめ

血清TARCが利用可能な最も信頼性が高いバイオマーカーである​が、他のバイオマーカーも有望なものがあり、今後の検討を要する。

 

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閉鎖型の経表皮水分蒸散量(TEWL)測定器は、開放型測定器の代わりになるか?

 

topic

 

 今回は少々マニアックな話かもしれません。

 経表皮水分蒸散量(transepidermal water loss;TEWL)は、皮膚バリア機能を反映する重要なパラメータです。

 計測機器には開放型と閉鎖型があり、私も閉鎖型(今回紹介する論文に使われているタイプ)は使用経験があります。

 閉鎖型は持ち運びも簡単で小児に対しても使いやすい機械ですが、開放型がデファクトスタンダードであるようです。

 

P: 2013年10月から2013年12月にマラー医科大学病院(インド)でリクルートされた生後72時間以内の健常新生児104人+NICUに収容された新生児30人、成人40人
E: 閉鎖型TEWL測定器((VapoMeter)による測定
C: -
O: TEWLは、分娩方法・未熟児出生・低体重・光線療法で異なるか

 

結果

 

 測定室は65%から70%の相対湿度・28°Cの温度で維持された。
 TEWLは、閉鎖型計測器(VapoMeter; Delfin Technologies, Kuopio, Finland)で測定された。
 健常新生児と成人で、TEWLは、前腕掌側で測定され、NICUの新生児では、7箇所(額、前肘窩、腹部、背部、大腿、手掌、足底)で測定された。
 健常満期産児のTEWLは、、前腕掌側で13.4±5.7g/m2/hrであり、成人の同部位の測定値(10.3の±3.4 g/m2/hr)より有意に高かった(p = 0.002)。
 男児(13.5±5.7 g/m2/hr)の平均TEWLは、女児(13.3±5.7 g/m2/hr)と有意差はなかった(p = 0.85)。
 帝王切開児28人(13.4±4.6 g/m2/hr)と経膣分娩児76人(13.4±6.0)に有意差はなかった(p = 0.95)。
 健常早期産児26人(中央値34.7週)の平均TEWL(16.5±6.1 g/m2)は、満期産児(38-40週)より有意に高かった(p = 0.001)。
 低出産体重で健康な児21人(平均34.9週)の平均TEWL 17.3±5.7 g/m2/hrは、正常体重新生児(12.4±5.3g/m2/hr)より有意に高かった(p < 0.001)。
 7箇所の測定値を比較した場合、光線療法を受けた児の前肘窩のTEWLは有意に高かった。

 

コメント

 

 経表皮水分蒸散量(TEWL)は、汗をかいていなければ皮膚からの水分蒸散を示し、皮膚バリア機能を特徴づけるために最も重要なパラメータのうちの1つと考えられています。
 これまでの新生児・乳児のTEWLのデータは、開放型が使用されていました(Pediatr Dermatol 2013;30:712–716.)(Pediatr Dermatol 2014;31:191–195.)。

 閉鎖型TEWL測定器は、より優れているとは言えないまでも、より広く使われている開放型測定器の代替となるとまとめられていました。

 マニアックかもしれませんが、明日もTEWLの話題を続けます。

 

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アトピー性皮膚炎の症状を評価するのには、どの基準が適切か :システマティックレビュー

Gerbens LA, et al. Evaluation of the measurement properties of symptom measurement instruments for atopic eczema: a systematic review. Allergy. 2017; 72:146-63.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27322918

 


アトピー性皮膚炎の研究において、評価基準はとても重要です。当然ながら、評価基準に妥当性がなければ研究そのものがなりたたないからです。

最近のJACIの報告では、The Harmonising Outcome Measures for Eczema(HOME)から、objective SCORADと

EASIがその基準として推奨されていました(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25282560)が、今後の研究計画のためにも新しい結果を確認しようと考えていた所、このような研究がありました。


 

P: アトピー性湿疹(AE≒アトピー性皮膚炎)に対する、特に”症状”を評価するための18の評価基準 

E: -

C: -

O: アトピー性皮膚炎評価方法として、どの基準が適切か

 

 

結果

 

このシステマティックレビューの目的は、

  AE症状に対する方法の測定特性をシステマティックに評価する。

  あらかじめ定義された基準に従って評価基準を分類する

 の二つだった。

さらに3つのカテゴリーに分類された。

 カテゴリーA: 症状評価基準はすべての要求を満たし、使用に推奨される

 カテゴリーB: 症状評価基準は2つ以上の必要な項目を満たすが、他の必要な項目の成績は不明であるため更に研究を要する。今後推奨される可能性がある。

 カテゴリーC: 症状評価基準が少なくとも1つの必要な項目を満たすが、使用が推奨されない。

 カテゴリーD: 症状評価基準に関し、妥当性が確認されていない。

結果として、ISS(小児版)、POEM、PO-SCORAD、SA-EASI、adapted SA-EASIが、最適な評価方法であると考えられた。

 

 

コメント

 

