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アトピー性皮膚炎とバリア機能: レビュー

Egawa G, Kabashima K. Multifactorial skin barrier deficiency and atopic dermatitis: Essential topics to prevent the atopic march. J Allergy Clin Immunol 2016; 138:350-8.e1.

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27497277

 


京都大学皮膚科の椛島先生らのグループからのレビューです。

皮膚バリアと感作やアレルギーマーチに関して、同グループの最近の研究結果を含め、多種多様な研究結果がわかりやすくまとめられた極めて優れたレビューです。いつもは論文を読むのに全体読まずにエッセンスをざっくり読むのですが、今回は最初から最後まで読んでしまいました(ただし、当ブログにUPするのはごく一部です)。

最初にお断りいたしますが、私は小児科医ですのでこの和文要約に関して皮膚科用語が間違っているかもしれません。その場合はご容赦頂ますようお願い致します。


 

【まとめ】

 過去10年間、アトピー性皮膚炎(AD)に関し、皮膚バリア低下の病初期における役割が強調されてきた。

 環境要因の皮膚への曝露は慢性炎症を惹起し、「アトピーマーチ」にも関与する。持続性の炎症はさらにバリア機能を低下させ、さらに病状を悪化させる皮膚と免疫系のポジティブフィードバックをもたらす。これが、ADの病因における「outside-in仮説」であり、AD患者が将来の食物アレルギー、喘息、アレルギー性鼻炎の発症リスクが増加することの説明に合致する。

 

 皮膚バリア機能は、主に角質層(SC)に依存し、SCは角化というケラチノサイト分化プロセスで形成される。

 角化は、表皮の4つの細胞層(基底層、有棘層、顆粒層(SG)とSC)によるケラチノサイトによって構成される。

 SGにおいて、ケラチノサイトは、ケラトヒアリン顆粒と層板小体という膜限局性顆粒を産生し、ケラトヒアリン顆粒はSC(例えば、フィラグリン[FLG]、loricrinとケラチン線維)の細胞内構成要素を含み、層板小体は細胞外構成要素(例えば、脂質、角質デスモシンとカリクレイン[KLKs])を有する。

 

 SCではケラチノサイトは平坦化して核を失い(角質細胞と呼ばれる)、特定のバリア構造と置き換えられる。

層状体は角質細胞間の細胞間隙に分泌され、脂質で満たされる。

 これらの構造はレンガ(角質細胞)とモルタル(細胞間脂質)にしばしば例えられ、環境に対する疎水性バリアを提供する。

 

(1) フィラグリン(FLG)代謝

  SGにおいて、FLGは10〜12個のFLGモノマーが連結されたプロフィラグリンとして産生され、SGからSCへの移行時に、プロフィラグリンは、プロテアーゼ(例えばCAP1/Prss8やSASPase/ASPRV1)によってFLGモノマーを生成するために切断される。SC上層で、FLGはケラチン線維から分離される。

 放出されたFLGモノマーはグルタミン、アルギニン、ヒスチジンを含む遊離アミノ酸に分解され、ウロカニン酸(UCA)とピロリジン・カルボン酸(PCA)に変換される。このプロセスは、プロテアーゼ・カスパーゼ14、カルパイン1、ブレオマイシン加水分解酵素によって実現される。

 AD患者のFLG突然変異の有病率は、北ヨーロッパのおよびアジアのpopulationで25%から50%であり、ヨーロッパ、アフリカ、日本、ラテンアメリカ系先祖をもつ被験者ゲノム全体において、30以上のADリスク座が特定されている。また、FLG突然変異は北ヨーロッパやアジアでは一般的であるにもかかわらず、南ヨーロッパでは少なく、一部のアフリカ諸国では存在しない。

 最近の研究は、もう一つの皮膚バリア・タンパク質(FLG2)の発現がAD患者の表皮では減少していることを示している。

 

(2)  Cornified envelope(CE;角質化エンベローブ) 

