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アトピー性皮膚炎児に対し、スキンケア方法を書いて説明したほうが症状が改善するかもしれない

Duhovic C, et al., Written treatment plans in atopic eczema management in children. Br J Dermatol 2016. [Epub ahead of print]

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27061093

 


慢性皮膚疾患に対する患者教育は、生活の質や重症度を改善するという報告を先日ご紹介させていただきました(http://pedallergy.jugem.jp/?eid=224)。

しかし、決して簡単ではなく、介入を長期間・多人数の専門家チームで行う必要があるとされていました。現実的に多忙な外来では難しい面があるでしょう。今回は書面で治療の内容を説明すると結果が改善するかもしれないという報告です。


 

P: 2012年10月から2013年8月に小児皮膚科クリニックに初診したアトピー性皮膚炎児62人

E: 英国皮膚科協会のアトピー性皮膚炎情報小冊子+個人用の治療計画(treatment plan;TP群) 32人

C: 英国皮膚科協会のアトピー性皮膚炎情報小冊子のみ(標準治療群) 30人

O: 6週間後のSCORAD、DFIQ(保護者のQOL)、CDLQI(4歳以上の 小児対象のQOL)

 

 

結果

 

小児皮膚科専門医2名と記録係1名によって実施された。 研究開始時のSCORADは両群とも中等症から重症だった。

追跡調査に来院しなかったTP群3人と標準治療群6人と、データが不完全である10人は除外され、結果として43人が評価された。

SCORADの平均は、TP群43%、標準治療群34%改善し、TP群が有意に改善した(P = .047)

CDLQIの平均スコアは、TP群56%、標準治療群65%改善した(P = .057)。

DFIQの平均スコアは、TP群17%、標準治療群25%改善した(P = .079)。

保護者の88%はTPがアトピー性皮膚炎治療に役立つと評価し、TP群は、標準治療群に比較してGP(家庭医)から追加の処方を受けるのに容易になった。(75% vs 53%;P = 019)

 

 

コメント

 

ランダム化は正式な方法ではなかったようです。その結果かどうかはわかりませんが、ベースラインでのTP群のSCORADが標準治療群より高く、6週間後のフォローアップ時のSCORADは絶対値としてはTP群が高めで、「減少率」はTP群が有意に下がったという結果です。この結果では最終的な治療効果は同じようなレベルに落ち着くともいえますが、保護者の治療への意欲や追加処方の容易さを考えれば有効であったという結果として良いでしょう。

私も、軟膏使用量・部位ごとの塗布する外用薬の種類・期間・使用頻度などを紙に書いてお渡ししていますが、多忙な外来では、なかなか大変な作業であることは間違いありません。

論文には、かわいいクマのイラスト入りのフォーマットがありました。

なお、この論文は、”National Eczema Society”(http://www.eczema.org)という、英国のボランティア団体に参加されている医師からの報告のようです。

 

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慢性皮膚疾患に対する患者教育は、生活の質や重症度を改善する: システマティックレビュー

Pickett K, et al., Education to improve quality of life of people with chronic inflammatory skin conditions: a systematic review of the evidence. Br J Dermatol 2016; 174:1228-41.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26833102

 


慢性の皮膚疾患に対するスキンケアの重要性は医療者のみならず患者さんも認識されていることでしょう。しかし、「塗る」作業を毎日続けていくことは決して簡単ではありません。

そこで、続けていくためには医療者からの指導や教育が重要になってきます。今回は、実際に教育プログラムが患者さんの生活の質や重症度に影響するかどうかを検討したシステマティックレビューをご紹介いたします。


 

P: 2014年7月までのCochrane Library、PsychINFO、 Medline、Embaseから抽出した慢性皮膚疾患に対するコンプライアンスを検討したランダム化比較試験(RCT) 7件

E: 教育プログラムで介入した群

C: 対照群

O: health-related quality of life(HRQoL;健康関連の生活の質)と重症度は改善するか

 

【結果】

成人の乾癬のRCT 2件は、通常ケアの補助として、グループ単位でのテキスト・メッセージ教育を行い、対照よりhealth-related quality of life(HRQoL;健康関連の生活の質)と重症度が改善した。

さらに、アトピー性皮膚炎のある児とその両親に対するグループ単位の教育は、12ヵ月時点での教育が行われない児より、両親のHRQoLと児の疾患重症度が有意に改善したことを示した。