ISS(小児版)、POEM、PO-SCORAD、SA-EASI、adapted SA-EASIが研究に勧められるとまとめられます。

アトピー性皮膚炎の評価基準は標準化が十分でないため、研究が困難な面があるとされています。

The international Harmonising Outcome Measures for Eczema (HOME)は、先行研究で臨床徴候・症状・健康関連のQOL・長期コントロールを主な評価基準に定めました。

もし、患者さん自身につけていただくPOEMやPO-SCORADが研究に用いて問題なければ、研究が少し楽になるのですが、、

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ハッショウマメ負荷によるアトピー性皮膚炎の診断: 症例対照研究

Hawro T, et al. Skin provocation tests may help to diagnose atopic dermatitis. Allergy 2016. [Epub ahead of print]

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27472813

 


今回は、アトピー性皮膚炎の診断に関する研究です。

アトピー性皮膚炎は臨床診断(医師による判断)である部分が大きく、客観的な判断基準に乏しい側面があります。

ハッショウマメというのは私は不勉強で知りませんでしたが、かゆみの誘発モデルとして確立されているそうです。


 

P: アトピー性皮膚炎患者22例(女性12名、年齢中央値30歳[20-42歳]、SCORAD 平均34.4±14.6)と健常ボランティア18例(女性8名、年齢中央値29歳[21-41歳])

E: 40-45個のハッショウマメ針状体を前腕掌側皮膚3cm2に塗布  

 10mg/mlのヒスタミン二塩化水素化物をハッショウマメと逆の前腕掌側で検査

C: 陰性対照

O: 負荷後、30分間毎分のそう痒感(100mmのVisual analog scaleで評価)  

  負荷後 20、40、60、90、120分後の丘疹と発赤

 

【結果】

アトピー性皮膚炎患者は健常対照者と比較し、ヒスタミン誘発性の発赤が有意に小さく(P < 0.01)、ハッショウマメ誘発後の掻痒の誘発と持続がより長時間だった(P < 0.01)。

両パラメータは、アトピー性皮膚炎診断に対するROCの局面下面積がそれぞれ0.78、0.80だった。 ハッショウマメによって誘発されたかゆみの持続時間が少なくとも30分間、ヒスタミン誘発性紅斑が直径2cm未満は、アトピー性皮膚炎診断の信頼性が高く、両方を満たす場合、アトピー性皮膚炎診断の感度と特異度は91%、94%だった。

 

【コメント】

熱帯マメ科植物であるハッショウマメ(Mucuna pruriens)は、プロテアーゼを含有しており、皮膚誘発試験として、ヒスタミンから独立したかゆみ誘発モデルなのだそうです。アトピー性皮膚炎の診断補助になるマーカーの文献を探していて、たまたまAllergyのEarly Viewで見つけた研究結果ですが、一般臨床には使えなさそうですね。でも、ハッショウマメなるものを知ったのは収穫でした。

 

 

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血清ペリオスチン値はアトピー性皮膚炎の重症度・内因性外因性の判断に有用である

Kou K, et al. Periostin levels correlate with disease severity and chronicity in patients with atopic dermatitis. Br J Dermatol 2014; 171:283-91.

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24601864

 


ぺリオスチンは、日本人によって発見された細胞外マトリックスタンパク質の一種です。

アトピー性皮膚炎のみならず、喘息の診断にも有用ではないかという報告(Inoue T, et al. Pediatr Allergy Immunol 2016; 27:521-6. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27062336)もあり、注目されています。


 

P: Hanifin and Rajka基準で診断された成人アトピー性皮膚炎(AD)患者

E: AD患者257例

C: 尋常性乾癬(PV)66例と健常対照者25名

O: 血清ペリオスチン値、TARC、LDH、好酸球数、総IgE値のうち、ADのフェノタイプと関連するか

 

【結果】

血清ペリオスチン値は、PVや健常対照群に比較して、アトピー性皮膚炎(AD)患者で有意に高く、ADの重症度によって軽症 104.0(82.3-157/8)ng/mL; 中等症 122.0(90.0-179.0)ng/mL; 重症 157.5(120.3-236.8)ng/mL;最重症241.0(163.8-371.3)ng/mLであり(ただし、軽症・中等症には有意差なし)だった。

また、ペリオスチン値はAD加療後に減少した。

ペリオスチン値は、AD重症度、TARC、LDH、好酸球と有意に相関したが、総IgE値とは相関しなかった。

内因性AD患者より、外因性AD患者が血清ペリオスチン値はより高値だった。

 

【コメント】

ペリオスチンはTh2サイトカインを介しアトピー性皮膚炎の慢性炎症にも関連するという報告が本邦からもなされており(Masuoka M, et al. J Clin Invest 2012; 122:2590-600.http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22684102)、冒頭に示した喘息の診断などにも対象疾患が広がってきており、さらに注目されていく可能性が高いと思われます。

 

 

評価:
日本アレルギー学会,片山一朗
協和企画(港区)
¥ 2,700
(2015-05-01)

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