スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

■こんな記事も読まれています




■スポンサーリンク


妊娠中・幼児に対するドキシサイクリン(ビブラマイシン)の安全性: レビュー

Cross R, et al., Revisiting doxycycline in pregnancy and early childhood--time to rebuild its reputation? Expert Opin Drug Saf 2016; 15:367-82.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26680308

 


今年は例年以上にマイコプラズマが流行しています。

下記は東京都感染症情報センターのHPより抜粋。

http://idsc.tokyo-eiken.go.jp/diseases/mycoplasma/mycoplasma/

【クリックで拡大】

一方で、近年マクロライド耐性マイコプラズマが増加し治療が難しくなってきており、ニューキノロン系抗生物質であるトスフロキサシン(商品名オゼックス)の使用が多くなってきています。一方、今シーズンのマイコプラズマに対しては、オゼックスの効果が低下している印象を持ちます(まだそのようなデータは出てはいないようですが)。そこで、8歳以降に対してはテトラサイクリン系の抗生物質であるミノサイクリン(商品名ミノマイシン)を使用する場合が多くなってきました。8歳未満には副作用の懸念から使用はためらわれながら、場合によってはし使用せざるを得ないことがある、という状況です。

耐性マイコプラズマに対しての対策を考えなければならず、文献を検索したところ、ドキシサイクリン(商品名ビブラマイシン)はミノマイシンに比較し副作用が少なく、使用できる可能性があるというレビューを見つけました。


 

* メタアナリシスは実施できておらず、レビューにとどまってるため、PECOは参考程度。

P: PubMed, SciELO (Scientific Electronic Library Online), Research Gate, Google Scholar、Googleを検索して得られた140研究

E: ドキシサイクリン使用

C: ドキシサイクリン不使用

O: ドキシサイクリンの使用と、妊娠中の催奇形性または小児における不可逆性の歯牙着色・骨成長障害に相関はあるか

 

【結果】

高品質の研究の不足や利用できた報告の時期・最近のエビデンスの不足によっての制限のため、メタアナリシスは実施できていないが、主に歯牙着色を中心に140報告が同定された。

 

【妊娠中投与による児のリスク】

第一トリメスターのドキシサイクリン使用は、胎児に対するリスクを増加させないことを示唆した報告が複数あった。

 

【妊娠中投与による歯牙着色】

テトラサイクリンによる歯牙着色に関する臨床研究は、1960年代初頭に見受けられ始めた。

特に第二/第三トリメスター時期のテトラサイクリン投与は、歯牙着色に関する主な副作用であり、テトラサイクリン関連の歯牙着色の発生率は3.6%と推定されている。

生後3ヵ月から8歳へのテトラサイクリンの投与は、用量-時間依存的に永久歯の永続的なエナメル質変色を起こしうるという研究があり、8歳以降は歯冠が石灰化されるため、テトラサイクリンによる永続的な歯牙着色は発生しない。

 

【妊娠中投与による骨成長阻害】

テトラサイクリン内服治療は、最大40%の骨成長抑制(特に第2および3トリメスターの早産児)と関連していた。

一方、データは不足しているものの、ドキシサイクリンはカルシウムをキレート化する能力が低く、他の薬より永続的な歯牙着色を生じる可能性は低い。

例えば、ドキシサイクリンを投与をうけた米国インディアンの小児58例がドキシサイクリン以外の投与をうけた213人に比較し永久歯の着色や歯の形成に有意差が認められなかった報告がある。

 

【肝障害】

テトラサイクリンを投与された患者は、年齢-性でマッチされた健常対照者を比較して肝毒性が高くなる(現在の使用者のオッズ比[OR] 3.70(95%信頼区間[CI] 1.19.11.45);使用歴のある患者 OR 2.72 [95%CI 1.26.5.85])が、ドキシサイクリン投与患者のリスクは増加しなかった(現在の使用患者 OR 1.49 [95%CI; 0.61.3.62])


 

【コメント】

ドキシサイクリンは、マラリア、性感染症(骨盤炎症性疾患、クラミジア、梅毒)、リケッチア疾患、ライム病、皮膚感染、ざ瘡といった感染症を治療するために広く用いられています。

本論文中に記載されていますが、テトラサイクリンが催奇形を含む重篤な副作用、8歳未満への歯牙着色、まれに妊婦での致命的な肝毒性があると報告され、FDAでのPregnancy Category分類はドキシサイクリンもDにされています。

実際、ドキシサイクリンはテトラサイクリンの一種ですが、今回の検討では、ドキシサイクリンが妊娠または幼児期に投与できるとされ、再評価が必要であると結論されていました。

なお、2015年6月に、FDAは「妊娠中の薬物使用のためのカテゴリー分類」情報を書き換え、バイオテロに対する妊娠中のドキシサイクリン治療が容認されたそうです。

マイコプラズマに対し積極的に第一選択としては推奨はできないですが、8歳未満の児でオゼックスもマクロライドも効果が乏しくテトラサイクリンを考慮せざるを得ない場合は、ミノマイシンではなくビブラマイシンを選択するという方針もあると考えられるでしょう。このような、「選択肢が狭められた状況で選択しなければならない場合」は医療現場でまま発生します。

