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抱水クロラール(エスクレ)の鎮静成功率と鎮静失敗の要因: 後ろ向き症例集積研究

 

topic

 

外来のセッティングでMRIを実施する場合、小児では鎮静が行われます。

しかし、なかなかうまく鎮静出来ない場合もあり、追加投与も行わなければならない場合があります。

安全性も考えると、その成功率や失敗の要因に関しもっと知っておくべきだろうと思い調べていて見つけた研究結果です。

 

P: 2000年1月から2010年12月までMRI検査のために抱水クロラールを使用して鎮静された0 - 10歳のすべての患者1703人(年齢中央値2.5歳[4日-9.91歳、男児946人、女児757人])

E: -

C: -

O: 統計学的な因子、用量、治療失敗、本剤の有害反応の頻度

 

結果

 

睡眠導入のため、前の晩にいつもより2時間遅く就寝し、朝はいつもより1時間早く小児を起こすことが指示された。

中等度から深い鎮静は、1,618/1,703(95%)で達成した。

35/1,703(2.1%)は、中等度から深い鎮静を達成できず、47/1,703(2.8%)は、MRI検査中に覚醒した。

有害反応は、31/1,703例(1.8%)で起こり、重篤な有害反応が3例(0.18%)で起こった。

抱水クロラール 初回 40-60mg/kgの用量で、1,477/1,703患者(86.7%)で投与され、初回用量15分後に覚醒している、もしくはMRI検査中に覚醒した場合、追加で抱水クロラール 10-20mg/kgを投与が必要だった例は226/1,703患者(13.3%)だった。

抱水クロラールの最大用量は100mg/kgとして定義されたが、総用量2,000mg/回を超えていなかった。

追加の抱水クロラールを、2歳以上の患者は、2歳未満の患者より2.2倍必要とした(OR=2.2[95%CI:1.6-3.0])

低用量(<50mg/kg)、標準用量(50-100mg/kg)、高用量(>100mg/kg)で評価したが、少ない用量(<50mg/kg)は、鎮静失敗率と関係していなかった(OR=1.04[95%CI 0.57-1.89])

 

コメント

 

抱水クロラールはMRI検査を行う小児患者に対する適切な鎮静オプションであり、少な目の用量は、鎮静の効果に影響を及ぼさなかったとまとめられます。

医療施設によって異なるかと思いますが、当院では鎮静にトリクロリールシロップで開始し、追加はエスクレ座薬もしくはトロクロリールシロップを追加します。トリクロリールシロップは、体内で抱水クロラールに変化しますので、結局はエスクレもトリクロリールも同じ薬剤を投与していることになるわけですが、私は、初回を0.6ml/回で、追加を0.2ml/回と最大用量で投与してきました。それが、初回用量が多少少なくても鎮静失敗率と関係がなかったのは意外でした。

一過性の低酸素血症に関するデータ不足、鎮静する時間や鎮静の正確な継続時間は、本研究のLimitationとされていましたが、副作用のことを考えると、初回用量を多少控えようかと考えました。

ただ、普段の実地臨床では、この論文の結果ほど成功率が高くないようなんですが、、、おそらく、遅い就寝と早い起床の指示が十分できていない可能性が高そうです。

なお、2歳未満の児は検査の前4時間の絶食、2歳以上の児は6時間の絶食を指示されたそうです。

 

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ベル麻痺に対する内服ステロイド量は体重あたり1日1mgも2mgも治療効果に差はない

Arican P, et al., Efficacy of Low-Dose Corticosteroid Therapy Versus High-Dose Corticosteroid Therapy in Bell's Palsy in Children. J Child Neurol 2016.[Epub ahead of print]

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27686096

 


ベル麻痺は、顔面神経麻痺で発症する小児でも見られる疾患で、一般小児科医でも時折遭遇します。

治療はアシクロビルやステロイド薬が用いられますが、治療に使われるステロイド(プレドニゾロン)の投与量は1〜2mg/kg/日になっています。今回提示するのは、プレドニゾロン1mg/日がいいのか、2mg/日がいいのかを後ろ向きに確認した研究結果になります。


 