残りのRCTは、乾癬に対する教育的セッション、アトピー性皮膚炎児の保護者に対するウェブサイト、ざ瘡のある女性に与えられるスキンケアやメイクアップ方の情報、症状に対するかゆみ-対処プログラムを評価した。しかし、これらのRCTは、通常ケアと比較して、HRQoLまたは重症度に対する有意な効果を示唆しなかった。

有効な介入の共通した特徴は、長い介入(6週〜3ヵ月以上)と、多数の専門家チームによる介入だった。

 

【コメント】

教育プログラムは生活の質や重症度を下げうるが、介入を長期間、多人数の専門家チームで行う必要があるとまとめられます。

この結果は、スキンケア教育プログラムで成果を上げるのも決して簡単ではなく、単なる情報やウェブサイトの作成では十分ではないことを示していると言えるでしょう。

とはいえ、ひとりひとりに十分な時間をかけて説明することすら簡単ではない外来診療で、このようなプログラムを実施することは困難です。アレルギーエデュケーター制度が発足し発展してきており、多くの看護師さんや医療者の方々が積極的に患者教育に関わってくださっています。しかし、残念ながら当院にはエデュケーターの方はいらっしゃいませんし、多くの病院ではそうでしょう。

今後、そのような活動に対してこそ、医療資源が投入されることを期待したいと思います。

 

 

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軽症アトピー性皮膚炎児に対する保湿剤塗布は、皮膚細菌叢の改善に働く: ランダム化比較試験

Bianchi P, et al. Effects of a New Emollient-Based Treatment on Skin Microflora Balance and Barrier Function in Children with Mild Atopic Dermatitis. Pediatr Dermatol 2016; 33:165-71.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27001317

 


皮膚の黄色ブドウ球菌密度がアトピー性皮膚炎の重症度と関連するという報告を以前ご紹介しました(http://pedallergy.jugem.jp/?eid=101)。さらに、皮膚黄色ブドウ球菌の濃度は食物アレルギーの発症にも関連があるという報告(http://pedallergy.jugem.jp/?eid=96)もあり、黄色ブドウ球菌を減らす対策が必要です。しかし、耐性菌の問題もあり抗生剤ばかり使用することは勧められるわけではありません。


 

P: 軽症アトピー性皮膚炎(SCORAD 5-20)もしくは、軽症から中等度の乾燥(SCORADの乾燥スコアが1-2)のある1〜4歳小児 54人

E: 洗浄のみ(洗浄ゲル;商品名Trixera)+保湿剤(商品名Avene Xeracalm balm) 1日2回×28日間

C: 洗浄のみ 1日2回×28日間

O: アトピー性皮膚炎の臨床パラメータ (SCORAD[アトピー性皮膚炎の重症度の指標]、乾燥、そう痒)・バリア機能(TEWL[経皮的水分蒸散量=皮膚バリアの指標]、loricrin(フィラグリン、loricrin, corneodesmosin, involucrin発現)・皮膚のミクロフローラ(細菌叢;この研究では黄色ブドウ球菌と表皮ブドウ球菌)の変化があるか

 

【結果】

28日後、両群でSCORADは改善したが、保湿剤群は対照群に比較して、SCORAD(p < 0.001)、そう痒(p = 0.06)、乾皮症(p = 0.06)、有意に改善した。

さらに、保湿剤群はベースラインよりTEWLが34%(p = 0.06)、involucrin発現が37%(p = 0.001)低下した。 また、対照群のみで黄色ブドウ球菌が増加(6.5倍、p = 0.01)したが、表皮ブドウ球菌は両群で変化しなかった。シャノン指数は、両群で変化が認められなかった。

 

【コメント】

軽症アトピー性皮膚炎児における保湿剤1日2回塗布は、黄色ブドウ球菌増殖を抑制し、ミクロフローラの生物多様性を保護したとまとめられます。皮膚を安定化させると、細菌叢も健康に保たれやすいといえるでしょう。 

なお、ランダム化はされていますが、盲検化はされていませんでした。

なお、シャノン指数は、生物群集内の多様性を示す指数だそうです。黄色ブドウ球菌が有意に増加したにもかかわらず、シャノン指数が対照群で変化しなかったのは密度の変化が小さかったからと考察されていました。

 

使用されていた保湿剤は下記のもののようですが、あまりに高価なのでお薦めはできないですね、、

保湿剤をしっかり塗布して皮膚を安定することを目標にすれば他のものでも十分だろうと思います。

 

