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除去食中の誤食は頻繁に起こっており、不十分な治療を受けている: コホート試験

Cherkaoui S, et al. Accidental exposures to peanut in a large cohort of Canadian children with peanut allergy. Clin Transl Allergy 2015; 5:16.

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25861446

 


今週は、誤食やアナフィラキシーに関する研究結果のご紹介が中心になりそうです。

除去食は食物アレルギー診療に必要な処置ではありますが、一方で「必要最小限の除去」が推奨されています。

さらに進めて、経口免疫寛容誘導療法(積極的にアレルゲンである食物を摂取させて食物アレルギーの免疫寛容を誘導する方法)も研究目的で行われています。例えば、最近も就学期前にピーナッツを開始すると、ピーナッツアレルギー発症・進行を予防できる(http://pedallergy.jugem.jp/?eid=153)や、鶏卵経口免疫療法において長期間継続したほうが完全寛解率が上昇する(http://pedallergy.jugem.jp/?eid=11)といった報告をUPしてきましたが、リスクがあるため、現状では標準的な治療ではありません。

では、除去食のほうが安全な方法なのでしょうか。

今回は、誤食で重篤な症状を誘発する可能性がどれくらいあるのかを検討した報告になります。


 

P: モントリオール小児病院(MCH)と英国コロンビア小児病院(BCCH)において、医師によって診断されたピーナッツアレルギー患者1941例

E: 追跡期間中におけるピーナッツの誤食歴

C: -

O: 誤食の頻度、治療、リスク因子

 

【結果】

ベースラインでのアンケート時の平均年齢(SD)と疾病罹患期間はそれぞれ6.9(4.0)歳と4.7(4.0)歳であり、追跡期間の平均は2.4(1.4)年だった。

4589患者・年において、429人の児で567回の誤食があり、年間12.4%(95%信頼区間 11.4ー13.4)あると推測された。

中等症もしくは重症であった377回の誤食のうち、109例(28.9%)のみが治療を受け、40例(36.7%)のみがエピネフリンの投与を受けた。

中等症/重症例のうち、181例が医療機関外で治療を受け、11.6%のみエピネフリンを投与された。誤食の37%は自宅で起こっていた。

多変量解析では、より長い疾患期間、アレルギー支持団体からの参加、他のの食物アレルギー歴は、誤食の可能性を減少させること、試験登録時13歳以上と一人親家庭は、リスクが増加することが示された。

 

【コメント】

主に自宅で誤食が頻繁に起こっており、対応も不十分であることが示唆されます。

経口免疫寛容誘導はリスクがありますし、現状では経験を要する方法です。かといって、除去食も誤食のリスクが伴いますし、除去だけではかえって感作は進む可能性すらあります(http://pedallergy.jugem.jp/?eid=153)。

この論文は、最近相模原病院の先生方が中心となって出版された「食物アレルギーQ&A」のなかで何度か引用されていたので読んでみましたが、除去食を指導したとしても誤食は決して少なくなく、安全とは言えないともいえるでしょう。

この論文を探しているときに卵などのデータも別の論文であったので、2012年の論文ですが明日にでもUPしたいと思います。

 

 

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ピーナッツ経口免疫療法開始後、早期に好酸球性食道炎を発症した3例: 症例報告

Semancik E, Sayej WN. Oral immunotherapy for peanut allergy induces eosinophilic esophagitis: three pediatric case reports. Pediatr Allergy Immunol 2016 (in press).
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26888330

 


今回は症例報告です。
食物経口免疫療法を行う側として、自分自身認識しなければならないと思い、皆様とのシェアのためにもUPします。



【背景】 
過去、成人の花粉アレルギーに対する舌下免疫療法、小児の牛乳または鶏卵アレルギーに対する経口免疫療法(OIT)の数ヶ月後に好酸球性食道炎(EoE)を発症した報告がある。今回、ピーナッツOIT開始後、短期間に好酸球性食道炎(EoE)を発症した3例を報告する。

【症例1】 
6歳男児。 
主訴は嘔吐。ピーナッツOITを開始2週間経過しており、嘔吐後、受診するまでに1週間ピーナッツは中断されていた。
嘔吐は非胆汁性で粘液や泡を含んだが、血液は混じっていなかった。食事との関連は認めず、食欲は変わらなかった。しかし、同時に発症した咽頭炎に苦しんでいた。患児は、嚥下障害、腹痛、便通の変化を否定した。
末梢血で好酸球数12%、総IgE1974kU/Lだった。重篤な食道炎と著しい基底層増殖が認められ、胃十二指腸内視鏡検査(EGD)で、食道全体が溝と白色の点が認められた。OITを中止しランソプラゾールを処方したところ軽快し、4ヶ月後のEGD所見は正常になっていた。
【症例2】 
11歳男児。 
主訴は嘔吐。同様にピーナッツOITを2週間前に開始していた。嘔吐は食事と無関係に起こっており、嘔気を訴えたが腹痛や便通の変化はなかった。やはりランソプラゾールを投与した。患者家族がピーナッツOITの中止を決めるまで、嘔吐は持続した。EGD所見は、溝と白い点を呈した。OITを中止後、軽快した。3ヶ月後のEGDは正常所見だった。
【症例3】 
7歳男児。 
主訴は2ヶ月続く嚥下障害。通院11ヶ月前からピーナッツOITを開始し、症状発現の1-2週間前からピーナッツ粉からピーナッツ粒の維持療法に変更になっていた。内視鏡所見は重篤な溝を呈しており、著しい基底層の増殖と食道炎を起こしていた。OIT中止後、3ヶ月で溝は改善傾向となり、組織学的にも好酸球浸潤は軽快傾向となった。しかし、ランソプラゾールで加療4ヶ月後も十分な改善がなかった。同時にアレルギーがあった乳に関して除去したところ、6ヶ月後に軽快した。

【コメント】
OIT中、早期にEoEを発症しうるという症例集積報告。
本邦からも、急速免疫療法中の食道炎の報告がある(アレルギー 2015;64:57-62.)。
しかし、食道生検はどの施設でも出来るものではない。簡単に確定出来づらい分、慎重に病歴を聴取すべきと思った。



 

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