 CEは、角質細胞の細胞膜下で形成される特有のバリア構造であり、細胞外脂質によって架橋結合された非可溶性蛋白質である。

 CEは有棘層の上層で産生され、増加した細胞内Ca2+レベルに反応しケラチノサイトはenvoplakin、periplakinとinvolucrinを産生し、形質膜下で蓄積しヘテロ二量体を形成する。これらのすべてのタンパク質の欠損したマウスは脂質含有量が減少し異常なCE形成を示すが、皮膚バリア機能は完全なままである。対照的に、重篤な魚鱗癬様紅皮症(常染色体劣性先天魚鱗症[ARCI]1)に関しては、CEはTG1に異常もしくは欠損している。 

 

(3)細胞間脂質  

 細胞間脂質(いわゆる「モルタル構造」をしている)は、SCバリアの構成要素であり、約1:1:1モル比でセラミド、遊離脂肪酸、コレステロールの不均一な混成物から成る。これらの脂質はSGで生じ、層状に蓄積され、SCへ移行する間に細胞外間隙に分泌される。セラミド分画は、300以上特定されているが、それらの中でも、オメガ-ヒドロキシ・セラミドが不可欠である。

 近年では、膜内外タンパク質79/mattrin(Tmem79/Matt)が、層状体構成物分泌に関係していると特定された。

 

(4)コルネオデスモソーム

 角質細胞の接着はデスモソーム器官に依存しており、コルネオデスモソームと呼ばれている。デスモソームは、desmosomal cadherin, armadillo proteins, plakinsの3つのタンパク質から構成される。コルネオデスモソームの異常は角質細胞の過剰落屑の傾向を助長し、皮膚バリア障害と炎症に至る。

 最近の研究は、デスモグレイン1のホモ接合突然変異が掌蹠角皮症、先天性乏毛症と増加した血清IgE(EPKHE;別名SAM症候群)が付随する重篤な皮膚炎(紅皮症)になることを明らかにした。

 

(5)角質細胞落屑

 角質細胞は、SCの表面で常に脱落している。この現象は落屑と呼ばれていて、SCホメオスターシスの重要な側面である。角質細胞落屑は、主にKLK関連のペプチダーゼ(例えばKLK5、KLK7とKLK14)のタンパク分解カスケードによって調整されている。 

 

(6) タイトジャンクション

 SCに加えて、タイトジャンクション(TJs)は皮膚バリアの完全性に必須の構造である。TJsは隣接したケラチノサイトをSGに閉鎖して、水と溶質に対するバリアとして作用する。

 TJsは、膜内外タンパク質、特にclaudinとoccludinファミリーといくつかの細胞質ゾルの骨格蛋白質から成る。 皮膚ホメオスターシスにおいて、TJsの欠くことのできない役割はclaudin1欠損マウスを用いた研究が最初であり、マウスは重篤な乾燥のため24時間以内に死亡した。重要なことは、これらのマウスは、SCコンポーネント産生においては、異常が認められなかったことである。

 また、TJsはSCがない皮膚付属器(例えば毛嚢と汗腺)の初期バリア構造として作用しそうである。実際、毛嚢は皮膚に薬の「ルートを短絡する」ことがよく知られている。 

 

(7) 皮膚健全性の免疫性変調

 免疫細胞がサイトカイン産生を通じ皮膚健全性に影響することを示唆する。AD皮膚病変を引き起こす炎症カスケードの理解は不完全ではあるが、ADの免疫異常の病因がTH2細胞の免疫応答によって引き起こされることを強く示唆している。これは、IL-4とIL-13(2つの主要Th2型サイトカイン)からシグナルを遮断するとADが改善することを証明する最近の臨床試験データが、さらにこれを支持している。

 動物試験では、AD様皮膚病変における食物アレルギーの表皮誘導では、TSLPは必須の役割を示した。加えて、表皮ランゲルハンス細胞にシグナルを送っているTSLPは、食物アレルゲンに対する表皮感作において、IgE産生に重要である可能性がある。

 

 皮膚バリア欠損と過剰な免疫応答は、AD病因における同じコインの表裏である。

 そして、炎症反応はバリア機能不全によって誘発され持続されるため、たとえ免疫抑制剤を使用したAD患者への治療的な介入が概して炎症を目標とするとしても、ADの有効な処置の鍵であるのは皮膚バリア機能の維持療法である。

 

 