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保湿剤同士の比較試験

Danby SG, et al., A functional mechanistic study of the effect of emollients on the structure and function of the skin barrier. Br J Dermatol 2016; 175:1011-9.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27097823

 


今週は保湿剤に関する論文やレビューをUPDATEしています。

今回は保湿剤の比較試験ですが、保湿剤どうしの比較試験は思った以上に少ないです。以前、アトピー性皮膚炎に対する保湿剤は、保湿成分を含むほうが効果的(http://pedallergy.jugem.jp/?eid=9)という結果をUPしましたが、少なくとも最近の研究でそれ以外にめぼしいものがないようです(あったら教えてくいただければ助かります)。

今回提示するのは二種類の保湿剤(DiprobaseクリームとDoublebaseゲル)の比較研究になりますが、残念ながら両製品とも本邦で手に入れようとするとかなり高価なものになります。海外で4種類の保湿剤を比較するCOMET試験(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26170126)という研究が進行中のようですが、それもDiprobaseクリーム、Doublebaseゲル以外にはAveenoローション、Hydromolという、本邦ではなじみのないものが選択されています。

今回はうまく読解できているかどうか自信がないのですが、単回塗布研究と、28日の連続塗布研究が組み合わさっているといるため、研究手法をややこしく感じたためです。皮膚の研究はこのような研究がスタンダードなのかな?もし、うまく読解できていないようなら、ご指摘ください。


 

P: 18歳以上の寛解期のアトピー性皮膚炎患者 

E1: 前腕内側に4週間1日2回28日間 Doublebaseゲルを2FTU塗布 18人

E2: 同様の方法でDiprobaseクリームを塗布 19人

E3: 親水軟膏

C: 無処置

O: 最終塗布後12-20時間後の経皮的水分蒸散量(TEWL)、角質水分量、皮膚pH、発赤

 

 

結果

 

DiprobaseクリームもDoublebaseゲルも、皮膚バリア機能を傷害しなかった。

両方の保湿剤はともに、塗布直後から、皮膚pHを有意に上昇させた(0.8±0.19と1.0±0.18単位)。

Diprobaseクリームは、一過性に(6時間)皮膚透過性を改善し( TEWL 2.9-3.1gm2 h-1)、皮膚水分量を増加させた(6.0-6.2単位)

保湿成分を含有するDoublebaseゲルは、より強く関連し(6時間に10.1〜13.0単位)、角質水分量は12時間以上効果が持続した

 

 

コメント

 

保湿剤は、多種多様に世の中に溢れていますが、思った以上にそれぞれの比較研究は少ないです。

結果として、DiprobaseクリームとDoublebaseゲルはバリア障害は来さず、アトピー性皮膚炎治療に適切であるとまとめられます。

ただし、いずれの製剤も持続的に皮膚バリア機能そのものを改善するにはいたらず(自分自身のバリア機能自体をよくするという意味で保湿剤自体にバリア機能を補強する効果がないわけではありません)、継続塗布が必要になるようです。 

親水軟膏は、皮膚バリアに障害を来す可能性が示唆されており、この研究の比較対照とされていました。

この二つの保湿剤が選ばれた理由は、保湿剤予防研究(BEEPスタディhttp://www.nottingham.ac.uk/research/groups/cebd/projects/1eczema/beep-maintrial.aspx)で、参加者の67.2%がDoublebaseゲルまたはCetaphilクリームを選択し、使用感からDoublebaseゲルとDiprobaseクリームを好むと回答したことからだそうです。英国ではDoublebaseゲルとDiprobaseクリームは、それぞれ16%と15%を占める最も処方された保湿剤でもあるそうです。

このようなpreliminaryな研究でも、皮膚科臨床のトップジャーナルの一つであるBJDに採択されるというのは、保湿剤の比較研究自体が決して多くないことに起因していると言えるでしょう。

AmazonでみてみるとDoublebaseはやたら高価でしたので、Cetaphilクリームを参考に下にリンクしますが、Cetaphilクリームはコストコで購入したほうが安いです。

なお、TEWLはAquaFlux AF200、皮膚の発赤はMexameter MX18、pHはSkin Surface pH Meter PH905、静電容量はCorneometer CM825という器械が使われていました。皮膚の発赤もセンサーで客観的に調べることができるというのはすごいですね。

 

 

*2016/11/27 フォーマットを調整しました。

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保湿剤の臨床効果: システマティックレビュー

Lindh JD, Bradley M. Clinical Effectiveness of Moisturizers in Atopic Dermatitis and Related Disorders: A Systematic Review. Am J Clin Dermatol 2015; 16:341-59.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26267423

