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ピーナッツ経皮的免疫療法(EPIT)は有効である: ランダム化比較試験

Jones SM, et al., Epicutaneous immunotherapy for the treatment of peanut allergy in children and young adults. J Allergy Clin Immunol 2016. [Epub ahead of print]

http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0091674916309666

 


経皮的免疫療法(Epicutaneous immunotherapy; EPIT)は、新規の投与ルートとして期待されており、以前、第一相試験の結果をUPいたしました(http://pedallergy.jugem.jp/?eid=109)。

今回は、ランダム化比較試験の結果をUPいたします。


 

P: 4-25歳のピーナッツアレルギー患児74人(男児62.2%、年齢中央値8.2歳)

E1: Viaskin Peanut 100mg(VP100群) 24人

E2: Viaskin Peanut 250mg(VP250群) 25人

C: プラセボ 25人

O: 52週後のピーナッツ蛋白5044mgもしくはベースラインから10倍以上のピーナッツ蛋白に対する食物経口負荷試験をクリアするか

 

 

結果

 

試験開始時のピーナッツ皮膚プリックテスト(SPT)の中央値は12.8mmであり、ピーナッツ特異的IgE抗体価の中央値は78.2kUA/Lだった。

負荷試験の陽性であったピーナッツタンパク質量は44mgだった。

52週後に、プラセボ群 3人(12%)、VP100群 11人(46%; P = .005)、VP250群 12人(48%; P = .003)が、ピーナッツ負荷試験をクリアした(VP100対VP250の有意差なし; P = .48)

負荷試験は、若年者でより有意に達成された(4-11歳 vs >11歳; P = 0.03 )

副反応として、主に貼付部位の軽い反応が見られ、プラセボ群14.4%、VP100群とVP250群で 79.8%に認められた(P = .003)。

好塩基性活性化とピーナッツ特異的TH2サイトカインの減少傾向と、ピーナッツ特異的IgG4抗体価とIgG4/IgE比の増加がピーナッツEPIT群で認められた。

 

 

コメント

 

52週間のピーナッツEPITは、より若年者で効果が高く、また中等度の効果と安全性が認められたとまとめられます。

経皮的免疫療法は、”皮膚からアレルギー感作される”という”経皮感作”の考えからは矛盾しているようですが、経皮感作は”経湿疹感作”といえ、湿疹がある場合にアレルギーが悪化する方向に働くといえます。(Matsumoto K, Saito H. Eczematous sensitization, a novel pathway for allergic sensitization, can occur in an early stage of eczema. J Allergy Clin Immunol 2014; 134:865-6.)。皮膚が安定していれば、環境要因の影響も受けにくくなり、むしろ改善する方向に働くのかもしれませんね。

どちらにせよ、経口免疫寛容として、「食べて改善させる」より、安全なルートで貼るだけでよいのであれば、有望な方法でしょう。この手法に関しては、商品名Viaskinとして、コマーシャルベースに乗せていこうとしているようです(https://www.dbv-technologies.com/en/viaskin-technology)。

 

 

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メルルーサを少量から開始し摂取可能になると他の魚のアレルギーも改善するかもしれない: 症例報告

D'Amelio C, et al. Induction of tolerance to different types of fish through desensitization with hake. Pediatr Allergy Immunol 2016. [Epub ahead of print]

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27671208

 


魚アレルギーは、自然に改善することが少なく、種類も多いために経口免疫寛容誘導療法(少しずつ摂取して食べられる量を増量する治療法)はなかなか難しい面があります。

実際には、私も魚に関しての免疫寛容誘導療法をする経験がそれなりにあり、今回の症例報告と同じように、スキンプリックテストや特異的IgE抗体価をみながら、行っています。


 

P: 生後9ヶ月時に初めてメルルーサを摂取して全身蕁麻疹を来たし、その後誤食により4回の即時型アレルギー反応(アナフィラキシーを含む)をきたしていた6歳女児

E: 凍結乾燥メルルーサによる経口免疫療法

C: -

O: メルルーサによる免疫療法は他の魚の免疫寛容も誘導するか

 