【コメント】

 自分が知らない文献が結構あって、孫引きで論文を読むのにしばらく苦労しそうです。それでも、いままで私の医師歴は基礎研究より臨床研究がメインでしたので、基礎研究の部分をわかりやすく説明していただいて随分助かりました。自分自身の興味がこの範囲にもあるため、参考文献を見ながら勉強させていただきたいと思っています。

 

 

 

評価:
Lawrence F. Eichenfield MD,Ilona J. Frieden MD,Andrea Zaenglein MD,Erin Mathes MD
Saunders
¥ 16,002
(2014-08-11)

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児の出生前からのイヌ飼育はアトピー性皮膚炎発症に予防的に働くかもしれない: 出生コホート研究

Thorsteinsdottir S, et al. Domestic Dog Exposure at birth reduces the Incidence of Atopic Dermatitis. Allergy 2016.[Epub ahead of print]

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27385647

 


アトピー性皮膚炎は発症した後は、ペットが増悪因子となる場合が多いです。また、小児期にイヌやネコへ感作されている場合は、その時に発症していなくても将来イヌネコアレルギーの発症リスクになります(http://pedallergy.jugem.jp/?eid=61)。

一方で、発症する前からの飼育は必ずしもアトピー性皮膚炎の発症リスク因子とはならないという報告もあります。


 

P: COPSAC2000コホート研究(母が喘息)に参加した児411名とCOPSAC2010に参加した児700名

E: 家庭内でのイヌ曝露

C: -

O: アトピー性皮膚炎のリスク

 

【結果】

アトピー性皮膚炎の発症リスクは、家庭内イヌ曝露のある児は、COPSAC2000でaHR=0.46[0.25-0.87](p=0.02)、COPSAC2010でaHR=0.58[0.36-0.93](p=0.03)で有意に低かった。

また、より多くのイヌ飼育家庭により、COPSAC2010ではaHR =0.58[0.38-0.89]、p=0.01であり、用量依存的に減少した。

この保護作用は、COPSAC2010コホートでアトピー性疾患のある母から産まれた児に限定され(aHR =0.39[0.19-0.82]、p=0.01)、アトピー性疾患のない母から生まれた児には効果がなかった(aHR =0.92[0.49-1.73]、p=0.79)。

父のアトピー疾患は、児のアトピー性皮膚炎リスクに影響を及ぼさなかった。

 

【コメント】

ペット飼育が、むしろアトピー性皮膚炎発症に予防的に働くという報告は過去にもあります。

ただ一方で、その研究手法自体に限界があることも指摘されており(J Allergy Clin Immunol 2016; 137:1621-2.)
(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26971691、自分自身としては、予防効果を期待して飼育するのは決して推奨できないと考えています。なぜなら、発症した、もしくは感作された場合の予後は決して良いとは言えないからです。一方で、すでに飼育している家庭に関し、出生前からそのペットを手放すかどうかは議論の余地があるといえるでしょう。もちろんペットも家族の一員であり、簡単に手放すことができるわけではありません。

 

 

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生後4週の血中好酸球数はその後のアトピー性皮膚炎発症を予測する

 

topic

 

 アトピー性皮膚炎発症を予測するマーカーに関しての情報は不足しています。
 そこで、乳児期のマーカーとして、皮膚バリア機能が注目されてきていますが、これは血液マーカーとして好酸球が使えるかもという報告です。

 

P: コホート試験における生後4週の559名と、生後7か月の467名のハイリスク乳児
E: 好酸球数白血球数中≧5%
C: -
O: アトピー性皮膚炎の発症を予測するか

 

結局、何を知りたい?