P: 0〜18歳歳のベル麻痺と診断された小児88例 (女児52例[59%]、年齢中央値11歳[iqr7-14歳])

E: 経口プレドニゾロン 2 mg/kg/日×5日間→10 日間の減量期間 53例

C: 経口プレドニゾロン 1 mg/kg/日×5日間→10 日間の減量期間 35例

O: 治療の最初、3ヶ月、6ヵ月の回復率(House-Brackmannグレードスコア)

 

 

【結果】

ベル麻痺の重症度、性別、年齢に二群間の差はなく、左側47例(53%)、右側41例(47%)だった。

アシクロビル投与と家庭での運動プログラムも併用され、MRIは全例で実施された。

症状発現後、51%の患者は24時間以内、35%は48時間以内、14%は72時間以内に治療開始した

1ヵ月間の治療後、2mg群は15例(43%)、1mg群は24例(45%)が完全に回復し、2mg群の20例(57%)、1mg群の29例(55%)が部分的に回復し、二群間に有意差は認められなかった(p>0.05)。

3ヵ月間の治療後、2mg群は23例(66%)、1mg群は42例(79%)が完全に回復し、2mg群の12例(34%)、1mg群の11例(21%)が部分的に回復し、やはり二群間に有意差は認められなかった(p>0.05)。

6ヵ月間の治療後、2mg群は27例(77%)、1mg群は46例(87%)が完全に回復し、2mg群の15例(17%)、1mg群の7例(13%)が部分的に回復し、やはり二群間に有意差は認められず(p>0.05)、全体の73例(83%)が完全に回復した

 

 

 

【コメント】

ベル麻痺は、1〜15歳歳の小児においても年間100000人につき約6.1例発生する急性・片側性の末梢麻痺とされています。

コルチコステロイドの推奨用量は、プレドニゾロン換算1〜2mg/kg/dになりますが、1mg/日でも、2mg/日でも回復率に差がないという結果とまとめられます

ステロイド全身投与に関し、なんとなく多めがいいのかなと思っていたので、こういった研究があると1mg/kgでよいのだなと思えます。有意差はありませんが、完全回復率はむしろ1mg/kg群のほうがいいのも印象的ですね。

 

 

 

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完全母乳は、乳児期の死亡リスクを低下させる: メタアナリシス

Sankar MJ, et al. Optimal breastfeeding practices and infant and child mortality: a systematic review and meta-analysis. Acta Paediatr 2015; 104:3-13.

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26249674

 


これまで、完全母乳栄養は、アレルギーの予防としての効果は証明されていないことをUPしてきました(http://pedallergy.jugem.jp/?eid=84)(http://pedallergy.jugem.jp/?eid=66)。しかし、完全母乳栄養にリスクがあるわけではありませんし、母乳のメリットも多いです。今回は完全母乳が人工栄養に比較して、乳児期の死亡率を下げるというメタアナリシス結果です。


 

P: ランダム化比較試験と前向き・後ろ向きコホート研究、症例対照研究

E: 非完全母乳栄養群

C: 完全母乳栄養群

O: 乳児期死亡リスク

 

【結果】

生後0-5ヶ月時の死亡リスクは、完全母乳で育てた群に比較して、大部分を母乳で育てた群でリスク比(RR) 1.5、部分的な母乳群でRR 4.8、、完全人工栄養群でRR14.4だった。

完全母乳群と比較して、母乳で育てられなかった群の生後6-11ヶ月、12-23ヵ月の死亡リスクはそれぞれ1.8、2.0倍だった。

生後0-5ヵ月の感染関連の死亡リスクは、完全母乳群に比較して、大部分母乳群でRR 1.7、部分的な母乳群でRR 4.56、完全人工栄養群でRR 8.66だった。

完全母乳群と比較して、6-23ヵ月の感染関連の死亡リスクは完全母乳群に比較して、母乳栄養のない群では2倍だった。

 

【コメント】

完全母乳栄養群は、人工栄養群に比べ、乳児期の死亡率が低いとまとめられます。ただし、生後5ヶ月までの完全母乳であることに留意が必要です。さらに長期に完全母乳である必要があるかどうかはまた別の問題でしょう。