 

結果

 

皮膚プリックテスト(SPT)は、メルルーサ[14×10mm]、アナゴ、サケ、マグロ、アンコウ、ハタ、Megrim、サーディン、カサゴで行われた。 総IgE 28.7kU/l、特異的IgE抗体価 メルルーサ 3.31kU/l、コイ・パルブアルブミン4.87kU/lだった。

メルルーサに対する経口食物負荷試験(OFC)は256mg摂取後、腹痛をきたし、陽性だった。

メルルーサは、冷凍肉(メルルーサ80gが16.2gのタンパク質を含有)を使用し、凍結乾燥しされたものを使用した。

増量フェーズは11ヶ月間で、経過中、アドレナリンを必要とするアナフィラキシーを1回(おそらく中耳炎に関連)、中等度の腹痛を4回来たした

維持フェーズで患者は2-3日ごとに40gのメルルーサを摂取し、13ヶ月時に80g、18ヶ月時に160gの負荷で耐性を確認された

他の種類の魚(バス50g、マグロ50g、アンコウ50g、シタビラメ40g、アナゴ50g)にも耐性が確認された。

維持フェーズの5ヶ月後と12ヶ月後に、軽度の腹痛を呈したが、量を減量して改善した。

現在は、患者は週3回、80gのメルルーサを摂取し、週に2回、マグロ、アンコウ、バス、シタビラメ、アナゴを交代に代わりに摂取しているが、症状はない

皮膚プリックテストは経時的に改善した。

 

 

コメント

 

魚は小児の食物アレルギーの原因のうちの1つですが、牛乳や卵アレルギーに比較して持続する傾向があります。

卵や乳、ピーナッツの経口免疫寛容誘導に関してはそれなりに論文が増えてきていますが、魚に対する経口免疫寛容は、現実的には種類が多いため難しいと考えられており、報告も少ないです。

今回の報告は、メルルーサの耐性が誘導されると、他の魚の耐性も誘導されていたとまとめられ、メルルーサ以外の魚に対する耐性誘導は、主要アレルゲンであるパルブアルブミンの広い交差反応性に起因するためかもしれないとされていました。
ただ、中断してどうかという検討はこの論文は検討していませんし、維持フェーズで食べ続けることを指導しています。

あくまで経験上は、長期間続けていても、中断が長くなると再燃することが多いようです。

この論文を読んで、自分自身で診ている患者さんの症例報告をしておいたほうが良いだろうかと思いました。

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加水分解卵による卵経口免疫療法: ランダム化比較試験

Giavi S, et al. Oral immunotherapy with low allergenic hydrolysed egg in egg allergic children. Allergy 2016; 71:1575-84.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27059671

 


低アレルゲン化の方法として、加水分解"乳"に関して皆さんも良くご存知かと思います。

今回ご紹介するのは、加水分解”卵”によって免疫療法を試みた研究です。


 

P: 1-5.5歳の卵アレルギー患者29例

E: 加水分解卵(HydE)9g/日×6ヵ月間 15例

C: プラセボ(麦芽デキストリン、カラメル、パーム油、水の混合) ×6ヶ月間 14例

O: 6ヶ月後に卵に耐性を獲得するか(7分加熱ゆで卵50-60gのオープン負荷試験による評価)

 

【結果】

卵アレルギーの定義は、過去3ヵ月以内に卵白経口負荷試験陽性、または明らかな卵摂取後1時間以内の即時型反応の既往があり、皮膚プリックテスト(SPT)陽性もしくは特異的IgE抗体価陽性(>0.35kU/l)であるものとした。

初日から15例全例がHydEを総量を摂取可能であり、自宅で維持量を継続した。

25例が本研究を完了し、HydE群4例がドロップアウト(製品に対する嫌悪 1例、食物経口負荷試験(OFC)に対する親の心配 1例、アドヒアランス不良 2例)した。