✅生後4週の好酸球数が、アトピー性皮膚炎の発症を予測するかということを知ろうとしている。

 

結果

 

 生後4週の好酸球数は0.9%-15.1%(50%tile=4%)だった。
 生後4週の好酸球数高値(≧5%)は生後7ヵ月(p=0.007)、1歳(p=0.004)、2歳(p=0.007)、3歳(p=0.006)のアトピー性皮膚炎の発症と有意に相関した。

 生後4週の好酸球数高値(≧5%)のアトピー性皮膚炎発症の予測に関する陽性適中率(PPV)は23.9%、感度は52.3%、特異度は63.3%だった。
 また、ROC解析では、好酸球数4.5%がアトピー性皮膚炎発症予測に有意であることが示され、生後7ヵ月(OR=1.99、95%CI 1.22-3.25、p=0.005)、1歳(OR=1.65、95%CI 1.02-2.65、p=0.039)、2歳(OR=1.63、95%CI 1.04-2.55、p=0.033)、3歳(OR=1.63、95%CI 1.04-2.55、p=0.034)だった。
 一方、生後7か月の好酸球数高値(≧5%)はアトピー性皮膚炎発症予測に有意差を示さず、生後4週総IgE値>1.5kU/lも、生後7ヵ月(p=0.75; OR 0.90)、1歳(p=0.95; OR 0.85)、2年(p=0.81; OR 0.45)、3歳(p=0.85; OR 0.57)のアトピー性皮膚炎発症を予測できなかった。

 

結局、何がわかった?

✅生後4週の好酸球数が4.5%以上だと、それ以下に比較して生後7か月で約2倍、1歳で約1.7倍アトピー性皮膚炎になりやすい。

 

コメント

 

 生後1か月のアトピー性皮膚炎の発症予測マーカーとして、日常診療で用いることのできる好酸球が参考になるとまとめられます。

 ただ、生後4週の好酸球数≧5%と<5%群で、その後のアトピー性皮膚炎発症はそれぞれ、1歳で28.2%(好酸球数≧5%)vs16.9%(<5%)、3歳で36.1%(好酸球数≧5%)vs24.1%(<5%)とされています。

 差は明らかではでしょうが、臨床で使うには「将来アトピーを発症しますよ」と言えるほどの差とはいいがたい印象です。もっといいマーカーが欲しいですね。

 最近、経表皮水分蒸散量(TEWL)がアトピー性皮膚炎発症を予想するという報告もあり、これらも加味するといいのかもしれません。

 

 

 

今日のまとめ

✅生後4週の好酸球数は、その後のアトピー性皮膚炎発症を予想するが、感度特異度は不十分である。

 

* 2017/3/25 フォーマットを修正しました。

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母乳中IL-1βは子どもの湿疹発症を減らすかもしれない: 出生コホート試験

Jepsen AA, et al. High Breast Milk IL-1beta Level is Associated with Reduced Risk of Childhood Eczema. Clin Exp Allergy 2016. [Epub ahead of print]

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27251401

 


母乳の質が、子どものアレルギーに関与するかもしれないという報告があります。この論文はコホート試験から採取した母乳のサイトカイン・ケモカインを調べたものです。もちろん、母乳栄養自体を否定するものではありません。


 

P: ハイリスク出生コホート試験であるCOPSAC2000に参加した母の母乳223サンプル

E: 母乳中の炎症性および免疫調節性サイトカインとケモカイン 19種類

C: -

O: 3歳までの湿疹と再発性喘鳴発症に影響するか

 

【結果】

研究群の3歳までの湿疹累積有病率は39%(86名)、再発性喘鳴は、19%(43名)で診断された。

1ヶ月時の約10mLの母乳が採取され、各種サイトカイン・ケモカインが検討された(CCL2 (MCP-1), CCL4 (MIP-1β), CCL5 (RANTES), CCL17 (TARC), CCL22 (MDC), CCL26 (Eotaxin-3), CXCL1 (GRO-α), CXCL8 (IL-8), CXCL10 (IP-10), IFN-γ, IL-1β, IL-4, IL-5, IL-10, IL-13, IL-17A, TGF-β1, TNF-α, TSLP)。
母乳中IL-1βの増加(≧0.7 pg/mL)は3歳前の湿疹リスクを有意に減少させた(調整ハザード比[aHR]=0.41; 95%信頼区間[CI] 0.24-0.68; p < 0.001)。

さらに、成因分析では母乳中IL-1β・IL-17A・CCL17高値とCXCL1・TSLP低値は湿疹に保護作用を示唆した(aHR=0.82; 95%CI=0.68-0.98; p=0.03)。