一方、長期の完全母乳栄養がアレルギー予防に働くかどうかは、現状では否定的です(http://pedallergy.jugem.jp/?eid=84)。

さらに、加水分解乳に関しては、ハイリスク乳児・妊婦さんに推奨されてきましたが、最近のBMJに発表されたメタアナリシスで否定されたため(Bmj 2016; 352:i974.)、今後ガイドラインが書き変わってくる可能性があります。

 

 

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母乳栄養は川崎病を予防するかもしれない

Yorifuji T, et al., Breastfeeding and Risk of Kawasaki Disease: A Nationwide Longitudinal Survey in Japan. Pediatrics 2016; 137.

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27244853

 


最近、Lancetで母乳栄養の特集がありました(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27301820)。とても興味深い論文・レビューがありました。是非ご一読を。

さて、これはPediatricsの最近の報告ですが、母乳が川崎病予防に役に立つかもしれないという報告です。


 

P: 2010年からの全国的な人口に基づいた縦断調査における37630名のうち川崎病症例232例 

E: 生後6〜7ヵ月における完全もしくは部分母乳栄養

C: 初乳なし+完全人工栄養

O: 生後6~30ヵ月における川崎病発症に影響するか

 

【結果】

川崎病で入院するリスクは、完全母乳栄養でオッズ比(OR) 0.26(95%信頼区間[CI] 0.12-0.55)、部分母乳栄養 0.27(95%CI 0.13-0.55)だった。

また、統計的には有意ではなかったが、人工栄養群においても初乳はリスク減少に保護作用が観察された(OR 0.39(95%CI 0.14-1.09)。

 

【コメント】

母乳が川崎病発症のリスクを下げる機序として、2点あげられています。

一つ目に、分泌型IgA、オリゴ糖、ラクトフェリン、ヌクレオチド抗菌因子により、乳児の異常な免疫反応を誘発する感染症の防止になるのを防止すること。 二つ目が、母乳栄養が免疫システムの成熟をサポートする可能性があることです。

初乳だけでも川崎病の発症予防に役に立つかもしれないというのは興味深いですね。

 

 

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乳児をソファで寝かせていると乳児死亡リスクが高くなる: 横断研究

ソファ 乳幼児突然死症候群 死亡率Rechtman LR, et al. Sofas and infant mortality. Pediatrics 2014; 134:e1293-300.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25311597

 


ソファに寝かせる習慣と乳幼児突然死症候群に関連があるという話題があります。


 

P: 2004から2012年のNational Center for the ReviewとPrevention of Child Deaths Case Reporting System(CDR-CRS) データベースから乳児死亡のデータを抽出。

E: ソファでの死亡

C: 他の場所での死亡

O: ソファは他の場所に比較して危険か

 

【結果】
9073の睡眠関連の乳児死亡のうち、7934(87.4%)は基準を満たし、ソファーでの死亡は1024例(12.9%)だった。

他の場所に比べ、偶発的窒息のリスクが調整オッズ比 1.9 (95%信頼区間,1.6-2.3)、不明確な死亡リスクが調整オッズ比 1.2 (95%信頼区間、1.0-1.5)と、よりリスクが高かった。

Hispanic系は非Hispanic系よりリスクが低く(調整オッズ比 0.7)、ソファを他の人と共有しているとリスクが高く(調整オッズ比 2.4)、中心から離れているとリスクが高く(調整オッズ比2.4)(注;端に寝かせているということ?)、新しい睡眠場所であるとリスクが高く(調整オッズ比6.5)、出生前のタバコ曝露があるとリスクが高かった(調整オッズ比1.4)。

 

【コメント】
Discussionにありましたが、ソファで寝かせるのは、ベッド・ベビーベッドと比較して、49倍〜67倍にリスクを増すという論文もあるそうです。

米国のソファと日本のソファが同じではないでしょうが、うつぶせ寝だけではなく、寝かせる場所の指導も必要なのでしょうか。自分自身では、1か月健診で、ソファやベッドから転がっても落ちないように指導しています。

 

 

 

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