6ヶ月後のOFC評価による卵耐性率は、HydE群36%、プラセボ群21%であり、有意差は認められなかったが、特異的IgG4抗体価が上昇する一方、CD203c/CD63陽性好塩基はプラセボ群よりHydE群で低下した

 

【コメント】

加水分解卵(HydE)は、卵アレルギー児に投与するに際し、安全で低アレルゲン性を持つ製品と考えられるとされていました。

また、有意ではないながら、6ヵ月間の投与でHydE群は卵の寛容を誘導している可能性が示唆されたとして、より長期間・もしくは高用量投与により、寛容を誘導できる可能性があると結論されていました。

加水分解卵というものがあるのは知りませんでした。抗原性を残しながら低アレルゲン化し、免疫療法に応用する方法は今後他の食品にも広がってくるかもしれませんね。

今回の検討も、最初の評価をさらにしっかり(病歴で診断せずに負荷試験をする)したり、負荷期間を長期にすれば、効果が見られていたかもしれません。もちろん、牛乳や小麦とは異なり、卵は加熱での抗原性のコンロトールが比較的容易であるため、加熱卵との比較が今後必要になってくるのではないでしょうか。

 

 

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ゾレアで軽減した食物アレルギー反応は、中止すると再燃するかもしれない: 症例集積研究

Martorell-Calatayud C, et al. Anti-IgE-assisted desensitization to egg and cow's milk in patients refractory to conventional oral immunotherapy. Pediatr Allergy Immunol 2016; 27:544-6.

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27003835

 


以前、オマリズマブ(商品名ゾレア)を併用することによって、牛乳免疫療法の副反応を減らす可能性があるという報告をお示ししました(http://pedallergy.jugem.jp/?eid=37)。さらに、オマリズマブは慢性蕁麻疹にも付加的な効果があることも報告されています(http://pedallergy.jugem.jp/?eid=41)。

注目されている補助療法ではありますが、今回は、オマリズマブ併用で食物経口免疫療法を行った症例は、オマリズマブを中止した後に副反応が起こりやすくなるのではないかという症例集積研究をお示しします。


 

P: グレード3-4のアレルギー反応があるため従来の食物経口免疫療法(OIT)を行うことができなかった14例(3-13歳)

E: オマリズマブ(ゾレア)を併用した鶏卵・乳食物経口免疫療法

C: -

O: オマリズマブ終了後12ヶ月間のOIT関連の副反応

 

 

【結果】

オマリズマブは、添付文書通りの投与量で投与開始後9週間経過後、食物経口免疫療法(OIT)は開始された。

乳OITは、乳蛋白として初回量、0.33mg・最終用量、6.6gとし、維持フェーズでは乳200ml(乳蛋白6.6g)を負荷とした。

鶏卵は、滅菌された液状の生卵白を使用し、蛋白量として初回量0.06mg・最終負荷量1.8g(=卵白17ml;約半個)とした。卵白は導入フェーズにおいて2日間の急速免疫療法をおこない、外来で17mlまで増量した。免疫療法終了1週間後に、卵白33ml=1個でオープン負荷試験を行った。

導入フェーズで最終用量に達した後、オマリズマブを2ヵ月間投与後、オマリズマブは中止された。

オマリズマブ中止後、食物の耐用量が減少する可能性があるため、維持量は一時25%に減量された(乳50mlと卵白5ml)が、オマリズマブ中断後の12ヵ月間で、すべての患者は再び最大量に到達し、毎日乳200mlと卵白17mlで維持した。

導入フェーズ終了後、すべての患者は、脱感作を達成し、4例(28%)のみ、導入フェーズにおける軽度のアレルギー反応が認められたが、アドレナリンを使用した例はなかった

