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2種類の検査法による卵負荷試験の陽性予測: 多施設症例集積研究

Furuya K, et al., Predictive values of egg-specific IgE by two commonly used assay systems for the diagnosis of egg allergy in young children: a prospective multicenter study. Allergy 2016; 71:1435-43.

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27061295

 


今回は、国立病院機構三重病院を中心としたグループからの報告です。

非加熱卵・加熱卵の負荷試験を前向きに参加者を募り、できるだけ同様の方法を用いて経口負荷試験を行い、プロバビリティカーブ(負荷試験の陽性確率)を求めています。さらに、今までImmunoCAPという検査が一般的に用いられてきましたが、3gAllergyという新しい検査系との比較も行われています。


 

P: 鶏卵アレルギーが疑われたもしくは確定された、卵白(EW)、オボムコイド(OM)-特異的IgE抗体価を測定した児433人

 GroupA 1歳(中央値16ヶ月) 220人

 GroupB 2-6歳(中央値48ヵ月) 213人

E: 3gAllergyで測定

C: ImmunoCAPにより測定

O: 非加熱卵・加熱鶏卵による経口負荷試験予測に関し、2つの測定系結果で違いがあるか

 

【結果】

GroupAは,卵白感作している、もしくは軽い症状のために6ヶ月以上鶏卵除去していた1歳児で構成されており、「真の」鶏卵アレルギーの確定のための負荷試験、GroupBはすでに鶏卵アレルギーが診断されており「アウトグローしたか否か」を決定するための負荷試験であり、一重盲検法が用いられた。

鶏卵経口負荷試験は、加熱卵粉末と非加熱卵粉末(それぞれキューピー社)を用い、加熱卵粉末は95℃15分間の加熱後、20分間65°Cで低温殺菌し乾燥粉末化させた。非加熱卵は、75°C4日間低温殺菌して乾燥粉末化された。

加熱卵粉末の負荷総量は、GroupA 6.5g(1/2鶏卵相当)、GroupB 13g(1個鶏卵相当)であり、非加熱卵粉末の負荷総量は、両群ともに4g(1/4鶏卵相当)であった。

負荷試験は、15〜30分間隔6段階(2/100、4/100、8/100、16/100、32/100、38/100)で負荷された。

加熱卵負荷試験を受けた433例のうち、243例が陰性であり、190例は陽性だった。最初の負荷試験をクリアした患者のうち130例が非加熱卵負荷試験を辞退したため、113例が非加熱卵負荷試験に進み、55例が陰性で、58が陽性だった。

アドレナリン注射は、加熱卵17例(3.9%)、非加熱卵4例(3.5%)で必要とされた。

負荷試験陽性予測に関するROC曲線において、曲面下面積(AUC分析は、3gAllergy、ImmunoCAPそれぞれの検査で類似の結果だった。

カットオフ値と加熱卵と非加熱卵との食物経口負荷試験を予測するプロバロビリティカーブが2種類の測定系それぞれで作成された。 3gAllergyによる測定値は、ImmunoCAPによる測定値より高値だったが、特異的IgE抗体価とプロバビリティカーブから予測されたプロバビリティは、2種類の測定系で強く相関した。

 

論文より引用

加熱卵によるプロバビリティカーブ【クリックで拡大】

左がImmunoCAP、右が3gAllergy

 


 

非加熱卵によるプロバビリティカーブ【クリックで拡大】

左がImmunoCAP、右が3gAllergy

 

【コメント】

この研究は2つの検査系の比較をプライマリアウトカムに設定していますが、むしろ1歳と2-6歳の異なる臨床背景をもつ集団を多施設で前向きで集め、95%信頼区間の情報を含めたプロバビリティカーブを作成したことが最も重要ではないかと思います。

つまり、後ろ向きで集めた単施設の研究よりも、リアルワールドに近い負荷試験結果が得られていると考えられ、さらにその確率(プロバビリティ)には「ブレ」があるということです(もちろん、選択バイアスはあります)。加熱卵に関してのGroupAとGroupBのプロバビリティカーブが「交差する」点にも注意が必要でしょう。

この結果は、おそらく10月に改定予定である「食物アレルギー診療ガイドライン」に収録されるのではないかと思います。

 

 

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総IgE値は少量食物負荷における食物アレルギーの陽性予測に役立つ: 症例集積研究

Horimukai K, et al. Total serum IgE level influences oral food challenge tests for IgE-mediated food allergies. Allergy 2015; 70:334-7.