「単なる咳」に対するマクロライド、場合によってはオゼックスの使用が多すぎたのではないかと思います。

この論文を見つけた後、耐性マイコプラズマに対するドキシサイクリンの効果を検討した報告(http://pedallergy.jugem.jp/?eid=222)を見つけたので明日提示します。

 

■こんな記事も読まれています




■スポンサーリンク


self-limited(自然治癒の見込める)気道感染症に対する抗生剤治療による細菌感染症の予防効果: コホート研究

Gulliford MC, et al. Safety of reduced antibiotic prescribing for self limiting respiratory tract infections in primary care: cohort study using electronic health records. Bmj 2016; 354:i3410.

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27378578

 


「風邪に抗生剤は効かない」に異論をはさむ医療者は少ないでしょう。

風邪そのものは一般的なウイルスが原因であり、抗生剤は効果がないからですが、一方、「こじれるといけないから」抗生剤を処方するケースは多々見受けられます。現実問題、細菌感染とウイルス感染をクリアカットに鑑別する方法がない以上、ある程度は許容せざるを得ない場面もあるでしょう(抗生剤処方での不利益に関し、説明努力を続ける必要性がありますが)。

しかし、実際はどれくらい「予防」しているのでしょう。


 

P: 英国のClinical Practice Research Datalink 610施設 2005年から2014年まで4500万人/年

E: 一般診療における、抗生物質を使用した、self-limitedな(治療をしないでも長期的には症状が落ち着いたり治まる性質のある)気道感染症(RTIs)診療の標準比率、登録された患者1000人ごとのRTIsに対する抗生剤処方比

C: -

O: 肺炎、扁桃周囲膿瘍、乳様突起炎、蓄膿症、髄膜炎、頭蓋内膿瘍、ルミエール症候群の発生率

 

【結果】

2005年から2014年までに、抗生物質が処方されたRTIs診療の比率は、男性において53.9%から50.5%まで、女性において54.5%から51.5%まで減少した。

髄膜炎、乳様突起炎、扁桃周囲膿瘍の新規発症は、1年ごとに5.3%、4.6%、1.0%それぞれ減少したが、肺炎新規発症は0.4%増加した。

年齢と性で標準化した肺炎と扁桃周囲膿瘍の発生率は、抗生剤を投与した最も多い四分位に比較して、最も少ない四分位のほうが多かった。抗生物質処方を10%削減すると、修正相対危険度(RR)が、肺炎12.8%(95%信頼区間7.8%〜17.5%、P < 0.001)、扁桃周囲膿瘍9.9%(5.6%〜14.0%、P < 0.001)であった。

RTIs7000例に対する抗生剤処方が10%削減する場合、毎年肺炎1.1人(95%信頼区間0.6〜1.5)、10年毎に扁桃周囲膿瘍が0.9人(0.5〜1.3)増加する可能性がある。乳様突起炎、蓄膿症、髄膜炎、頭蓋内膿瘍、ルミエール症候群は、処方が少ない群と多い群で頻度に差はなかった。

 

【コメント】

RTIsに対して抗生物質を削減する方法では、肺炎と扁桃周囲膿瘍の発生率をわずかに増加させる可能性があり、乳様突起炎、蓄膿症、細菌性髄膜炎、頭蓋内膿瘍、ルミエール症候群は増加させる可能性は低いとまとめられます。

しかし、その効果は極めて少なく、7000人に投与して、「治療可能な」肺炎や扁桃周囲膿瘍を約1名減らす程度といえます。一方で、抗生剤そのものでアレルギーを起こす可能性、下痢などの副作用をきたす可能性などから、やはり多くの場合は抗生剤投与のメリットは極めて限定的といえるのではないでしょうか。

 

 

評価:
Robert M. Kliegman MD,Bonita M.D. Stanton MD,Joseph St. Geme MD,Nina F Schor MD PhD
Elsevier
¥ 15,500
(2015-05-06)

■こんな記事も読まれています




■スポンサーリンク


小児の発熱性尿路感染時の抗生剤加療開始の遅れは腎瘢痕化の発症に関連するかもしれない

尿路感染 発熱 小児 腎瘢痕Shaikh N, et al. Early Antibiotic Treatment for Pediatric Febrile Urinary Tract Infection and Renal Scarring. JAMA Pediatr 2016.