母乳中IL-1β高値は、世帯収入が高い家庭対低い家庭(54%対28%、p=0.017)、自然出生対帝王切開(41%対23%、p=0.026)で認められた。一方、再発性喘鳴に対する関連は認められなかった。

 

【コメント】

母乳中のIL-1βが児のアトピー性皮膚炎発症を抑制するとまとめられます。

IL-1βとIL-17は好中球を助ける作用をすることで保護効果があるのではないかとしており、一方で、研究の限界として、IL-1βの直接的な効果よりも、母体の免疫状態の代替指標になっている可能性があるとも述べられていました。

本研究は母乳とその後のアレルギー疾患の発症に関して、あらかじめ定義されたアルゴリズムに則りおこなった初の臨床コホート試験だそうです。母乳の影響に関しては、まだ良くわかっていないことも多いですが、現状では4-6ヶ月の完全母乳はメリットがあり、それ以上の長期完全母乳は必ずしも良い結果とはなっていません。

母乳の成分を一般診療としては使用できませんし、現状では完全母乳は4-6ヶ月程度で離乳食を始めていく指導しかないかなと思っています。

 

 

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黄色ブドウ球菌密度はアトピー性皮膚炎の重症度と関連する: 症例対照研究

Tauber M, et al. Staphylococcus aureus density on lesional and nonlesional skin is strongly associated with disease severity in atopic dermatitis. J Allergy Clin Immunol 2016; 137:1272-4.e3.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26559326
 
Letter(短報)です。以前、黄色ブドウ球菌と食物アレルギーの関連に関しUPしましたが(http://pedallergy.jugem.jp/?eid=96)、今回も黄色ブドウ球菌関連です。

P: アトピー性皮膚炎患者 78例 年齢中央値30歳 (18-49歳)
E: アトピー性皮膚炎フェノタイプ・重症度、フィラグリン(FLG)ジェノタイプ、経皮的水分蒸散量(TEWL)、hydration index(HI)、皮膚pH、ピロリドン・カルボン酸(PCA)
C: 健常者 78例
O: (1) アトピー性皮膚炎の重症度の予測因子 (2)アトピー性皮膚炎の非病変部位と病変部位の異常

【結果】
重篤なアトピー性皮膚炎は、SCORAD40以上と定義され、黄色ブドウ球菌の密度定量化はリアルタイムPCRによって行われた。
アトピー性皮膚炎患者11例(14.1%)は対照4例(5.1%)に比較し、有意に一つ以上のFLG遺伝子異常を示した( P =.017)。
アトピー性皮膚炎患者のhydration index(注:しっとりしているかどうかの指標のようです)は健常者に比較し病変部位・非病変部位ともに低値であり、pHとTEWLは健常者や非病変部位より高かった。PCAは病変部位で低値だったが、非病変部位と対照皮膚では同程度だった。
黄色ブドウ球菌密度は、それぞれ、2.6、2.3log比であり、対照皮膚と比較しアトピー性皮膚炎患者の病変部位・非病変部位で有意に高く、非病変部位より病変部位でより高値だった。
病変部位に関し、重症アトピー性皮膚炎(SCORAD>40)に関連した因子は、黄色ブドウ球菌密度(オッズ比[OR]5.4; 95%信頼区間 1.85-15.9)とTEWL(OR 3.4; 95%信頼区間 1.17-10)だった。
非病変部位のみでは、黄色ブドウ球菌密度のみがが重篤なアトピー性皮膚炎と有意に関連した(OR 4.2; 95%信頼区間 1.6-11.3)。
病変部位もしくは非病変部位のブドウ球菌性密度高値とアトピー性皮膚炎重症度は有意な関連があった(P = .007と.003)。

【コメント】
アトピー性皮膚炎の湿疹部位に黄色ブドウ球菌が定着しているのはよく知られた事項です。この報告は、他の因子と比較してもアトピー性皮膚炎の重症度に黄色ブドウ球菌の関与が大きいというものです。
アトピー性皮膚炎と黄色ブドウ球菌、どちらが卵でどちらがニワトリかはわかりませんが、アトピー性皮膚炎を改善すると皮膚培養からは黄色ブドウ球菌が検出されなくなってくることは臨床でもよく経験されることですので、しっかり治療することが重要かと思います。


 

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