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25495854
 


今回で100本目の論文紹介になります。



P: 1歳から9歳未満 入院で卵・乳を負荷し、ゆで卵白最大3.5g負荷 をした337例と生乳最大量3.1ml負荷をした 266例 
E: 非特異的IgE値により<25%tile、25-75%tile、>75%tileの三群に層別化
C: 年齢により<25%tile、25-75%tile、>75%tileの三群に層別化
O: 非特異的IgEと年齢による層別化はどちらがより有用か

【結果】
卵白・生乳ともに、ロジスティック回帰によるモデルに関し、非特異的IgEによる層別化に有意に適合した(層別化は有用)。

一方、年齢による層別化は有意には適合しなかった。

【コメント】
先行文献の多くでは年齢による層別化が行われています。対象が異なるため同じ結果とならないのは当然ですが、年齢とともに総IgEが層別化に有用である可能性があります。

また、総IgE値と特異的IgE抗体価の比を用いた場合は有意な結果にならないとする先行文献もありますが、総IgE値は対数正規分布に従っても特異的IgE抗体価は対数正規分布に従わないため、単なる比をとっても意味が無いことに言及しています。層別化がより適切です。
また、少量負荷量を最大量にしている点が実臨床には有用です。つまり、「少し食べさせてみる」場合の参考になると思います。


 

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食物経口負荷試験における遅延型反応: 症例集積研究

Saleh-Langenberg J, et al., Late reactions in food-allergic children and adolescents after double-blind placebo-controlled food challenges. Allergy 2016.(in press)

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27121602
 


二重盲検負荷試験(DBPCFC)後の遅延型反応の報告としては初めてだそうです。



P: 牛乳、鶏卵、ピーナッツ、カシューナッツ、ヘイゼルナッツでDBPCFCを受けた小児1142名
E: -
C: -
O: 遅延反応(LRs)にどの因子が関連するか

【結果】
遅発性反応は、最後のチャレンジ2-48時間に邪気された症状と定義され、すべての症候は5つのカテゴリーに分類され記録された。 結果として、1142試験のうち、400の遅延反応が報告された。
遅延反応を報告したのは、負荷食もプラセボ両方で53例(4.6%)、負荷食のみで237例(20.8%)、プラセボのみで110例(9.6%)だった。また、158例では即時型反応なく遅延反応のみを報告した。
負荷食でのLRs頻度は、プラセボによるLRsより頻度が多かった(p=0.001)。
LRsの多くは不活発、落ち着きのなさ、啼泣、眩暈感および/または不安感を負荷食(112例(47.3%))でもプラセボ(56例(50.1%))でも報告された。
負荷食に対するLRsの予測に関し独立して有意の変数は、年齢、鼻結膜炎の既往、ヘイゼルナッツ・アレルギーの既往、即時反応の重症度だった。
一方、プラセボに対するLRsの予測に関し独立して有意の変数は、年齢、食物特異的IgE抗体価、鼻結膜炎の既往、カシューナッツまたは乳での二重盲検プラセボコントロール食物負荷試験(DBPCFC)だった。

【コメント】
予想以上に遅延反応は多く、有意に負荷食で多いとはいえ、プラセボでも決して少なくないようです。
年齢が遅延反応を予測する重要な因子であることを示されており、著者は両親がより年少児では過度に症状を報告する傾向があるのではないかとしています。
また、ヘイゼルナッツ(負荷日)、ピーナッツとカシューナッツ(プラセボ日)にLRsが関連したのはナッツ類により心理的な要因が影響したと考察されており、やはり多分に心理的な影響があるのでしょう。
負荷食日のヘイゼルナッツのLRs20例は、胃腸症候(胃痙攣、嘔吐、下痢)11例、皮膚症候(湿疹が悪化した)7例、下気道症状4例であり重篤ではないことから、重篤な即時反応でなければDBPCFCの2時間後には退院可能ではないかと述べられていました。
医療機関のセッティングにより絶対的なものにはなりませんが、基本的には食物負荷試験は日帰りでも何とかなりそうですね(一泊が可能であれば、もちろんそれでもより良いと思われます)。


 

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