 


昨日、英国における保湿剤に対するコンセンサスステートメントをご紹介しました。

今度は保湿剤治療に対するシステマティックレビューです。長いレビューだったので一部しか読めていませんが、保湿剤を評価したシステマティックレビューはほとんど見たことがなく、貴重です。しかし、それぞれの研究の不均一性のためにメタアナリシスは出来ず、あくまでレビューにとどまっていることに注意してください。


 

P: 2015年6月までの MEDLINEとEmbaseから抽出された、保湿剤の臨床効果を比較しているランダム化比較試験と、TEWL・角質水分量の前後比較研究 45論文(48研究、3262例)

E: 保湿剤使用

C: -

O: 臨床症状、TEWL、角質水分量の改善があるか

 

【結果】

研究デザインとアウトカム基準が異なるため、メタアナリシスアプローチは実行不可能だった。また、研究の多く(32研究)は、アトピー性皮膚炎患者で行われており、研究期間は多くは2-6週間だったが、その範囲は90分から6ヵ月と広範囲だった。

【臨床効果】

11研究(854例)は、保湿剤(様々な種類あり)と無処置群の臨床効果を比較しており、4研究は保湿剤の臨床効果をSCORADで測定し、すべてが小児アトピー性皮膚炎に対する2-8週間追跡した研究だった。

3研究では有意な臨床効果を示すことができなかったが、全体としては保湿剤を使用した患者は14-27%SCORADが改善した。更に、そのうち1研究は、SCORADの評価項目のうち、特にそう痒が58%低下(p < 0.01)と乾燥が91%の低下(p < 0.01)に関して有意な効果を示した。

【QOL】

小児アトピー性皮膚炎患者335人に対する3研究はQOLを評価した。

2研究はQOLの改善と関連があったが、統計的な評価をしていなかった。1研究はQOLの改善を示さなかった。

【保湿剤の種類】

10のランダム化比較試験(868人)が、尿素の臨床効果を調査した。

そのうち3研究は、手湿疹、アトピー性皮膚炎、魚鱗癬患者に対し、尿素製剤群と無処置群をを比較した。

2研究は6ヶ月間の再燃期間に対する有効性を示唆したが、1研究は有効性を示すも統計学的有意差を示さなかった。

4研究は、尿素製剤と他の保湿剤(保湿成分を含まない”基剤”を含む)を比較し、3研究はアトピー性皮膚炎、1研究は魚鱗癬に対してだった。1研究はステロイド外用で改善した後の有意な再燃期間の延長を示唆し、2研究では尿素は乾燥に関し、グリセリンより優れていた(p = 0.024)。しかし、尿素はグリセリンと比較して、副作用として有意に刺激感を生じた。

【保湿剤の効果】

保湿剤は、SCORADにより評価された臨床症状が0から2.7ポイント改善した。

また、TEWLは0〜-12.2g/m2h改善し、角質層水分量が+8-+100%改善した。

個々の保湿剤間の直接の比較は十分行えていないが、例えば、プロピレングリコール、乳酸、セラミド、アルミニウム・クロロ水和物よりも、尿素やグリセリンが、より研究的に臨床効果が裏付けられているようである。

 

 

【コメント】

保湿剤による研究は決して十分ではなく、メタアナリシスができなかったようですが、特にかゆみや乾燥に効果が高いとまとめられます。尿素の評価が高かったのですが、刺激感の副作用が多いとされていました。

本邦で頻用されるヘパリン類似物質(商品名:ヒルドイド)は評価されておらず、本邦の医療セッティングで考えると今後十分な評価が必要なのではないかと考えます。

自分としては、日常診療に使用できる保湿剤に関し、保湿剤それぞれの比較試験が必要だろうと思っていますし、保湿成分の臨床効果も比較するべきだろうと思います。

内服薬などと異なり、外用薬は「塗布する」は毎日続けていくことがずっと大変です。そこで、塗布回数による臨床効果も考えていくべきでしょう。回数だけでなく塗布量による違い、基剤による違いも評価していく必要性があります。

このように、”スキンケア”は患者さんのみならず、一般の方々にとっても馴染みの深い用語になっているにも関わらず、十分なデータがなく、色々なセッティングでの臨床試験も極端に不足しています。

さらに検討が進むことを期待したいと思います。

 

 

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