以上の結果にもかかわらず、オマリズマブ中止後、2.5-4ヶ月後に6例でグレード3-4のアナフィラキシー反応をきたした(症例1:腹痛、嘔吐、気管支攣縮、じんま疹、外耳血管性浮腫。症例4:鼻炎、じんま疹、咳、気管支攣縮。症例5:じんま疹、咳、血管性浮腫、嘔吐。症例10:鼻炎、腹痛、嘔吐。症例12:じんま疹、気管支攣縮。症例14:じんま疹、腹痛、嘔吐。)

再燃する患者での危険因子は特定することができなかった。

 

【コメント】

オマリズマブ(ゾレア)は、食物経口免疫療法が困難である例に対し、導入成功率を上げる方法として期待されていますが、最近、乳OITに関して、副反応は減少させるが成功率はあげないという報告もあります(http://pedallergy.jugem.jp/?eid=37)。今回の報告はOITの成功例は多かったようですが、中断すると症状が再燃する可能性があるという結果になります。まだまだ、オマリズマブの免疫療法への活用は難しい側面があるといえそうです。

 

 

 

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経皮的ピーナッツ免疫療法: 第I相試験

Jones SM, et al. Safety of epicutaneous immunotherapy for the treatment of peanut allergy: A phase 1 study using the Viaskin patch. J Allergy Clin Immunol 2016; 137:1258-61.e10.

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26920463

 


経皮感作、という概念は多くの研究で証明されてきており、ご存知のかたも多いでしょう。

しかし、湿疹のない健常皮膚に対してはむしろ免疫寛容を誘導する可能性が示唆されています。今回ご紹介する論文のグループは、経皮的免疫寛容誘導(EPIT=えぴっと、と読みます)に関して研究を進めており、キットの商品化も目指しているようです。そのキットはViaskinと名付けられています(http://www.dbv-technologies.com/en/viaskin-technology)(もちろん、上に貼った画像とは全く別物です)。

今回は第I相試験であり、薬物動態や安全性をみて用量決定などが行われます。よって、効果を見ている試験ではないことに注意(蛇足ですが、臨床応用されるためにはさらに、第II相、第III相と続くことになります)。


 

P: 6-50歳の重篤なピーナッツアレルギー患者30名、重篤でないピーナッツアレルギー患者70名 計100名 

E: Viaskinにより前腕もしくは肩甲骨間の健常皮膚に20、100、250、500mgの用量でピーナッツ貼付(低用量から開始、小児は500mgは使用せず)

C: プラセボ貼付

O: 投薬1、2、3、8、15日、22日目(投薬終了7日後)に安全と忍容性を評価

 

【結果】

参加者のベースラインでのピーナッツ特異的IgE抗体価は、平均25.47kUA/L(0.71-〉100 kUA/L)だった。

安全性と忍容性はtreatment emergent adverse events (TEAEs;Viaskinの部位のみではない緊急性のあるイベント)とL-TEAEs(Viaskin部位のみ)で評価され、重篤なTEAEsは報告されなかった。

100人中4名(4%)は研究が中断された。 1例は同意撤回であり、3例はTEAEsのためだった。少なくともひとつのL-TEAEがViaskinによるピーナッツ治療被験者の84%、プラセボ治療被験者の60%から報告され、Viaskinによるピーナッツ治療被験者のL-TEAEsは有意に多かった(P = .021;相対危険度1.4[95%CI、0.99-2.08])。グレード2と3のL-TEAEsは重篤なピーナッツアレルギーの被験者より重篤でないピーナッツアレルギーの被験者に多かった。

試験開始時と終了時でのピーナッツ特異的IgE抗体価と皮膚プリックテストに有意な変化は認められなかった。

 

【コメント】

ピーナッツ経皮的免疫療法(EPIT)のLetter(短報)になります。

第一相の結果で、安全性は高く第二相の必要性が述べられていました。重篤な副反応が起こりにくいとされるEPITは、重要な治療法ではありますが、まだ現状では評価が定まったともいえないように思っています。今後の発展に注目したいですね。

 

 

 

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