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27455161

 


発熱性尿路感染症は、小児科では重要な疾患のうちのひとつでしょう。私が申し上げるまでもなく、非可逆的な腎瘢痕に繋がる可能性があるためです。一方で、夜間は必ずしも十分な検査が出来ないセッティングも多いと思います。しかし、十分な検査なくエンピリックな加療は望ましくはありません。あえて翌日精査せざるを得ない場合もあることから、UTIに対する抗生剤治療開始時期の検討は重要と思います。


 

P: 初回、もしくは2回目の発熱性尿路感染症をきたした小児482名(女児90%) 年齢中央値11か月(2-72か月)     RIVUR研究(膀胱尿管逆流をもつ小児が参加)かCUTIE研究(膀胱尿管逆流のない小児が参加)への参加者

E: 各種予測変数で検討  

 抗菌療法の開始時期の遅れ、年齢、性、人種/民族、膀胱尿管逆流、膀胱と腸管機能不全、親の教育歴、公的扶助、上部尿路感染(UTI)既往歴(初回か、以前にUTIがあるか)、起炎菌(大腸菌vs他の菌)、リクルートとDMSAスキャン間でのUTI発症、UTIインデックス時の発熱の程度(<39°Cvs≧39°C)

C: -

O: 2年間の追跡期間中、新たな腎瘢痕化をきたすか

 

【結果】

参加者のうち、白人375名(78%)、膀胱尿管逆流は375名(78%)だった。

新しい腎瘢痕化の評価は、”DMSAスキャンにおいてベースライン(UTI後3-4か月)の検査で存在しなかった外郭の変化領域が24か月後にある”と定義した。

計35名(7.2%)が新規に腎瘢痕化を発症した。

腎瘢痕化は、抗菌薬治療開始の遅れと有意に相関し、腎瘢痕化がある群とない群の抗菌薬治療開始までの発熱持続時間の中央値(25-75%tile)は72時間(30時間-120時間)と48時間(24時間-72時間)時間であった(P=。003)。

単変量解析で、年齢(オッズ比[OR]、1.03; 95%信頼区間[CI]:1.01-1.05)、ヒスパニック(OR、5.24; 95%CI、2.15-12.77)、以前のUTI(OR、0.97; 95%CI、0.27-3.45)と膀胱と腸管機能不全(OR、6.44; 95%CI、2.89-14.38)も腎瘢痕化に関連したが、これらで調整後した多変量解析でも、抗菌薬治療開始の遅れは腎瘢痕化と有意に関連し、抗菌療法の遅れの1時間ごとに、腎瘢痕化発症のオッズは0.8%増加すると予想された。

 

【コメント】

この報告から、発熱してから早期に抗生剤を開始することが推奨はできますが、夜間も尿沈渣やKova Slideが使用できないセッティングもあり得ます(例えば、当院は夜間は定性ですら尿白血球をみていただけない病院で、自分でテステープで確認しなければならないのです、、)。

もちろん、発熱から時間が経過している場合は定性でも検査結果を確認後、治療を開始しています。が、これらの結果からは、夜間からの発熱であれば多くの場合は翌朝再度確認してから治療開始してもよいといえるのではないでしょうか。

 

 

評価:
五十嵐 隆(国立成育医療研究センター理事長)
診断と治療社
¥ 6,264
(2015-12-07)

■こんな記事も読まれています




■スポンサーリンク


生理食塩水による鼻洗浄は細気管支炎での低酸素血症を改善する

Schreiber S, et al. Nasal irrigation with saline solution significantly improves oxygen saturation in infants with bronchiolitis. Acta Paediatr 2016; 105:292-6.

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26607495

 


細気管支炎に関しては、これといった治療がなく、経験的に行われている治療が多いです。

高張食塩水吸入なども試みられていますが、高張食塩水で鼻洗浄したらどうかというスタディです。


 

P: 1歳までの細気管支炎で入院した乳児133例
E: 1mlの0.9%等張食塩水で鼻洗浄群44例
C: 1mlの3%高張食塩水で鼻洗浄群44例 、標準治療のみ群42例
O: 0、5、15、20、50分後の酸素飽和度の改善度、WARMスコア(SpO2、喘鳴、空気交換、呼吸数、補助筋使用)

 

【結果】
6時間以内に鼻洗浄または吸引、酸素、highflow鼻腔カニューレ、ネブライザー薬、ネブライザー高張液、解熱剤による治療を受けた乳児は除外された。
治療開始後SpO2が90%に達しなかった児はhighflowカニューレで治療開始された。

5分後に等張食塩水での洗浄グループで有意にSpO2が高値だった(SpO2 95%)(高張食塩水94%、標準治療93%)。

50分後に、高張食塩水グループが有意に改善したが、それまでは等張食塩水は標準治療より有意に改善していた。

WARMスコアに有意差はなかった。

 

【コメント】
高張食塩水より等張食塩水のほうが酸素飽和度の回復が早いという結果。

等張食塩水で細気管支炎の治療ができるならば、低コストでいいのではないでしょうか(微々たるもの、という見方もできますが、、、)。

一方で、最初に記載したように高張食塩水吸入なども試みられています(Zhang L, et al.,Nebulized Hypertonic Saline for Acute Bronchiolitis: A Systematic Review. Pediatrics 2015; 136:687-701.http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27033109)
 

 

 

■こんな記事も読まれています




■スポンサーリンク